知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通し(2020年4月27日~5月1日)について
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
今週も引き続き不安定な状態
2020年4月27日~2020年5月2日の週の株式相場は、引き続き不安定な状態になると考えられる。
ゴールデンウィーク前ということに加え、今年は東京都が企業に対し、4月25日~5月9日までを連休にするよう要請していることから、薄商いとなりやすく、連休前のポジション調整の動きが出やすいと考えられる。
また、緊急事態宣言は5月6日までとなっているものの、果たして翌5月7日に解除されるのか現状不透明で、延長される可能性も否めない。
そのため、2020年4月27日~2020年5月2日の週の株式相場は、2万円を意識しつつも上げ渋る展開になると考えられる。
先週の相場の振り返り
2020年4月20日~2020年4月27日の週の日経平均株価は、WTI原油先物の5月限が史上初のマイナスとなったことから、軟調に推移した。
週のはじめの20日の取引開始直後こそ、2万円に向けてやや上昇したものの、下押し圧力が強く、WTI原油先物のマイナスが意識されると、4月22日の前場の日経平均株価は、一時19,000円を割り込む18,890円18銭まで下落している。
ここを底にその後は株価が徐々に回復し、4月24日の日経平均株価の終値は19,262円00銭となった。
前週金曜日(4月20日)の日経平均株価の終値は、19,897円26銭であったことを考えると、1週間で635円ほど下落したことになる。
今回下落した要因として大きいのは、既述のとおりWTI原油先物の暴落である。
それに加え、新型肺炎の治療薬としての活用が注目される、レムデシビルを巡る報道も相場に影響を与えたようだ。
原油価格について
WTI原油先物の5月限は、4月20日に1バレルあたり-37.63ドルで取引を終えた。
前週末の4月17日の5月限のWTI原油先物は18.27ドルで取引を終えているので、週明け早々に、58ドルも急落したことになる。
マイナス価格になることが史上初、かつ、EIA(米エネルギー省)による1986年1月3日からの原油価格公表値においても、これまで10ドルを割り込んだことはない。
つまり、今回のマイナス価格については、二重に市場を驚愕させることとなったのだ。
売り手側がお金を支払う前代未聞の状態となったWTI原油先物だが、一方で、ブレント原油やドバイ・オマーン原油は、下落基調ではあるもののWTI原油のようなマイナスにはなっていない。
この原因として指摘されているのが、原油の保管余力である。
WTI原油は米国内向けであり、パイプラインを使った陸上輸送であるのに対し、ブレント原油やドバイ・オマーン原油は海上輸送で、余剰分を海上のタンカーに積めるため、WTIに比べると貯蔵場所に余裕がある。
また、現物受渡しのWTIに対し、例えばブレント原油にはキャッシュでの決済ができる点も、価格の下支え要因になったと考えられている。
さらに、原油ETFがWTI原油先物5月限の取引締め切り前に売り払いに出たことも今回の暴落の要因となったようだ。
このように不安定な原油価格だが、OPECプラスの減産幅が世界的な需要減少に合っておらず、今後も原油相場は不安定な状態が続くと考えられる。
米エネルギー省が発表した3月の世界の原油需要量は前年同月比10.1%減(前年同月比1,001万/日バレル減)だが、EIAが4月7日に発表した「Short-Term Energy Outlook」によれば、今年の2Q(4月-6月)については、世界の原油需給バランスは1日あたり1,138バレルの供給過剰となる見通しだ。
そのため、4月は3月からさらに原油需要量が減少していることとなるのだが、下記の
・OPECプラスの減産幅が増加するか、米国が減産に協力する
・コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞が解消する
どちらかの材料が無ければ、今回のような暴落が再び起こる可能性は否めない。
今回のWTI原油価格の暴落を受けて、OPECプラスは21日に対応を協議するための緊急テレビ会議を開いた。
追加減産は避けられないとの見通しが強まっているが、5月から実施する1日あたり1500万バレルの供給調整に対し、さらに1500万バレルの供給調整が必要との見方がされている。
OPECプラスは、新型肺炎の感染拡大が収束化し、かつ、早期に需要回復が見込める算段でいるために徐々に減産量を減らす方針だが、需要回復の兆候が現状見られない以上、原油安は長期化する可能性がある。
なお、原油相場の暴落により株式相場はリスク回避姿勢が強まったものの、ドル円相場は現金化によるドル需要により、底堅く推移している。
そのため、2020年4月27日~2020年5月2日の週に再び原油価格の急落があった場合、ドル円の反応は薄くなる一方で、日経平均株価の下押し材料となることから注意が必要だ。
中央銀行の金融緩和策について
また、2020年4月27日~2020年5月2日の週で注意したいのが、4月27日に行われる日銀の金融政策決定会合だ。
この会合に先立ち、23日には「日銀が国債の購入制限なく、CP・社債購入倍増」との日経観測記事が報道された。
ただ、この記事の内容が実現したとして、景気浮揚策にはならないだろう。
日本の場合、企業は資金繰りに困っている企業がCPや社債を発行するケースは極めて少なく、また、間接金融であることから、日銀がこれらの購入を倍増したところで、さしたる効果はないと考えられる。
一方、国債購入についてであるが、無制限にしたところで、もはやサプライズはない。
日銀の国債買い入れペースはそもそも80兆円を大幅に下回っているため、今回の発表の効果を疑問視する見方が市場では強いのだ。
この記事どおりの内容が発表された場合、日経平均株価がいったん上昇する可能性はゼロではないが、一時的なものにしかならず、特段の景気浮揚効果もなく中長期的な株価の下支え材料にもならないと考えられる。
引き続き、日本独自の要因で株価が動くことは少ないだろう。
なお、注意したいのが、28日と29日のFOMC、30日のECBだ。
どちらも追加緩和策が発表される見通しで、すでに欧米株はこのことを織り込んでいるとみられる。
ポジティブサプライズがあった場合は別だが、市場の期待値どおりの内容が発表された場合は、材料出尽くしで売り優勢となる可能性があるため、NYダウは下落し、日経平均株価も軟調に推移するだろう。
今週は上値が重い展開か
このようなことから、冒頭でも書いたとおり、2020年4月27日~2020年5月2日の週については上値が重く上げ渋る展開になりやすいと考えられる。
株価が上昇する材料として考えられるものは、新型肺炎の治療薬に関するポジティブな報道である。
レムデシビルに関しては最初のトライアルで治験に失敗したことが23日に報じられたため、NYダウは下落し、新型肺炎の感染収束への期待感が後退する結果となった。
日本に関しては、富山化学のアビガンの他、帝人ファーマのオルベスコ、日医工などのフサンなども臨床研究が行われる見通しだが、続報に注目したい。
オルベスコに関しては、政府の医療戦略本部が観察研究を実施している。
現在新型肺炎の治療薬として転用が検討されている薬に関する報道は、株価に影響を与えるので注意が必要だ。
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