知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通し(2020年2月17日~2020年2月21日)について
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
株式相場について
2020年2月17日~2020年2月21日の週の株式相場は、前週に引き続き、新型肺炎の感染拡大の動向に影響を受けやすいと考えられる。
2020年2月10日~2020年2月14日の株式相場は、新型肺炎を巡る報道に振り回される展開となった。
2月11日に、発生源の湖北省での感染ペースが減速しているとの報道があると、市場はリスクオンムードとなり、米株式市場ではキャタピラーなど中国との取引の多い銘柄を中心に買われる展開となった。
しかし、13日に湖北省での感染者数が急増したとの報道があると一転し、リスクオンムードに。
日米欧の株式市場をはじめ、中国の株式市場でも株価は冴えず、軟調に推移した。
湖北省での感染者数が一転して急増したのは、中国が集計方法を変更したことが原因だ。
なお、14日時点での中国での新型肺炎の感染者数は63,000人を越えているが、中国当局はウイルス検査で陽性反応があっても、無症状の場合には感染者としてカウントしていないことを発表している。
咳やくしゃみ等の症状がない場合は、病原体を広げる確率は低いとの見方を中国当局は示しているが、今後の感染者数の拡大が懸念される。
また、懸念されるのは、日本での感染者数の拡大だ。
13日に国内初となる感染者の死亡が報じられ、北海道、東京、神奈川、愛知、和歌山、沖縄の各県で感染者が発生したことが報じられ、中国・武漢からの帰国者や大型クルーズ船の乗客乗員を含めると14日時点で259人の感染が確認されている。
新型肺炎の流行により、訪日中国人が減少していることや、各種イベントが中止されている他、決算発表においても、通期会社計画を下方修正する企業が出てきている。
また、下方修正はしないまでも、影響について懸念を示したり、精査するとの姿勢を示したりする企業もあり、現状は通期会社計画に新型肺炎の影響を織り込んでいなくても、今後、織り込む可能性がある企業が多いことに注意が必要だ。
中でも製造業、とりわけ中国での生産割合の高い企業については、工場の稼働停止や渡航制限による人員不足などが、業績にもたらす影響は決して小さくない。
さらに、訪日中国人の減少によるインバウンド需要の減速により、ドラッグストアや百貨店、ホテル、レジャー関連など、インバウンドの恩恵を受ける内需型企業への影響についても考慮したいところだ。
なお、2月11日と12日に行われたパウエルFRB議長の議会証言では、新型肺炎について「感染拡大による影響を注視している」としたものの、「米国の経済見通しの重大な変化につながるかどうかを判断するには、あまりに不確か」と述べた。
そして、「重大な判断の見直しがなければ、政策が適切である可能性が高い」とし、利下げの可能性を示さなかったことから、11日のNYダウは伸び悩む展開となった。
2月14日の日経平均株価は、新型肺炎の感染拡大による経済への影響を懸念し、相場はリスク回避ムードに。
日経平均株価は前日比200円超下落する場面もあった。
一方で、ドル円相場が底堅く推移したことが下支えし、日経平均株価の下値は限られた。
そのため、日経平均株価は前日比140円14銭安の23,687円59銭で取引を終えた。
ゴム製品、電気・ガス、情報・通信が強く、鉄鋼、陸運、パルプ・紙が軟化した。
また、同日のNYダウは、新型肺炎の感染拡大を受けて、売り優勢に。
また、17日が米国の祝日であることから、積極的な取引を避ける動きが強かったことも、NYダウの押下げ要因となった。
そのため、NYダウは、前日比25.23ドル安の29,398.08ドルで取引を終えた。
為替相場について
一方、ドル円は、東京時間の序盤に中国湖北省で新型肺炎の感染者が13日4,823件増加したとの報道があったことから、1ドル109円70銭台に軟化。
東京株式市場がスタートすると、1ドル109円80銭台に浮上したものの、上げ渋る展開に。
後場に日経平均株価が下げ幅を縮小すると、ドル円は1ドル109円90銭台に浮上する場面もあった。
また、上海総合指数などアジア株が堅調に推移したことも、ドル円の下値を支える材料となった。
ロンドン時間に入ると、ドル円は1ドル109円70銭台まで軟化したが、米10年債利回りの低下が一服したことから、ドル売りが縮小し、1ドル109円80銭台まで浮上した。
ニューヨーク時間に入ると、1月の小売売上高が前月比+0.3と事前予想どおりになった一方で、12月分がそれまでの同+0.3%から同+0.2%に下方修正されたことが懸念され、1ドル109円70銭を割り込む水準まで下落。
しかし、その後発表された米2月ミシガン大学消費者信頼感指数が2年ぶりの最高値の100.9となり、事前予想の99.5を上回ったことが好感され、米10年債利回りが上昇した。
これを受けて1ドル109円80銭まで浮上したが、NYダウが下落幅を広げると、ドル円は再び1ドル109円70銭台に下落。
その後はもみ合いが続き、ドル円は1ドル109円72銭~109円82銭で推移した。
今週も新型肺炎の感染拡大の動向に注意
冒頭でも書いたとおり、2020年2月17日~2020年2月21日の週に関しては、引き続き、新型肺炎の感染拡大の動向に左右される展開になるだろう。
現状は感染者数の拡大や各国政府の対応、WHOのコメント等が日経平均株価にも影響を与えている状況だが、既述のように、新型肺炎が企業に与える影響については、まだ不透明な部分も多い。
とはいえ、中国国内のみならず、日本国内での感染者数も増加しており、このことが企業業績に与える影響の度合いが明らかになるにつれ、日経平均株価にも影響が出てくるだろう。
一方で、為替相場は底堅く推移しており、日経平均株価が下落しても、下値が限られる原因の一つになっている。
もしも来週も為替相場が底堅く推移すれば、日経平均株価の下落は限定的なものに留まると考えられる。
さらに、NYダウは最高値水準で推移するなど好調が続いているため、米国株が大崩れしなければ、新型肺炎に関する報道を受けて日経平均株価が下落しても、底堅い展開になるだろう。
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