知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通し(2020年5月25日~5月29日)について
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
今週の日経平均株価は、基本的にはもみ合いに
2020年5月25日~2020年5月30日の週の日経平均株価は、基本的にはもみ合いになりやすく、上値が重く下値も限られる展開となるだろう。
市場の注目材料は米中対立に移行しており、米中対立に関するニュースがNYダウの動向を左右し、日経平均株価もその影響を強く受けるものと考えられる。
先週の日経平均株価は2万円台を維持
2020年5月18日~2020年5月23日の週の日経平均株価は、月曜日こそ上値の重い展開となったものの、2万円台を割り込むことなく推移した。
上値が重くなった原因として挙げられるのは、米中対立への懸念が広がったことに加え、レナウン(3606)が経営破綻したことである。
コロナショックが原因ということになっているものの、元々同社は、何十年も前から企画力が弱く、営業外利益で稼ぐビジネスモデルになってしまっていたことから、今回のことがなくとも、倒産は時間の問題だったと考えられる。
5月18日の日経平均株価は上値の重い状態のまま取引を終えたものの、この日の米国市場で、米バイオ医療品のモデルナが、新型肺炎のワクチンの臨床試験第1フェーズで有効性を示すデータを得たとの発表があったことから、NYダウは大幅上昇し、前週末比911.95ドル高の24,597.37ドルで取引を終えている。
このことがきっかけとなり、2020年5月19日以降の日経平均株価は底上げされた形となった。
それに加え、5月20日に米エネルギー情報局(EIA)が発表した15日までの週の原油在庫が減少して原油先物が上昇したことや、5月21日には大阪府、京都府、兵庫県の緊急事態宣言が解除されたことも、市場にとってはプラス材料となったようだ。
そのため、5月22日の日経平均株価は米中対立を懸念し、前日比164円15銭安となったものの、20,388円16銭と、2万円台を維持して取引を終えた。
5月18日の終値からは200円以上上昇した形になる。
次の市場の材料は?
すでに書いたとおり、緊急事態宣言が解除され、残す東京、神奈川、千葉、埼玉の1都4県と北海道は、25日に解除するのではないかとの見通しになっている。
次の市場の材料として注目されているのが、米中対立の激化だ。
実際、緊急事態宣言の解除や経済活動の再開は、市場の材料としてはすでに出尽くし感があり、22日に関しては、日本の株式市場の注目材料は米中対立に切り替わった形となった。
そのため、2020年5月25日~2020年5月30日の週も米中対立が市場の注目材料となるだろう。
日本に先行して経済活動が再開した米国市場においても、現在は米中対立に市場の注目が集まっている。
新型肺炎の感染拡大により、世界的に経済活動が停滞しているさなか、中国への批判をたびたびおこなってきたトランプ米大統領だが、ついに中国との断交について言及した。
それだけでなく、中国への懲罰的な措置として、中国からのサプライチェーンの離脱、中国企業の米国株式市場への上場時における会計監督基準の厳格化など、様々な措置があることにも言及している。
トランプ米大統領が中国への批判を強めている背景には、今年秋の米大統領選がある。
今回のコロナショックにより一気に米国の景気が悪化したことが、今回の選挙戦でトランプ陣営にとっては悪材料になると考えられているからだ。
経済指標は回復が見込まれるも米中対立が懸念
確かに、コロナショック後の米国の経済指標は非常に悪い内容のものが多い。
ただ、米国は財政出動をはじめとした大規模な景気刺激策を行っており、金融政策も実体経済を下支えすると考えられている。
また、急激に悪化した米国の雇用に関しても、恒久的な解雇ではなく、大多数が一時的な解雇であることから、経済活動再開後の雇用者数はおおむね順調に回復していくと考えられているのだ。
もちろん、経済活動の再開による感染拡大第2波のリスクは当然あるため、この点には注意しなければならない。
だが、基本的には今年の7月以降、米国の雇用者数は改善傾向となり、景気も回復していくと考えられているのだ。
とはいえ、米大統領選を前に景気が一気に悪化したことはトランプ米大統領にとっては不利で、今後、米中の対立は深刻化する恐れがある。
実際、米国は中国への締め付けを強化しており、20日には、米上院本会議が米国に上場する外国企業に経営の透明性を求める法案を可決している。
外国政府の支配下にないことを証明するよう求めるほか、米規制当局による会計監査状況の検査を義務付け、3年間検査を拒否すると上場廃止となるなど、事実上、中国企業を米国市場から締め出す法案となっている。
このようなことから、今年1月に合意した中国との第一段階の合意に関しても、破棄されるのではないかとの懸念が広がったが、それについては、クドロー米国家経済会議委員長が否定し、また、李克強中国首相も第一段階の合意を履行する姿勢を22日の全人代で改めて示している。
これにより、いったん米中対立への懸念は収束したが、完全に払しょくされたわけではない。
というのも、今回の全人代で中国は香港の直接的な統治を強化する新たな治安法制の審議を開始したが、これに対しトランプ米大統領が「非常に強力な対応」を取ると中国をけん制しているのだ。
そのため、2020年5月25日~2020年5月30日の週は、米中対立の動向が市場の注目ポイントとなり、日経平均株価も本材料に引きずられる展開になりやすいだろう。
すでに日本の企業の本決算も終わっており、市場にはめぼしい材料がない。
そのため、本件が、市場が注目する大きな材料になると考えられる。
これまで同様、日本株には上昇するための独自の材料はなく、下落時には日銀のETF購入が入るため、下値も限られている。
米国株の動向が日経平均株価の動向のカギを握るだろう。
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