知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通しについて(2020年12月28日~12月31日)
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
今週は上値が重く、もみ合いに
2020年12月28日~2021年1月2日の週の日経平均株価は、実質的に3日間しか取引は行われず、年末年始の休み前にポジションを解消する動きも出ると考えらえるため、上値が重く、もみ合いになりやすいだろう。
先週も上値の重い状態
2020年12月21日~2020年12月26日の週の日経平均株価は、21日(月)、22日(火)は、英国で新たに発生した変異種の新型コロナウイルスへの感染が確認されたとの報道を受けて、下落。
経済活動が再び停滞するのではないかとの懸念が広がったことに加え、クリスマス前で海外投資家の市場参加が少なかったことも相場の重しとなった。
23日(水)は、前日に欧米株や米ハイテク株が上昇したことが好感され、日経平均株価は小反発した。
24日(木)は、英国のEU離脱に関し、英国側とEU側との貿易交渉が合意目前との報道を受けて投資家心理が改善し、上昇。
また、米国で新型コロナウイルスワクチンの第1回目を接種した人が100万人に達したとの報道も好感された模様だ。
25日(金)は欧米市場がクリスマス休みに入っていることから、海外投資家の参加が少なく、方向感に欠ける展開となり小反落した。
このように、2020年12月21日~2020年12月26日の週の日経平均株価は、前半は続落し、中盤以降やや持ち直す展開となった。
もともと、クリスマスを前に海外投資家が休みに入っていることから、市場参加者が少なく、上値の重い状態になると考えられていたが、実際にその通りになった形だ。
変異種の新型コロナウイルスへの感染が確認
今回、投資家心理の重しになったのが、英国で感染が確認された新型コロナウイルスの変異種である。
現在この変異種について分かっている情報は、これまでの新型コロナウイルスの最大1.7倍の感染力があるとみられ、若年層にも感染しやすいのではないか、ということだ。
ただ、これまでの新型コロナウイルスと比較し、発症率や死亡率が高いとはみられていない。
これまで高齢者を中心に感染が広がりやすいとされてきた新型コロナウイルスだったが、変異種はさらに感染力が強い。
子供や若者にも感染しやすいのであれば、感染者の年齢層が変化し、新型コロナウイルスの感染者数は爆発的に増える可能性がある。
再ロックダウン、工場の稼働停止、商業施設などの休業や営業時間の短縮などが急速に広がる可能性があり、今年の夏頃から徐々に持ち直してきた企業の業績にも暗雲が立ち込めるだろう。
また、この変異種はまだ分からないことが多く、今後新たに判明することもあると考えられる。
それが市場にどのような影響を及ぼすのか予想がつかないため、市場にとって大きな不安材料となるのは確かだ。
年明けに新型コロナワクチンが英国の変異種にも効果があるかどうか判明
なお、変異種の日本での感染者は25日(金)に確認されている。
英国からの帰国者が変異種に感染していたとのことだが、英国だけでなく、欧州を中心にすでに変異種の感染が広がっているのではないかとの見方もあることから、今後、日本での感染の急拡大が懸念される。
さらに、英国のものとは異なる変異種が、南アフリカとナイジェリアでそれぞれ確認されているが(南アフリカのものは英国での感染が確認された)、その特徴はまだわかっていない。
すでに開発された新型コロナワクチンは英国の変異種にも効果があるとの見方を、独製薬ベンチャーのビオンテックは示している。
このことが安心材料となっているため、現状では、変異種の感染拡大に関するニュースは株価の大暴落を引き起こすまでには至っていない。
新型コロナワクチンが英国の変異種にも効果があるかどうか、実験が行われるとのことだが、判明には2週間ほどかかるそうなので、結果が明らかになるのは年明けになる。
予想通り、ワクチンが変異種にも効果があることが判明すれば、株価が急落しても、年明けの比較的早い段階で持ち直すだろう。
ただし、それまでの間は気を付けなければならない。
変異種の感染拡大が顕著になれば、市場心理の重しとなり、感染の動向次第では、世界同時株安を引き起こす可能性がゼロではないからだ。
これまで市場は、コロナショックにより下押しされた企業業績は、今年の7月以降からおおむね回復に向かうとの見方をしてきた。
そして、米ファイザーや米モデルナ、英アストラゼネカなど、製薬会社による新型コロナワクチン開発の進展とともに、「アフターコロナ」を織り込んで市場は動いてきたのだ。
ここに来て変異型の発生が確認されたことは、これまでの市場の見通しをひっくり返しかねないリスクとして、留意した方が良いだろう。
英国とEUの各議会の協定案採決の動向に注意
このことから、2020年12月28日~2021年1月2日の週の日経平均株価は、新型コロナウイルスの変異種が市場心理の重しとなる一方で、すでに開発された新型コロナワクチンの効果が期待できるとの見方が下支えし、大幅な株価の下落にはつながらないとみられる。
一方で、年末ということで市場参加者が少なくなるため、上昇のエネルギーには欠けるだろう。
日本の株式市場は28日(月)~30日(水)までの3日間しか開かれないため、方向感に欠ける展開が続くと考えられる。
手仕舞いする動きも出ると考えられ、基本的には上値は重いだろう。
なお、先ほども書いたように、変異種の感染者数の国内外の動向には注意したい。
また、英国のEU離脱に関しては、先日のEU側との貿易交渉で合意なき離脱を回避しているが、英国とEUの各議会の協定案採決の動向には注意が必要だ。
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