知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通し(2020年6月1日~6月5日)について
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
先週の振り返り
2020年6月1日~2020年6月6日の週の日経平均株価は、米中対立が重しとなり、上値の重い展開となるだろう。
2020年5月25日~2020年5月30日の週の日経平均株価は、月曜日から4日連続で上昇し、21,000円台を回復した。
日経平均株価のチャートを確認すると、コロナショック後の下落から3分の2戻しの水準まで上昇していて、22,000円に迫るところまで急速に値を上げている。
25日に東京、神奈川県、埼玉県、千葉県の首都圏と北海道の緊急事態宣言が解除され、いよいよ日本全国で経済活動が再開することとなった。
このことが好感されたのが25日と26日(欧米市場が25日は休場だったため、欧米の材料がなく、日本独自の材料しかなかった)の上昇の要因となったことは間違いない。
ただ、この上昇を支えたのは、経済活動の再開だけが理由ではない。
なぜなら、株式市場には米中対立というネガティブ材料もあるからだ。
ご存じのとおり、香港情勢を巡り、米中の対立は深刻化している。
本来、米中対立は投資家のリスク回避姿勢を強める要因となる。
それに加え、日本市場に目を向けると、3月末決算の企業の多くが、今期(2021年3月期)の見通しを未定としており、具体的な会社計画を発表していない。
このことを勘案した場合、日経平均株価の上昇は一見すると不可解に見えるのではないだろうか。
だが、各国の中銀が金融緩和を行っていることを考えれば、株式市場の好調も説明がつく。
日本と欧米の中銀は、コロナショックを受けて金融緩和を行っている。
金融緩和により放出された資金を運用するために、株式市場に資金が流入したのである。
外国人投資家は買い越しに転じる
もちろん、ただそれだけで日経平均株価が上昇したわけではない。
というのも、日経平均株価の底入れ後も、外国人投資家は売り越しを続けていたからだ。
それが、ここにきて買い越しに転じたのだ。
その背景には、日本政府による財政出動もあると考えられる。
5月27日に日本政府は第二次補正予算案を閣議決定し、真水部分は約32兆円となり、その財源を建設国債(9.3兆円)および赤字国債(22.6兆円)とした。
なお、この新規国債発行のうち、すぐに真水となるのは10兆円ほどであるものの、当初は0または数兆円という見方が強かったことを考慮すると、市場にとってポジティブサプライズとなったのは間違いないだろう。
この第二次補正予算案と第一次補正予算案とを合計すると、真水部分の合計は60兆円ほどとなる。
日本の名目GDP(2019年)が553.7兆円だったことを考慮すると、その約11%にあたることから、株式市場に大きなインパクトを与えたと考えられるのだ。
今週みられた株高は需給相場の賜物のため、問題は、外国人投資家の買い越しがいつまで続くか、ということになる。
しかし、正直この部分は不透明だ。
6月12日の先物のメジャーSQ頃までは続くとの見方がある一方、実体経済はまだ回復の兆しが見えてきたわけではなく、感染拡大の第二波、第三波も懸念されている上、前述の米中対立のこともあって、流動的との見方もあるのだ。
米中対立が今週の株式市場の重しに
今回、中国は「香港国家安全法」の政策方針を全人代で採択したが、欧米諸国が猛反発している。
そして、これを受けて香港でも反政府デモが再び活発化しているのだ。
米国は、これまで香港に対し貿易や投資での優遇措置を行ってきたが、昨年11月に「香港人権・民主主義法」を成立させ、香港の十分な自治の維持を米国務長官が定期的に認定することで、この優遇措置を続けることになった。
今回の「香港国家安全法」の採択を受けて、ポンペオ米国務長官は、「もはや香港は中国から独立した自治を維持していないと、私は議会に報告した」とTwitterに投稿している。
さらに29日には、トランプ米大統領が、香港に対し認めている優遇措置を見直す手続きに入ることを発表した。
ただ、米中貿易協議の第一段階の合意については撤回しない、との報道が好感されたことから、この日のNYダウは下げ幅を縮小して取引を終えている。
とはいえ、米国による香港の優遇措置への見直しを始め、米中対立が今週の株式市場の重しになる可能性は高い。
ただし、今のところ、第一段階の米中貿易協定の撤回には至っていないことから、このことが相場の下支え材料となるだろう。
2020年6月1日~2020年6月6日の週については、引き続き、米中対立の動向に注意が必要だ。
日本における感染者の動向にも注意
さらに、日本における感染者の動向にも注意が必要である。
緊急事態宣言が解除されて以降、北九州市と東京の医療機関を中心に、クラスターの発生が確認されている。
100年ほど前に流行したスペイン風邪は、第二波の感染力が強く、致死率は第一波の10倍にも及んだという。
このことから、今回の新型肺炎に関しても、第二波を警戒する向きは強い。
さらに、今回に関しては、南半球や東南アジア、アフリカ諸国でも感染拡大がみられることから、暑さや湿度が感染力に影響を与えるとは考えられないとの見方もある。
日本では、これから夏に向けて高温多湿の季節になるものの、感染が減少するとは言い切れず、感染者数が2桁増となるようであれば、経済活動の停滞と緊急事態宣言が意識され、株式相場は軟調に推移するだろう。
元々、本格的な景気回復は今年の後半からとみられているため、現段階では上昇トレンドが継続しにくい。
そのため、2020年6月1日~2020年6月6日の週については、先週同様、香港をめぐる米中対立や、新型肺炎に関する米国の中国への制裁措置等のニュースに、日経平均株価は左右されるだろう。
日経平均株価は2020年5月25日~2020年5月30日の週に4日連続で上昇し、29日の終値はマイナス圏とはいえ、小幅な下落に過ぎなかったことから、まだ調整が入る可能性がある。
さらに、6月5日には米雇用統計の発表もある。
すでに発表されている米国の経済指標結果は予想どおり悪いものの、市場はこのことを織り込み済みのため、ドル円相場や日経平均株価への影響はそれほど出ていない。
ただし、事前予想と大幅に乖離する結果になった場合は、市場に大きなインパクトを与えるため、注意が必要だ。
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