知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通し(2020年3月23日~3月27日)について
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
先週の振り返り
2020年3月23日~2020年3月27日の週の株式相場は、今週に続き、乱高下しやすい展開になると考えられる。
引き続き、マスクやテレワークなどの新型肺炎関連銘柄や、ゲーム、動画配信、電子書籍、宅配やネットショッピング等の巣ごもり銘柄は堅調に推移するとみられるが、それ以外の銘柄については基本的に売られやすく、日経平均株価の動向に合わせて乱高下すると考えられる。
2020年3月16日~2020年3月20日の週の株式相場は、前週に引き続き、株式市場も為替市場もボラティリティの高い状態が続いた。
新型肺炎の発生源となった中国は、自国でのピークが終わったと主張しているが、それ以外での国では依然として感染拡大が続き、2020年3月20日現在、感染者は1万人を超え約160の国と地域に広がっている。
世界各国で入国制限を行い、イタリア、フランス、イスラエル、米カルフォルニア州などでは外出禁止令が発令された。
日本では外出禁止令こそ出ていないものの、外出控えや休校措置は続いており、また、企業のテレワークも続いていることから、飲食店やイベント関連会社などを中心に、業績悪化が引き続き心配されている。
ヒト・モノの移動が制限されていることから景気後退への不安が高まり、日経平均株価は引き続き下落が続いた。
また、NYダウも下落が続いているが、こちらは下げては上げの繰り返しで、日経平均株価よりボラティリティが高い。
3月16日のNYダウは2,997ドル安と前日比12.9%もの下落となり、過去最大の下げ幅となった。
さらには、同日のVIX指数(恐怖指数)は、リーマンショック時に米議会が自動車業界救済計画の採決を延期した2008年11月20日の終値である80.86を超え、82.69が終値となった。
この日の日中に、VIX指数は83.56まで上昇している(VIX指数の最高値は2008年10月24日の日中ベースで付けた89.53である)。
FRBが1%の緊急利下げや量的緩和を行ったが、市場の不安は払しょくできなかったため、VIX指数が上昇したものと考えられる。
翌日、FRBがCP(コマーシャルペーパー)の購入を、そして、トランプ米大統領が、国民に現金給付を含む1兆ドル規模の経済対策をまとめたことが伝わると、NYダウは反発したものの、2万ドルを割り込む水準まで下落した。
しかし、3月19日には、FRBがMMF市場の安定化を目指した緊急制度を10年ぶりに再開することが伝わったため、NYダウは2万ドルを回復。
ただ、翌20日には再び新型肺炎への懸念が広がり、2万ドルを再び割り込んでいる。
このように、NYダウは忙しなく極端な動きになったが、日経平均株価はそもそもNYダウほどボラティリティが高くない。
そのため、NYダウほど乱高下する展開にはならなかった。
しかし、日経平均株価が軟調なのは変わらない。
日銀がETF買い入れ倍増を決定したが、市場の反応は限定的で、信用取引の投げ売りなどを巻き込んで下落し、16,000円台を付けている。
このように、2020年3月16日~2020年3月20日の週は世界規模での景気後退が懸念されたことから、株価は乱高下する展開になった。
企業キャッシュフロー悪化という懸念材料
先程も書いたとおり、今回の新型肺炎の感染拡大により、グローバルな規模でヒト・モノの移動が制限され、動きが停滞していることから、企業は売上が立たなくなり、業績が下押しされる。
不況時でも唯一売上の部分だけは現金収入につながるものなのだが、今回に関しては、そもそもヒトとモノの動きが止まっていることから、売上が立たない企業も多い。
そのため、キャッシュフローが悪化するのではないかとの懸念が広がっているのだ。
このような事情から、株はもちろん、原油などのリスク資産や、債券、金など、比較的安全だとされる資産に至るまで現金化が起こり、「有事のドル買い」が起きた。
どの国もいわば鎖国に近い状態となっていることから、需要の減退が懸念され、企業の資金繰りも不安視されているのだ。
そんな中、各国で大規模な経済対策が打ち出されているものの、市場は乱高下している。
ヒトとモノの動きが止まっている中で、各国が大規模な金融緩和と財政出動という、景気低迷期の経済対策が打ち出されていることが原因だ。
つまり、大規模な経済対策を打ち出しているものの、その効果が十分に発揮できる環境下に現状ないため、市場の反応は微妙なものになってしまっているのだ。
ボラティリティの高い相場は続く
以上のことから、2020年3月23日~2020年3月27日の週の株式相場も、今週同様、値動きの荒い展開が続くと考えられる。
一方的な株価下落になるとは考えにくいが、各国の打ち出す経済政策などに市場は一喜一憂し、ボラティリティが高くなるだろう。
下落時に下支えする材料となるのが、先日日銀が発表したETFの購入拡大だ。
これまでの6兆円から12兆円に拡大することを発表し、購入額は1日あたり1,200億円程度まで拡大されることになる。
このことが、株価下落を下支えするだろう。
また、企業やファンドの決算前に保有する株式の評価額を上げるために、お化粧買いを入れる可能性もある。
さらに、為替相場では円安・ドル高が進んでいる。
先程書いたとおり、キャッシュフロー不安から、基軸通貨であるドルへの需要が高まっているため、ドル買いに傾きやすい。
3月16日には105円台を付ける場面もあったドル円は、2020年3月21日の午前5時時点では、110円75銭~85銭まで急激に戻してきている。
一時1ドル111円50銭まで浮上する場面もあるなど円安が進んでおり、輸出企業にとってはポジティブと言える。
また、輸出企業以外にも、円安メリットとなる企業にとってポジティブ材料となるだろう。
このことも、株式相場を下支えするものと考えられる。
また、先ほども書いたとおり、キャッシュフローへの不安が高まっていることから、手元流動性の高い好財務企業も好まれる可能性がある。
冒頭で書いた、新型肺炎関連銘柄や巣ごもり銘柄以外にも注目したいところだ。
反対に、原油価格は下落が続いているため、石油元売りなどの銘柄は下落が続くと考えられる。
こちらについては、新型肺炎の感染拡大に伴う需要減少に加え、4月からのOPEC加盟国の増産の可能性が高まっているため、地合いは二重に悪い。
OPECプラスで減産が決まるなどして原油価格の下落が止まらなければ、株価の下降トレンドはなかなか収束しないだろう。
なお、2020年3月23日~2020年3月27日の週については、米国の2月の新築住宅販売件数や2月耐久財受注等の経済指標の発表がある。
ただ、新型肺炎が米国で本格的な流行を見せる以前の数値であることから、市場の反応は限定的なものに留まる可能性が高い。
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