知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通しについて(2020年6月29日~7月3日)
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
今週も引き続きもみ合いに
2020年6月29日~2020年7月4日の週の日経平均株価は、底堅いものの上値を追う展開になりにくく、引き続きもみ合いになると考えられる。
2020年6月22日~2020年6月27日の週の日経平均株価は結果的にもみ合いとなった。
6月26日の日経平均株価の終値は22,512円08銭と、前週末比33円29銭高で取引を終えた。
もみ合いとはいえ、23日(火)には一時22,269円55銭まで値を下げる場面もあった。
その原因は、ナバロ米大統領補佐官による「中国との通商交渉は終わった」との発言だ。
この発言を受けてNYダウ先物が250ドル超下落した結果、日経平均株価は急落したのだ。
ただ、その後ナバロ米大統領補佐官がこの発言を否定し、クドロー米国家経済会議委員長も、「中国との通商交渉は終わっていない」と発言したことから日経平均株価が持ち直すなど、この日は、米国の要人による発言に振り回されている。
また、25日(木)の日経平均株価は終日軟調に推移し、22,228円28銭まで下落する場面もあった。
その原因は、米カリフォルニア州、テキサス州などで新型肺炎の感染拡大が続いたことにある。
米国における感染第二波とそれに伴う移動制限の再開への不安から、前日の米株式市場でNYダウが一時700ドル超下落したため、この日の東京株式市場では、海外投資家を中心に利益確定売りが優勢となったのだ。
その結果、リスク回避のドルの現金化が優勢となり、この日のドル円は、東京時間からニューヨーク時間に至るまで、円安地合いが続いた。
しかし、翌日には、米国での金融規制の一部緩和を好感した欧米の銀行株の上昇を受けて、東京株式市場でも金融株を中心に買いが入ったため、日経平均株価は小幅ながら前週末比プラスで取引を終えたのだ。
一見すると、日経平均株価は前週末と比較して小動きとなっているが、内容を確認すると、米国の動向を受けて値動きは意外にも荒くなっている。
なお、NYダウは週の半ばにいったん大きく値下がりした後、25日(木)には反発した。
しかし、週末の26日(金)日には、前日比730.05ドル安で取引を終えている。
週半ばの値下がりは、既述の新型肺炎の感染再拡大の他、四半期末が近いことから、米国では年金資金のリバランス売りが意識されたことも原因になったと考えられる。
26日については、新型肺炎への懸念の他、FRBが大手銀行に対し7月~9月期の自社株買いを禁じ、株主配当に上限を設けるとしたことが嫌気されたようだ。
米国の感染者数の増加と大統領選挙
週末のNYダウの下落は、感染者数の再拡大が懸念されたことが一因となっているが、日本に関していえば、感染者数は米国に比べて今のところコントロールされている。
今後も、米国での感染者数の動向を受けて、移動制限や都市封鎖が再開されるのではとの不安が高まる場面もあるだろう。
ただ、米国で感染者数がこの先増加しても、経済活動を停滞させる上記のような対策が採られるかというと、微妙なところである。
なぜなら、大統領選を控えているからだ。
そのため、トランプ米政権は景気を考慮して、今後、移動制限等は行わないとの見方が一部でされている。
米国での感染者数の動向に日経平均株価が振り回される展開はこの後も続くと考えられるが、それでも、日経平均株価の下値は堅く、2020年6月29日~2020年7月4日の週の日経平均株価も22,000円を基本的には下回らないと考えられる。
一方で、積極的に買い上がるだけの材料も乏しく、基本的にはNYダウに追随する形になると考えられるため、もみ合いになりやすいだろう。
米中の動向も懸念
ただし、不安材料として考えられるのが、米中の動向である。
貿易面における米中対立はすでに長期化しているが、中国が、香港の言論の自由を抑制する可能性が懸念される国家安全法を制定したことを受け、トランプ米政権は昨年11月に成立した香港人権民主主義法に基づき制裁措置を取る意向を示している。
そのため、この問題でも米中の対立が激化するのは必至だ。
ナバロ米大統領補佐官による米中通商交渉に関する発言が6月23日の日経平均株価の急落を招き、その後、これを否定したことから株価は急回復したが、発言どおり、米中対立が深刻化する事態が起きた場合は、日経平均株価は22,000円を割り込み、再び下落基調となるだろう。
新型肺炎の感染再拡大や世界経済の緩慢な回復については、ある程度織り込み済みであると考えられる。
もちろん、感染再拡大は日経平均株価の押下げ要因になると考えられるが、2020年6月22日~2020年6月27日の週の事例からも分かるとおり、下がると押し目買いが入るため、底堅い。
一方、米中対立に関する報道はまだ織り込み済みとまではいかず、急激な株価の押下げ、あるいは押し上げを引き起こすと考えられる。
そのため、2020年6月29日~2020年7月4日の週も、米中対立に関する報道には引き続き注意したい。
木曜日発表の米国雇用統計などに注意
また、2020年6月29日~2020年7月4日の週で注意したいのが、米国で発表される7月1日(水)の6月のADP雇用統計と同ISM製造業景況感指数、そして、7月2日(木)の同雇用統計である(今回、3日が米独立記念日で祝日に当たるため、雇用統計は前日の木曜日に発表される)。
この3つは元々注目度の高い経済指標だ。
ただし今回は、米国の経済活動再開後、はじめての1か月間の統計ということになる。
そのため、経済活動を再開する前と比較して、どの程度回復しているのかに注目が集まっているのだ。
もしも回復が鈍い場合は、このことが株価の押下げ要因になると考えられ、日経平均株価も軟調に推移するだろう。
なお、7月1日と7月2日については、発表を前に日経平均株価は様子見ムードになりやすいと考えられる。
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