知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
皆さん投資検討する時の参考にしてください。
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今週の相場見通し(2020年2月10日~2020年2月14日)について
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
株式相場について
2020年2月10日~2020年2月14日の週の株式相場は、新型肺炎の感染拡大の動向と治療薬に関するニュースに影響を受けると考えられる。
感染拡大のペースは鈍化しつつあるが、不透明な部分が多く、引き続き本件が株式相場に大きな影響を与えるだろう。
2020年2月3日~2020年2月7日の株式相場は、前週に引き続き、新型肺炎の感染拡大に関するニュースが市場に大きな影響を与えた。
新型肺炎の感染拡大により、期間延長となった春節が明け、中国市場の動向が注目されていたが、心配されていた上海総合指数の下落幅が想定内に収まったことから、市場のリスク回避ムードはいったん後退した。
また、新型肺炎の感染拡大による経済への悪影響を緩和するため、中国人民銀行が3日に行った1兆2,000億元もの大規模流動性供給についても、市場は好感した。
さらに5日には、一部中国メディアが新型肺炎に効果のある薬が開発されたと報道し、これを市場は好感したが、後でWHOが新型肺炎に対する有効な治療薬は見つかっていないと否定している。
新型肺炎の治療薬に関する報道に、株価も為替も一喜一憂することとなったが、来週もこの傾向は続くだろう。
なお、治療薬の開発に関しては、米製薬会社のギリアド・サイエンシズの新型肺炎に対する試験的薬剤の臨床試験が中国・武漢市で始まっている。
今後、本薬に関する報道にも注目したい。
また、7日にシンガポールの保健省が、新型肺炎の国内での感染拡大を受けて、警戒レベルを1段階引き上げたことを発表し、これを受けてリスク回避の円買いが進んだ。
このように、新型肺炎に対する各国の警戒レベルの動向に対しても、市場は敏感になっているため、注意したい。
このように、市場の関心を集めた新型肺炎であるが、懸念されているのが中国経済に与える影響だ。
中国政府は武漢市および同市周辺都市からの移動の制限や、団体での海外旅行の禁止等の措置を行ったが、その後、同国の40都市で外出制限や飲食店での外食禁止などの措置がとられるなど、影響は広がりを見せている。
これにより、中国経済は停滞し、消費・支出は低迷したと考えられる。
さらには、3月開催予定の全人代を延期する可能性があるとロイター通信が報じ、また、中国が米中通商合祀の災害条項の適用を検討している可能性があると環球時報が報じるなど、同国の経済のみならず政治にも影響が拡大している模様。
中国の名目経済成長率と信用伸び率が低下、横ばいとなっている中での新型肺炎の感染拡大による影響は、まだ経済や中国企業の利益には反映されていない。
そのため、今後の中国経済にどのような影響を与えるのか懸念される。
なお、2月7日の日経平均株価は、連騰による利益確定売りと週末のポジション調整による売りから、反落。
これといった買い材料がないことも、株価を下押しした。
そのため、日経平均株価は前日比45円61銭高の23,827円98銭で取引を終えた。
情報・通信、医薬品が強く、その他製品、繊維製品、空運、保険が軟化した。
また、同日のNYダウも、週末ということと、前日までに史上最高値を更新していたことから、利益確定売りに押される展開に。
そのため、NYダウは大幅下落し、前日比277.26ドル安の29,102.51ドルで取引を終えた。
為替相場について
一方、ドル円は、東京時間の序盤は1ドル110円近辺で推移したが、東京株式市場がスタートし、日経平均株価がマイナス圏に沈むと、1ドル109円80銭台に下落。
仲値近辺で実需筋のドル売りが入ったことも、ドル円の下押し材料となった。
ただ、欧州通貨が対ドルで持ち直すと、クロス円の上昇がドル円にも波及し、ドル円は1ドル109円90銭近辺まで浮上。
その後はこの日の夜に発表される米雇用統計の結果を前に様子見ムードとなった。
ロンドン時間に入ると、シンガポール政府が新型肺炎に対する警戒レベルを引き上げたことが報じられ、市場はリスク回避ムードに。
円は買われ、1ドル109円67銭まで円高が進んだ。
ニューヨーク時間に入ると、1月の米雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数が前月比+22.5万人と、事前予想の同+16.5万人を大幅に上回り、12月分に関しても、従来の+14.5万人から+14.7万人に上方修正された。
しかし、失業率は事前予想の3.5%をやや上回る3.6%となり、さらに、2019年総非農業部門雇用者数が従来の210.8万人から209.6万人に下方修正された。
米雇用統計が強弱まちまちの結果となったことから、ドル円の反応は限定的なものになったが、NYダウが下げ幅を拡大したことや、米10年債利回りが低下したことが懸念され、ドル円は1ドル109円50銭台まで軟化。
しかし、円買いが一服すると、再びドルが買い戻され、1ドル109円80銭台に水準を上げた。
その後も上値の重い展開が続き、ドル円は1ドル109円71銭~109円81銭で取引を終えた。
11日からのパウエルFRB議長の議会証言に注意
2020年2月10日~2020年2月14日の週に関しては、冒頭でも書いたとおり、先週に引き続き、新型肺炎の感染拡大の動向に左右される展開になるだろう。
なお、11日と12日にパウエルFRB議長が議会証言を行うが、新型肺炎についてどのような発言を行うかに注意が必要だ。
それに先駆けて7日にFRBが半期に一度の金融政策報告を公表し、「2019年末にリスクは下方修正されたが、新型肺炎の感染拡大が、新たな脅威になっている」とし、新型肺炎の流行による中国での深刻な機能不全が、リスク選好の後退やドルの上昇、貿易、商品価格を下落させ、米国や世界市場に波及する可能性があると指摘。
新たなリスクとして、世界経済を混乱させる恐れがあると警告している。
そのため、パウエルFRB議長が議会証言で、新型肺炎の感染拡大が世界経済に与える悪影響を意識し、ハト派的発言を行うかどうかにも注目したい。
ハト派的発言があれば、再び利下げの可能性が意識され円高に進みやすいだろう。
それが日経平均株価の下押し材料になると考えられる一方で、新型肺炎の感染拡大に伴う米経済への影響を軽減する施策として、株式市場が好感する可能性もあることを考慮しておく必要がある。
なお、先週に引き続き、日本では決算発表が行われる時期である。
ただし、中小型株の決算が多く、結果を受けて個人投資家による売買が活発になるとみられる。
中小型株は値動きが荒い上、個人投資家が売買の中心になりやすく、トレンドが安定しない。
そのため、取引の際には注意が必要だ。
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