知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通しについて(2020年8月10日~8月14日)
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
今週も引き続き企業の決算発表の動向次第
2020年8月10日~2020年8月15日の週の日経平均株価は、引き続き企業の決算発表の動向の影響を受けると考えられる。
新型肺炎の影響により業績が悪化している企業が多く、上値の重い展開が続くだろう。
先週の振り返り
2020年8月3日~2020年8月8日の週の日経平均株価は、方向感に欠ける展開が続いた。
週明け3日(月)と翌4日(火)は、米国株の上昇や米経済指標の好調な結果を受けて上昇したが、水曜日以降は下落。
米国株は、新型肺炎ワクチンを巡る報道や米マイクロソフトによるTikTokの全世界事業の買収などが好感されたために上昇基調で、特にハイテク株比率の高いナスダック総合指数は最高値を付けるなど好調だったが、日本株はそれに追随しきれなかった。
その原因として、日本企業の4月~6月期決算の内容が良くないことが挙げられる。
SMBC日興証券が6日(木)までに発表した東証一部上場の873社(全体の65.7%。会計基準が異なる金融業を除く)を集計したところ、最終利益の合計は前年同期比75.9%と悪化。
東証に上場する企業の2020年4~6月期決算発表が7日ピークを迎えた。SMBC日興証券が6日までに発表した東証1部上場の873社(全体の65・7%。会計基準が異なる金融業を除く)を集計したところ、最終(当期)利益の合計は前年同期比75・9%減と大幅に悪化。新型コロナウイルスの感染拡大による打撃の深刻さが改めて浮き彫りとなった。
本業のもうけを示す営業利益ベースでは70・3%減。新型コロナの影響で業績が急激に落ち込んだ20年1~3月期(61・4%減、全1479社が対象)からさらに悪化した。
政府の緊急事態宣言に伴う外出自粛の直撃を受けた外食業などの業績悪化が顕著で、牛丼チェーン「すき家」などを展開するゼンショーホールディングス(HD)は、63億円の最終赤字(前年同期は19億円の黒字)に転落。営業時間の短縮などが響いており、丹羽清彦グループ財経本部長は7日の記者会見で「外食産業は航空やレジャーと同様、ダイレクトに影響が出る。かなり大きな影響を受けた」と振り返った。
(出典:2020年8月7日付 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20200807/k00/00m/020/201000c)
4月~6月期決算については、新型肺炎による影響を最も受けるとみられていたため、悪化は織り込み済みだった。
今年7月以降からは徐々に回復傾向になると考えられていたが、実際には新型肺炎の感染は収束せず、世界各地で拡大している。
また、日本においても感染者数が増加していて、愛知県や沖縄県では独自に緊急事態宣言を出すなど、収束がいつになるのか見通しが立たない状態だ。
企業の業績回復が新型肺炎の感染状況次第となっていることから不透明感が強く、当初よりも業績回復が遅れるのではないかとの見方がされているのだ。
そのため、好調な米株式市場とは対照的に、日本の株式市場は軟調になっているのである。
2020年8月10日~2020年8月15日の週もこの流れは続くだろう。
米中対立も引き続き懸念材料に
それに加え、米中対立が懸念材料になると考えられる。
トランプ米大統領は、6日、国家安全保障上のリスク対応から、中国の動画投稿アプリTikTokを提供するバイトタンスと微信(ウィーチャット)を提供するテンセントに関わる取引を45日以内に禁止する大統領令に署名した。
また、トランプ米政権は7日、中国高官や香港の林鄭月娥行政長官ら11人に対し、政治的弾圧を理由に制裁を科すことを発表している。
米中対立の激化が懸念され、相場の重しになると考えられることから、今後の動向に注意したい。
なお、7日(金)に発表された7月の米雇用統計は、事前予想の前月比+148.0万人を上回る同+176.3万人となった。
非農業部門雇用者数の伸びは、前月からは鈍化したものの、労働市場の回復が継続していることが確認できる内容である。
事前予想を上回る内容であったことからポジティブサプライズとなったものの、トランプ米政権と米民主党指導部による新型肺炎追加対策法案をめぐる協議が難航していることが懸念材料となり、NYダウは軟調に。
終盤になってようやくプラス圏に浮上し、前日比46.50ドル高の27,433.48ドルで取引を終えている。
一方で、ナスダック総合指数は8営業日ぶりに反落し、97.09ポイント安の11,010.98で取引を終えた。
米国新型肺炎追加対策法案の協議とお盆休み
新型肺炎追加対策法案をめぐる協議について、トランプ米大統領は、失業給付金や家賃未払いによる立ち退き猶予を含む法案の大統領令を発令する用意があると、米ニュージャージー州での記者会見で発言している。
結局、7日までに共和党と民主党の協議のメドは立たず、合意は来週に持ち越されることになった。
そのため、10日(月)の本件と米株式市場の動向には注意したい。
この日は、東京市場が山の日の祝日のため休場であるが、11日以降の株式市場に影響を与えるとみられる。
また、2020年8月10日~2020年8月15日の週は、先ほど書いたように10日が祝日で東京市場は休場、その後はお盆休み期間に入ることから、市場参加者が少なくなると考えられる。
このような状況を踏まえても、日経平均株価は方向感が出にくいだろう。
感染者数の動向と今週発表される経済指標に注視
また、新型肺炎の国内の感染者数の動向には引き続き注意が必要だ。
東京や大阪などの大都市圏のみならず、沖縄県など地方でも感染者数が急増している。
感染者数が大幅に増えた場合は投資家のリスク回避姿勢が強まるため、日経平均株価は軟調に推移しやすい。
さらに、米国の新型肺炎追加対策法案についても、動向次第では相場に下押し圧力がかかる可能性がある。
その場合も日銀のETF購入や個人投資家の押し目買いが下支え材料となるため、底堅く推移するだろうが、方向感のないレンジ相場になりやすい。
なお、8月10日~2020年8月15日の週は、10日(月)に7月中国生産者物価、同中国消費者物価が発表される。
さらに、12日(水)に7月の米消費者物価、14日(金)に7月米鉱工業生産・設備稼働率、8月ミシガン大学消費者態度指数(速報値)が発表される。
これらの経済指標が株式相場に影響を与える可能性もあるため、その結果と内容には注意したい。
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