知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通しについて(2020年6月15日~6月19日)
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
先週は上値の重い展開
2020年6月15日~2020年6月20日の週の日経平均株価は、基本的には軟調地合いになるものの、NYダウの動向次第では波乱含みの相場になることも考えられるので、注意が必要だ。
2020年6月8日~2020年6月13日の週の日経平均株価は、上値の重い展開となった。
23,000円台を回復した後は上値を追う展開にはならず、火曜日(9日)には一時23,000円を割り込む場面もあった。
翌水曜日(10日)は始値こそ23,000円を割り込む水準となったが、すぐに23,000円を回復している。
いずれも下値は堅いものの上値も重く、全体的に小動きになった。
日経平均株価が下落基調になったのは、木曜日(11日)になってから。
10日のFOMC後の記者会見において、パウエルFRB議長が、新型肺炎の感染第2波、第3波の到来によって、米国の景気が大打撃を受ける可能性を繰り返し言及したことが原因で、NYダウが下落し、円高が進行したのだ。
これにより11日の日経平均株価は23,000円をあっさり割り込み、翌金曜日(12日)には、前日のNYダウが前日比1,861.82ドル安と大幅下落して取引を終えたことから、日経平均株価は一時21,786円台を付けるなど22,000円を割り込む場面があった。
ただ、22,000円を割り込んだところで、日銀のETF購入による買い支えへの思惑から買い戻しが入り、この日の終値は22,305円48銭まで戻して取引を終えている。
メジャーSQを前に仕掛け的な売りも
株価が急落したのは、米国の景気先行き見通しが良くないことと、それに伴い投資家のリスク回避姿勢が強まり急速に円高が進行したこと(月曜日の序盤には1ドル109円60銭台だったのが、木曜日には1ドル106円60銭台まで円高が進行)が原因であるが、もう一つの要因として、先週も書いた先物の買い戻しが一服したことも挙げられる。
特に円高が進んだ木曜日には、メジャーSQを前に仕掛け的な売りが出た模様だ。
すでに書いたように、今回のFOMCでパウエルFRB議長が米国の先行き懸念を強調したことに加え、コロナショック後初めて公表された米国の経済・物価・金利見通しにおいて、2020年のGDP成長率が前年比-6.5%とマイナス成長だったことが、市場では嫌気された。
さらに、経済活動の早期再開をした米テキサス州、アリゾナ州などで新型肺炎の感染再拡大がみられることから、感染第2波への懸念が広がった形だ。
これにより、日経平均株価は急回復からの調整が入り、現在の水準まで下落したものと考えられる。
イールドカーブ・コントロールの導入が意識されドル買いが後退
今回のFOMCで公表された見通しによれば、米国のGDP成長率は、2021年以降はプラス成長に入り、2021年に前年比+5.0%、2022年に同3.5%と、長期見通しの+1.8%を上回るペースで回復する見通しだ。
失業率についても、2020年に9.3%、2021年に6.5%、2022年に5.5%と減少し、長期見通しは前回12月同様の4.1%になるとみられている。
また、PCEデフレータは2020年が0.8%、2021年が1.6%、2022年が1.7%となり、長期的には2.0%になるとの見通しで、コアPCEデフレータは2020年が1.0%、2021年が1.5%、2022年が1.7%と、いずれも前回12月の見通しを下回る水準になっている(前回12月は、PCEデフレータ、コアPCEデフレータ共に、2020年が1.9%、2021年が2.0%、2022年が2.0%の見通し)。
今回の見通しから伺えるのは、米国経済は回復傾向になるが、2022年までは少なくともコロナショック前の水準には戻らない、ということである。
そして、パウエルFRB議長が繰り返し強調したとおり、経済回復への道のりは不確実性が高い、ということである。
このことが、早期回復を期待していた市場に冷や水を浴びせる結果となり、11日のNYダウの大幅下落につながったのだろう。
なお、12日のNYダウの終値は、前日比477.37ドル高の25,605.54ドルとやや戻している。
また、一部で材料視されていたイールドカーブ・コントロールの導入については、今回は見送られた。
とはいえ、導入の可能性が無くなったわけではなく、むしろ温存することになったと考えられる。
そして、このことが米10年債利回りの上昇抑制要因になるとみられるのだ。
先日のFOMCでは2022年までゼロ金利政策を継続する方針を打ち出している。
このことに加え、イールドカーブ・コントロールの導入が市場では意識されるだろう。
その結果、低金利の状態が続くと予想されるため、ドル買いが後退し、円安進行しにくいと考えられる。
今回1ドル106円台まで円高が進んだドル円は、本原稿執筆時点(6月13日)では1ドル107円30銭台~40銭台に戻しているものの、上記の理由から、上値の重い展開が続くとみられる。
クアドルプル・ウィッチング・デーと日銀の政策決定会合に注意
そのため、2020年6月15日~2020年6月20日の週の日経平均株価は、円安進行による後押しも期待しづらく、冒頭でも書いたとおり、軟調地合いになりやすいと考えらえるのだ。
ただ、2020年6月15日~2020年6月20日の週に発表される米国の経済指標(5月小売売上高、5月鉱工業生産、5月住宅着工件数、6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数等)で米経済の堅調さが確認できれば、ドルの買い戻しが見込め、円高がいったん緩みそうだ。
また、2020年6月15日~2020年6月20日の週で気を付けたいのが、米国市場でストック・オプション、株式先物、株価指数オプション、個別株オプションの各取引が同時に期限を迎える「クアドルプル・ウィッチング・デー」である。
3の倍数月の第三金曜日が該当するのだが、6月19日がまさにその日となるため、注意が必要だ。
さらに、すでに書いた、米国における感染第2波の動向についても注意が必要だ。
感染拡大がみられる州が増加すれば、米国の経済回復に遅れが生じるとの懸念が広がる。
その結果、NYダウは下落し、日経平均株価にも下押し圧力がかかるだろう。
一方で、日本独自の材料として、15日と16日の日銀金融政策決定会合にも注視したい。
今回、金融政策は現状維持になるとの見方がされているが、思わぬサプライズがあった場合には、日経平均株価は大きく動くだろう。
特に、5月に決めた日銀の中小企業の資金繰り支援策について、大幅な拡大が決まればポジティブサプライズとなり、日経平均株価も上昇する可能性がある。
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