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今週の相場見通し(2020年4月6日~4月10日)について
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
新型肺炎感染拡大による経済への影響は、過去に前例のないレベルになるのではないかとの見方も
2020年4月6日~2020年4月10日の週の株式相場は、先週に引き続き、基本的にはNYダウにつれた動きになるだろう。
下値を探る展開になることはあっても、上値を追う展開にはなりにくいと考えられる。
2020年3月30日~2020年4月3日の週の株式相場の日経平均株価は大幅反落となった。
新型肺炎の感染拡大が終息の兆しをみせず、悪化する一方であったことが原因だ。
米国における新型肺炎の感染者数は4月5日正午現在で約24万5,000人と、世界で一番の感染者数になっている。
また、欧州においてはドイツが約8万4,000人と感染源となった中国を追い抜いて世界で二番目の感染者数となっている。
これだけでも相場の不安感を煽るが、今週に関しては、新型肺炎による経済への影響が経済指標に反映し始めたことも相場の重しとなった。
4月2日に米労働省が発表した3月28日までの失業保険新規申請件数は、664万8,000件と、過去最高となった前週の330万件の2倍を超える結果となった。
新型肺炎の感染拡大による経済活動の低下から、米国内の失業率は「10%を超える」(米議会予算局)「15%以上に達する」(バンク・オブ・アメリカ)等、急激な悪化をする見通しが出てきている。
同国の失業率は低下しており3.5%程度で推移していたが、この数字が3倍~5倍近くにまで跳ね上がる可能性があるということだ。
実際、4月3日に発表された米雇用統計では、失業率が4.4%と前月から0.9%も悪化している。
さらに、4月3日に発表された3月の米雇用統計は、非農業部門の就業者数が事前予想の前月比14万人減を大幅に下回る、前月比70.1万人減となった。
米国における就業者の減少は2010年9月以来、9年半ぶりである。
ヒト・モノの移動が制限されていることが実体経済にも顕れた形だ。
リーマンショック直後の2008年10月-12月期の米国の経済成長率は前期比年率換算8.4%減となったが、今回の新型肺炎の感染拡大は、それを大幅に上回ると予測する向きもあり、米ゴールドマン・サックスは、今年4月-6月期の米国の経済成長率を同34%減とみている。
今回の新型肺炎感染拡大による経済への影響は、過去に前例のないレベルになるのではないかとの見方が浮上しているのだ。
もちろん、各国政府も手をこまねいているわけではなく、経済対策を打ち出している。
米国では急激に悪化した雇用を受けて、すでに発表した2.2兆ドルの経済対策に加え、2兆ドルの追加の経済対策を打ち出すことを検討している。
とはいえ、経済対策に対する市場の反応が徐々に鈍くなっているのも事実だ。
感染がピークアウトし横ばいになる、経済悪化の底が見える等の状態にならないと、本格的な回復トレンドにはなりにくいだろう。
日本市場は感染者対策の動向に注意
一方、日本に関していえば、今のところは米国ほどの感染者数になってはいない。
しかし、東京都をはじめとする各都道府県は外出自粛要請を出しており、企業のテレワークも続いている。
当初登校を再開させる予定だった学校も休校期間を延長しており、授業再開のめどが立たない状況だ。
懸念されるのは、2020年3月30日~2020年4月3日の週の東京都における新型肺炎の感染者数が急増していることである。
東京のみならず、大阪、名古屋といった大都市での感染者の急増が確認された時に、現在はまだ出されていない非常事態宣言の発令が、いっそう強く意識されるだろう。
そうなった時、日経平均株価は下押しされる可能性が高い。
なぜなら、次にロックダウンが意識されるからだ。
ロックダウンは3月19日の政府の専門家会議で「数週間の間、都市を封鎖したり、強制的な外出禁止の措置や生活必需品以外の店舗閉鎖などを行う、強硬な措置」と定義している。
このことから、もし非常事態宣言が出された場合、経済への影響はより深刻なものになると懸念されているのだ。
それを緩和するためにも思い切った経済対策が必要だが、今のところ日本政府が検討している経済政策については有効であるとは言い難く、今後発表する経済対策が大規模な財政出動などよほどのインパクトを与えるものでない限り、市場は反応しないだろう。
今週は下値を探る展開に
以上のことから、2020年3月30日~2020年4月3日の週の日経平均株価は、冒頭でも書いたとおり、上値の重い展開になることが考えられる。
欧米諸国に比べてまだ感染者の人数が少ないとはいえ、3月下旬から感染者数が急増している。
累計感染者数が1000人になるまでに65日かかった一方、1000人を超えてから2000人になるまでは11日間と、拡大ペースが加速しているのだ。
このような状況から、緊急事態宣言が徐々に意識されはじめており、積極的な買いが入る段階にはない。
そのため、先週に引き続きNYダウの動向に引きずられる可能性が高い。
また、前述したとおり、よほどのインパクトのある経済対策を政府が打ち出さない限り、市場の反応は限定的なものに留まり、上昇トレンドへの回復は見込めないだろう。
なお、日経平均株価が下落した場合に意識したいのは、3月19日につけた終値ベースの16,552円83銭だ。
次に下落した時に、この水準を下抜けるかどうかが注目されると考えられる。
要は、ここが底となるのか、それとも二番底、三番底となり、さらに下値を探る展開になるのかどうか、ということだ。
この水準を下回ることがない条件として考えられるのは、感染者数が早い段階でピークアウトすることである。
ヒト・モノの動きが徐々に回復し、感染拡大以前のような日常生活を取り戻せるとの見通しが立った場合はこのような動きになるだろう。
そして、その場合の日経平均株価は、2万円台の回復が焦点となる。
しかし、反対に感染者数が欧米のように激増し、ピークアウトの見通しが立たなければ、16,552円83銭が意識された後、次に意識されるのは、2016年6月につけた15,500円台…という形で、下値を探ることになる。
近い見通しとしては、下値として13,800円台をつける可能性も視野に入れておきたい。
ただ、今のところ日経平均株価を下支えする要因として、日銀のETF購入枠拡大がある。
株価の上昇を促す要因にはならないが、暴落を押しとどめる要因にはなるだろう。
なお、為替相場に関しては、米国の雇用統計の急激な悪化を受けて軟化する場面もあったが、その後に発表された3月の米ISM非製造業景況指数が事前予想の43.0を上回る52.5となり、景気拡大・縮小の節目となる50を上回ったことが好感され、本原稿を執筆している4月4日の午前6時現在、1ドル108円40銭台で推移している。
急激な円高にはならなかったことから、このことも週の初めの日経平均株価を下支えすると考えられるが、今後の経済指標の動向には注意が必要だ。
急激な悪化が認められる結果となった場合には、一気に円高に動く可能性がある。
さらに、注意したいのが、原油価格の動向だ。
OPECプラスで世界供給量の約10%にあたる日量1,000万バレルの減産が話し合われるとみられているが、この水準では新型肺炎の感染拡大を受けた世界の原油需要の減少に対応できないとみられている。
もしも減産が実現し、そのレベルが原油需要の減少を適正に織り込んだものであれば、原油価格は持ち直すだろう。
だが、そうでなければ、再び下落する可能性が高い。
トランプ米大統領が4月2日にサウジアラビアとロシアの減産合意を示唆したことを機に、石油関連株が買われたことでNYダウが上昇したことから、原油価格の動向にも注目したい。
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