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今週の相場見通し(2020年3月30日~4月3日)について
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
経済対策とコロナ感染者数
2020年3月30日~2020年4月3日の週の株式相場は、上値が重く上昇トレンドにはなりにくいものの、週の前半は株価上昇が期待できる場面もあると考えられる。
2020年3月23日~2020年3月27日の週の株式相場は、NYダウも日経平均株価も前週末に比べて上昇した。
3月27日の日経平均株価の終値は、今年1月17日につけた昨年来高値となる2,4115円の3分の1戻しを(18,944円11銭)を超える19,389円43銭となっている。
上昇したとはいっても、上昇一辺倒だったわけではなく、反落して終わる日もあったが、それでも日経平均株価は2月から続く下降トレンドが一服した。
3分の1戻しは相場が自律反発して起こる現象であることから、今回反発したことが、あくまでも自律反発の一時的な上昇なのか、それともいったん底を脱したのかということがポイントとなるが、恐らく自律反発である可能性が高い。
確かに、2020年3月23日~2020年3月27日の週に関しては、欧米各国が景気対策を発表したことが市場を下支えした。
例えば、3月25日に米上院が新型肺炎に対処する2兆円規模の大型景気対策を可決したが、
その前日の24日にこの大型景気対策が合意するとの見通しが高まったため、NYダウは上昇した。
また、英国では3,300億ポンド兆の大型追加経済対策、中国では5,100億人民元の企業支援策を打ち出している。
このような各国の景気対策が株式市場を下支えする材料となったのは間違いない。
一方で、懸念材料が増えているのも事実で、例えばイタリアでは新型肺炎による死者が8,000人を超え、スペインでは3,000人を超えた。
また、イタリアやスペイン以外に、英国やフランス、ハンガリー等の欧州各国で、不要不急の外出を禁止する動きが加速している。
さらに、米国ではニューヨーク州、ワシントン州、ハワイ州など全50州のうちの3分の1が外出制限をしているのだ。
これによりヒト、モノの移動が制限されるため、経済活動には深刻な影響を与えると考えられる。
そのため、3月26日に発表された米国の失業保険新規申請件数に注目が集まっていたのである。
この日発表された3月21日終了週の米失業保険新規申請件数は、328万件と前週の28.2万件から11倍以上も増加し、これまでの過去最多となる1982年の69.5万件の4倍以上、1967年の統計開始以来過去最多の件数となった。
とはいえ、過去に例を見ない大幅な増加になることを市場はすでに織り込み済みだったうえ、エコノミスト予想の最高値であった440万件を下回る数値だったことから、株式相場への影響は限定的だった。
なお、3月27日のNYダウは前日比915.39ドル安の21,636.78ドルで取引を終えている。
前日までは米国の景気対策への期待感から3日続伸し、合計3,900ドル超の上昇となったが、この日は利益確定売りが優勢となったためだ。
米国での新型肺炎感染者が10万人を超え、前述のとおり米国の3分の1もの州が外出制限をしていることから、米国経済への影響が長期化するとの見方が広がったことも、市場の重しになったと考えられる。
今後の日本経済活動の停滞も懸念材料
また、日本に関していえば、東京都が3月25日の夜に小池百合子東京都知事が外出自粛要請を出したことが相場の重しとなり、翌26日の日経平均株価は反落している。
今回の自粛要請は4月12日までとなっているが、これを受け、都内のデパート、スーパー、飲食店などが臨時休業や営業時間の短縮を行うことから、日本経済、特に個人消費を中心に影響が出ることが懸念されているのだ。
特に東京都は経済規模が大きく、2016年度の名目GDPは94兆円であった。
2016年度の日本の名目GDPが537兆円であることを踏まえると、東京都の全国のGDPに占める割合は17.5%にものぼる。
このことから、東京都の外出自粛要請が日本経済に与える影響が懸念されているのだ。
また、世界的な不況が心配される中で打ち出される日本政府の新型肺炎に対する景気対策が、実施までに時間がかかるうえ、効果も疑問視されるなどもの足りないと見なされているのも事実である。
さらに、日本の経済活動の停滞が顕著になってきているのも不安な点だ。
日本の民間設備投資の先行指標となる機械受注(船舶・電力を除く民需)の1月~3月期見通し(内閣府集計)によれば、前月比-2.0%、製造工業生産予測調査による鉱工業生産は3月が前月比-6.9%となり、新型肺炎の影響による経済活動の停滞が伺える結果となっている。
上値の重い展開であるうえ雇用統計なども要注意
以上のことから、2020年3月30日~2020年4月3日の週の日経平均株価は、上値の重い展開になることが考えられる。
確かに、日経平均株価は3分の1戻しを超える水準に回復したが、これは日本独自の好材料で上昇したのではなく、米国の経済対策を好感したことや、NYダウの上昇に引っ張られた側面が大きい。
日経平均株価が自力で上昇トレンドに転換できるだけの材料はなく、むしろ、東京都の外出自粛要請など、相場を下押しする材料ばかりが多いのが事実だ。
それに加え、為替相場に関しても現金化による「有事のドル買い」が一巡し、米国での新型肺炎の感染拡大が意識されていることから、1ドル111円台まで円安が進んだドル円は、3月27日には1ドル107円台まで水準を下げている。
一方で、日銀のETF買い入れ枠の拡大は株式市場にとっては好材料だ。
しかし、新型肺炎の感染拡大により日本経済の停滞がいっそう深刻化し、為替も再び円高トレンドとなれば、日本株をすぐに買う理由にはなりにくく、2020年3月30日~2020年4月3日の週に関しては、このことが好材料として株式相場に働くかどうかは不透明だ。
ただ、2019年度末となる31日と30日に関していえば、日本株には一定の買い圧力がかかるだろう。
というのも、31日は期末のお化粧買いが入る可能性があり、30日には機関投資家による配当再投資が27日に続き入る可能性がある。
そのため、週の前半は株価が上昇して終わる日もあるだろう。
なお、2020年3月30日~2020年4月3日の週は、米雇用統計、ADP雇用統計、米ISM製造業景況指数など重要な米国の経済指標の発表がある。
中でも市場が注目しているのは、4月3日に発表される3月の米雇用統計だ。
事前予想では非農業部門雇用者数が前月比-8.1万人となっているが、3月21日終了週の米失業保険新規申請件数が大幅に悪化したことから、これを大きく下回る可能性がある。
とはいえ、このことを市場は織り込み済みであることから、株式相場への反応は限定的なものに留まる可能性が高い。
ただし、円高が急激に進む可能性があり、このことが株価の重しになる可能性があることに留意したい。
また、米雇用統計の前に発表されるADP雇用統計は米雇用統計の先行指標として注目されることから、ADP雇用統計の結果にも注意したい。
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