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今週の相場見通しについて(2020年8月31日~9月4日)
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
日経平均株価は、政局に左右される展開に
2020年8月31日~2020年9月5日の週の日経平均株価は、政局に左右されるだろう。
次期総裁に関する報道で、相場は一喜一憂する展開になるとみられる。
2020年8月24日~2020年8月29日の週の日経平均株価は、底堅い展開が続いた。
24日(月)、25日(火)に前日比(24日は前週末比)プラス圏で取引を終えた後、26日(水)、27日(木)と前日比マイナスで取引を終えたが、下値は堅く、下落しても23,000円台を割り込むことはなかった。
28日(金)は、前日の米株式市場がパウエルFRB議長の講演を受けて上昇した流れを引き継ぎ、日経平均株価も堅調に推移した。
強含みでもみ合い、そのまま取引を終えると思われたところに、安倍首相が辞任するとの報道があったため、日経平均株価は一転して急落。
600円超値下がりする場面もあったが、最終的には前日比326円21銭安の22,882円65銭で取引を終えている。
金融政策や対外政策の大幅変更の可能性は低いが
安倍首相の辞任は、ここ最近の報道からある程度予想できたことではあった。
新型肺炎を巡る対応の遅れや、Go Toキャンペーンなどコロナショック後に行われた経済対策への批判など、このところ安倍首相の求心力は落ちていた。
6月18日以降、メディアの前になかなか姿を見せず、持病の悪化など体調不安説がささやかれるようになっていたが、17日に都内の慶應義塾病院を訪れて日帰り検診を受診したことから、いよいよ辞任するのではないだろうかとの憶測が出ていた。
ただ、菅官房長官が27日(木)付ブルームバーグのインタビューで、安倍首相が2021年9月までの首相任期を全うするかということに対し肯定していたことから、市場では早期辞任観測がいったん後退していたのだ。
今回、急転直下の辞任発表となったことで、市場は冷や水を浴びせられた形となる。
安倍首相の辞任の理由は大方の予想どおり持病の悪化である。
すぐに辞任するわけではなく、次期総裁が決まってから、という形になるが、市場の注目は次期総裁が誰になるか、ということであろう。
安倍政権発足以来続いてきたアベノミクスがこのまま継続されるのか、ということを不安視する声もあるが、政権交代するわけではなく、また、現在次期総裁候補として名前が挙がっている人物を見ても、金融政策や対外政策の大幅変更の可能性は現状低いと考えられる。
そのため、2020年8月31日~2020年9月5日の週は、市場はいったん落ち着きを取り戻すと考えられるが、次期総裁をめぐる報道に一喜一憂する展開が続くだろう。
また、米株式市場の動向の影響を大きく受ける状態は変わらず続くとみられる。
先ほども触れたとり、27日(木)にジャクソンホールで開かれたシンポジウムで、パウエルFRB議長はインフレ目標を平均2%とし、長期的な金融緩和が続くことを示唆した。
日銀もインフレ率の実績が安定的に2%を超えるまでは金融緩和を続けるとしているが、今回FRBが定めた「インフレ目標平均2%」は、日銀のスタンスと大きく変わらないと言っていいだろう。
為替も政局の影響で不安定な状態が続くか
なお、米国の長期的な金融緩和の継続が決まったことにより、ドル円はパウエルFRB議長の講演中に1ドル105円59銭まで下落したが、それ以上のサプライズとなる材料はなかったことから米長期金利は上昇し、ドル円も1ドル106円70銭台まで浮上した。
そもそも、FRBはイールドカーブコントロールに消極的であることに加え、今回のパウエルFRB議長の講演内容でも、長期金利のコントロールには触れていない。
そのため、長期債利回りが上昇し、結果として円安ドル高に振れることとなった。
金融緩和は長期化する見込みだが、FRBが長期金利の上昇抑制に取り組む様子がない以上、今後も米長期債利回りが上昇すれば、日米金利差の関係から、円安ドル高に振れる場面が出てくるだろう。
ただし、日本の次期総裁が決定し、今後の金融政策や対外政策を見極めるまでは、政局によって株式相場も為替相場も乱高下する可能性が高い。
現に、28日(金)のニューヨーク市場では、安倍首相の辞任を受けて円高ドル安となった。
日本の政局が安定し、これまでの政策に大幅な変更がないと確認できるまでは、為替相場も不安定な状態が続き、円高が日経平均株価の上値抑制要因になる可能性がある。
米国雇用統計の結果など米国経済指標も注意
なお、2020年8月31日~2020年9月5日の週は、4日(金)に8月米雇用統計が発表される。
例によって、この結果によっては急激な株安・株高、円高・円安が進むと考えられるため、注意が必要だ。
また、31日(月)に発表される中国製造業PMI、1日(火)の8月米ISM製造業景況感指数、2日(水)の8月ADP雇用統計の結果にも注意したい。
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