知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
皆さん投資検討する時の参考にしてください。
延長を希望される方がいたので当面の間延長します。感想などコメントや感想・問い合わせから教えてもらえると嬉しいです。
なお、当ブログに寄稿を希望されるブロガーさんがいらっしゃいましたら、こちらからご連絡くださいませ。
感想・問い合わせ - 1億円を貯めてみよう!chapter2
今週の相場見通し(2020年4月13日~4月17日)について
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
先週は落ち着きを取り戻した株式相場
2020年4月13日~2020年4月17日の週の株式相場は、先週に引き続き、基本的には米国市場の動向につれた動きをするとみられる。
日経平均株価は19,564円を超えられるかどうかがポイントとなるだろう。
2020年4月6日~2020年4月10日の週の株式相場は、欧米における新型肺炎の感染拡大ペースが鈍化したことや、日本における緊急事態宣言が4月7日に発出されたことにより、これまで意識されていた悪材料がいったん出尽くした。
最も警戒されていたロックダウンが回避されるとの見通しが事前に強まったことから、株式相場は落ち着きを取り戻し、日経平均株価は堅調に推移した。
4月9日にいったん利益確定売り優勢となったために小反落したものの、それ以外は基本的に上げ優勢となり、前日比を上回る水準で取引を終えている。
ただ、基本的にこの上昇は日本独自の要因で起きたものではなく、NYダウやNYダウ先物の上昇、FRBの総額2兆3,000億ドルにものぼる緊急資金供給が材料となったものだ。
緊急経済対策の真水は17兆円程度
一方で、日本に関していえば、安倍政権が緊急事態宣言とともに新型肺炎に関する緊急経済対策を発表した。
事業規模は108.2兆円、政府の財政支出は39.5兆円とされているが、この中には昨年末に成立した補正予算の未使用分である9.8兆円や12.5兆円の財政投融資が含まれている。
そのため、真水にあたる補正予算はせいぜい17兆円ほどとなるのだ。
なお、この17兆円の財源は国債発行となり、GDP比3%程度にすぎない。
これに対し自民党の世耕参院幹事長は、3月30日に行われたブルームバーグのインタビューに対し、リーマンショック後に策定した対策では全く足りず、消費の落ち込みで失われるGDP分を、全て真水で埋め戻すレベルの財政出動が必要であるとの見方を示している。
また、同氏は、GDPが5%消えるのであれば25兆円、10%消えるのであれば50兆円の真水を入れるべきと話しているので、今回政府が発表した緊急経済対策の真水はその水準に全く達していないと言えるのだ。
ちなみに、リーマンショック時の真水は15兆円で、GDPギャップはリーマンショック時に-34.3兆円まで拡大した後も、2013年までマイナスが続いた。
今回の新型肺炎により生じるGDPギャップは3月31日に開催された経済財政諮問会議で-20兆円に拡大するのではないかとの指摘がされているが、収束のめどが立たず、長期化するのではないかとの見通しが強い今回の新型肺炎の感染拡大による影響は、リーマンショック時のGDPギャップのマイナスを下回る可能性がある上、GDPギャップのマイナスが徐々に縮小傾向となった当時と比べ、そうなるまでに時間を要するとみられる。
つまり、事業規模108兆円と謳ってはいるものの、衣が大きすぎるエビの天ぷらのようなもので、力不足の経済対策なのだ。
そのため、緊急事態宣言を発出した後、夜になって行われた安倍首相の会見に対する為替相場の反応は、限定的なものに留まった。
株式相場は翌日に上昇してはいるが、これは、その日の時間外のNYダウ先物が上昇したことを受けたものである。
米国市場の動向や米政府の対応、海外での新型肺炎の感染者の増減によって動く相場が続く
このように、緊急事態宣言からの株式市場は、主に海外市場の動向を受けて推移したのだが、2020年4月13日~2020年4月17日の週の株式相場も、米国市場の動向や米政府の対応、海外での新型肺炎の感染者の増減を受けた動きが続くだろう。
日経平均株価は米国や中国の経済指標の動向を基に動くと考えられるが、米国についてはすでに雇用の悪化が顕在化しており、今後どの程度悪化するのか懸念されている。
ただ、米企業の人員削減に先行する傾向がみられるVIX指数は依然として高い水準にはあるものの、すでにピークアウトしているため、米国の雇用悪化に歯止めがかかる可能性があるのだ。
とはいえ、そのためには、米国で実施されている外出禁止策の効果が、感染拡大ペースが鈍化から低下に移行する形で現れる必要がある。
もしそうなった時には、米国の雇用悪化も底打ちし、日経平均株価は2万円台を回復した後も上昇トレンドが続くだろう。
だが、そうなるのはもう少し先の話で、当面は2万円台の回復が意識される。
日経平均株価は3月25日に付けた19,564円を超えられるかどうか
その前段階として、2020年4月13日~2020年4月17日の週については、3月25日に付けた19,564円を超えられるか、ということが意識されるだろう。
なお、4月10日の日経平均株価の終値は19,498円50銭で、この日は始値の19,500円07銭がそのまま高値となり、日足の形もいわゆるトンボとなっている。
3月25日の19,564円を超えられず、直近の高値圏でこのローソク足の形が出ていることから、本格的な上昇トレンドには力不足であることが伺える。
そのため、2020年4月13日~2020年4月17日の週は、19,564円を超えるかどうかが日経平均株価の分岐点になると考えられる。
もしもここを超えられず、19,000円を再び割り込む場合は、4月3日の最安値である17,646円がいったん意識されるとみられる。
反対に、19,564円を超えた場合はいよいよ2万円台が意識され、新型肺炎の感染拡大の影響が株式相場に顕著に表れ始める直前の、2月20日の最高値23,806円を目指して動くと考えられる。
なお、戻りが鈍い日経平均株価に対し、個別銘柄に目を向けると、個人投資家はすでに長期投資スタンスで株を買い集めているようだ。
新型肺炎による恩恵を受ける巣籠り銘柄もそうだが、それ以外には、新型肺炎の終息後に業績回復が期待できる銘柄を物色している。
代表的なのが、鉄道セクターだ。
ディフェンシブ銘柄に分類される鉄道セクターだが、今回はヒト・モノの移動が制限されているため、その「ディフェンシブ」さを発揮できず、下落傾向にある。
しかし、新型肺炎の終息後には、本来の水準に戻ると考えられるため、個人投資家に好まれているようだ。
Copyright secured by Digiprove © 2020