知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通し(2020年2月3日~2020年2月7日)について
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
株式相場について
2020年2月3日~2020年2月7日の週の株式相場は、引き続き、中国で発生した新型肺炎の感染拡大の動向に影響を受けると考えられる。
2020年1月27日~2020年1月31日の株式相場は、新型肺炎の感染拡大が市場の下押し材料となった。
感染者数の拡大が報じられるたびに、市場のリスク回避姿勢が強まったため、リスク資産である株は売られ、安全資産である債券に資金が流れた。
その結果、為替相場は円高が進んだ。
現状、新型肺炎の感染拡大は収束する気配がない。
相場は、世界保健機構(WHO)の対応に反応するだろう。
中国の武漢で発生した新型肺炎は、中国国内のみならず、2020年1月31日現在、22の国と地域での感染が確認され、その数は100人を超えている。
なお、中国本土での感染者数は、同日現在で約1万人。
死者のほとんどが武漢周辺だが、北京など武漢以外の地域での死者も出ている。
WHOが新型肺炎の対策に本格的に乗り出すことを相場は期待しているため、WHOによる本格的な対策の発表が、相場の一つのターニングポイントになるだろう。
また、3日に中国の春節が明けるが、この日の上海総合指数の動きに注意が必要だ。
春節期間で中国市場が休場だった中で感染拡大が続いたため、これを受けて2月3日に上海総合指数は大幅下落する可能性が考えられている。
仮に上海総合指数が大幅下落した場合、本問題による悪材料は、いったんここで織り込まれたものと考えられるだろう。
さらに、2月3日には1月の米ISM製造業景況指数が発表され、2月7日には米国の雇用統計の発表がある。
米国では、内需が堅調であることから非製造業がおおむね底堅く推移しているが、製造業は、米中貿易摩擦の影響で停滞している。
先日、米中貿易協議の第一段階の合意文書を交わしたもの、米国は対中関税の全撤廃には至っていない。
それに加え、米ボーイング社の737MAXの生産停止による在庫投資積み増しの影響が顕在化し、2020年第1四半期(1月-3月期)の米GDPは0.5%押し下げられるとみられている。
なぜなら、昨年3月に737MAXが運行を停止して以降、米ボーイング社では生産をそのまま継続したからだ。
米国のGDPは、航空機分野での輸出と設備投資の落ち込みを、737MAXの在庫急増でカバーしてきた。
しかし、生産も停止されたことでその効果が剥落し、米国の2020年第1四半期の米GDPが低下すると考えられているのである。
さらに、ここにきて新型肺炎の感染拡大により、安全通貨であるドルが買われやすくなることが、米製造業にとってマイナスなると考えられるのだ。
そのため、今回のISM製造業景況指数の結果は、今年米国のGDPの結果を測る意味でも注目されている。
ちなみに、12月までの同指数は5か月連続で好不況の分かれ目となる50を下回っている。
なお、1月24日の日経平均株価は、新型肺炎の感染拡大への懸念が後退し、前日のNYダウが終盤プラス圏に浮上したことを受け、買い戻し優勢に。
前場には一時400円超上昇した。
しかし、上値は重く、その後は上げ幅を縮小。
日経平均株価は前日比227円43銭高の23,205円18銭で取引を終えた。
鉄鋼、不動産、医薬品、水産・農林が強く、海運、その他製品が軟化した。
また、同日のNYダウは、新型肺炎の感染拡大により、米国の経済成長に悪影響を及ぼすとの見方が広がったことから、下落した。
さらに、新型肺炎の感染拡大が中国経済に与える影響も懸念され、原油価格が下落。
米株式市場では、エネルギー関連銘柄が売られた。
そのため、NYダウは大幅下落し、前日比603.41ドル安の28,256.03ドルで取引を終えた。
為替相場について
一方、ドル円は、東京時間は日経平均株価が一時400円超高となったことから、円安地合いに。
1ドル109円14銭まで円安が進んだ。
また、月末設定の投信のドル買いも円安を後押しした。
ただ、米国が中国への渡航自粛を呼び掛けていることや、ボルトン前大統領補佐官の弾劾裁判招致に関し、複数の共和党議員が賛成票を入れる可能性が浮上していることが上値抑制要因となり、1ドル109円05銭近辺まで下落。
午後に入ってもドル円は堅調に推移し、1ドル109円10銭をにらんだ展開に。
その後はもみ合いとなった。
しかし、ロンドン時間に入ると、新型肺炎の感染拡大を受けた欧州株安やNYダウの下落、米10年債利回りの低下を受け、ドル円は1ドル108円89銭まで軟化。
ニューヨーク時間では、NYダウが250ドル超下落したことや、1月米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)が事前予想の48.8を下回る42.9となったことが懸念され、1ドル108円75銭まで円高が進んだ。
さらに、米国で新型肺炎の新たな感染者が見つかったとの報道がされたことや、中国向けの売上の大きな米建設大手キャタピラーの決算内容や見通しが弱いことも相場の懸念材料となった。
その結果、NYダウが一時500ドル超下落すると、円高がさらに進行し、1ドル108円31銭まで水準を下げた。
その後も上値の重い展開が続き、ドル円は1ドル108円27銭~108円37銭で取引を終えた。
今週は決算発表多々あるも軟調か
2020年2月3日~2020年2月7日の週に関しては、冒頭でも書いたとおり、新型肺炎の感染拡大の動向に左右される展開になるだろう。
週明けの3日は、前週金曜日(1月31日)のNYダウの大幅下落が懸念され、日経平均が下落する可能性があることに気を付けたい。
また、米国の決算発表の内容にも注意が必要だ。
中国での売上比率の高い米大手企業の決算内容が弱い場合、新型肺炎の感染拡大による米国および世界経済への懸念を強めるものとなりやすく、相場は急激にリスク回避に向かうだろう。
そのため、NYダウの急落や急激な円高進行が引き起こされ、日経平均株価は軟調に推移するとみられる。
なお、先週に引き続き、日本は決算発表が行われる時期であることから、好決算企業へは買いが集まりやすいだろう。
ただ、すでに発表済みの決算については軟調なものが多いことから、相場全体を押し上げるまでに至らない可能性が高い。
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