知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通し(2020年5月11日~5月15日)について
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
市場のリスク回避ムードはいったん後退
2020年5月11日~2020年5月16日の週の日経平均株価は、東アジアや欧米での経済再開の動きに左右される展開になるだろう。
特に米国における経済再開の動きには注意したい。
すでに米国では半数以上の州で、外出制限の緩和や、レストランなど一部での営業再開が始まっている。
日本でも、休業要請の全面解除をする方針の県が11県、外出の自粛を一部緩和する県が16県にのぼっていることを、8日に西村経済再生担当大臣が会見で明かした。
このように、徐々に休業要請や外出自粛の緩和の動きが出てきているが、東京をはじめとした首都圏については感染者数も多く、まだ緩和の動きが出ていない。
首都圏での自粛が緩和されないと、本格的な経済再開と市場は受け止めないだろう。
なお、首都圏同様に特定警戒都道府県となっている大阪については、独自の基準で休業要請や外出自粛を段階的に緩和する方針を吉村大阪府知事が示している。
首都圏の緩和がまだであっても、一部の県での休業要請や外出自粛緩和は明るいニュースで、市場のリスク回避ムードはいったん後退するだろう。
先週は日経平均株価2万円台回復
2020年5月4日~2020年5月9日の週は、日本の市場はゴールデンウィーク期間中ということで休場だった。
予想どおり緊急事態宣言は延長されたものの、織り込み済みだったことから市場の注目は欧米の株式市場の動向に移っていた。
ゴールデンウィーク明けの5月7日の日経平均株価は買いの勢いが弱かったが、午後に入り時間外のNYダウ先物が上昇したことから、プラス圏に浮上。
翌5月8日も、欧米株が経済活動再開の動きが一部で出ていることを受けて上昇したため、日経平均株価にもその流れが波及し前場に2万円台を回復。
さらには、中国の劉鶴副首相とライトハイザー米通商代表部代表、ムニューシン米財務長官とが電話会談を行い、マクロ経済と公共衛生で双方が協力を深めることで合意したと伝わったことを市場は好感した。
前日にトランプ米大統領が、「第一段階の合意履行に関し、中国が着実に実行しない場合は合意を打ち切る」と警告したことから高まっていた市場のリスク回避姿勢が後退した形だ。
これにより日経平均株価は大幅上昇し、前日比504円32銭高の20179円09銭で取引を終えている。
アメリカ雇用統計は統計開始以来最悪の水準だが
このように、2020年5月4日~2020年5月9日は経済活動の再開が市場の注目材料となった。
そのため、この週に発表された経済指標に対する市場の反応も通常よりも鈍くなっている。
例えば米雇用統計の先行指標として注目されるADP雇用統計が過去最大の減少となるマイナス2023.6万人となったが、発表直後、ドル円相場はあまり動かず、NYダウももみ合いとなるにとどまった。
大幅な悪化は織り込み済みだったことが、市場の反応が鈍かった原因になっていると考えられる。
なお、5月8日に発表された米雇用統計だが、失業率は14.7%と前月の4.4%の3倍以上に悪化し、統計開始以来最悪の水準となった。
ただ、事前予想は16.0%で、それよりは下回ったことが好感され、NYダウは前日比455.43ドル高の24,331.32ドルで取引を終えている。
市場の最大の注目材料は経済活動の再開
このように、このところの市場の最大の注目材料は経済活動の再開である。
そのため、冒頭でも書いたように、2020年5月11日~2020年5月16日の週の日経平均株価は経済活動の再開の動きに市場の注目が集まるものと考えられる。
「景気は底打ちしたのか」「今が底なのか」ということが市場参加者の知りたいところだろう。
5月に入りこれから徐々に暖かくなっていくが、それと共に新型肺炎も収束するのかどうか、ということにも市場の注目は集まっている。
もしも収束した場合、その兆候がはっきりするのは今年6月以降になると考えられている。
そのため6月に向けて、新型肺炎の感染者数が減った、外出制限が緩和される等のニュースがあるたびに、NYダウの上昇に引きずられて日経平均株価も上昇するだろう。
また、米国では追加の経済対策を次々に打ち出している。
日経平均株価2万円代定着するかどうか
米国の追加経済対策を好感し、NYダウが上昇するたびに日経平均株価もつれるというこれまでの動きは、基本的に継続すると考えられる。
dただ、2万円台が定着するかどうかは不透明だ。
なぜなら、日本の上場企業の多くが来期の見通しを立てられない状況にあるからだ。
3月決算期の会社の決算発表が連休明けから徐々に増えてきているが、予想どおり減収減益となっている会社が多い。
3Qまでは好調でも4Qで業績が大幅に下がる企業もあり、今回の新型肺炎の影響が本格化するのは、2021年3月期1Q以降と考えられる。
なお、東証一部上場企業に限って言えば、すでに決算発表が終わっている企業のセクターの中で、輸送用機器や機械、空運、石油・石炭などは減収減益かつ前年比でのマイナス幅の割合が大きいようだ。
このような理由から、NYダウが上昇しても、日経平均株価は思ったほど反応を見せないケースもあるだろう。
特に気を付けたいのはトヨタ自動車や三菱重工業などの決算発表が行われる11日である。
ただ、内容が悪いことはすでに織り込み済みなので、決算発表後にアク抜けしたと捉えられて株価が上がるケースもあるので注意したい。
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