知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通しについて(2021年3月8日~3月12日)
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
今週は、米長期金利の動向に左右されやすい展開に
2021年3月8日~2021年3月12日の日経平均株価は、米長期金利の動向に左右されやすい展開になると考えられる。
強い材料が出ない限り基本的には軟調に推移し、金融相場から業績相場へ移行する、下値固めの1週間となりそうだ。
先週の振り返り
2021年3月1日~3月6日の週は、米長期金利の上昇を懸念する下押し圧力とのもみ合いの一週間となった。
前週の日経平均株価は前日比1202円26銭安と大幅下落したものの、その日のうちに米長期金利の上昇がいったん落ち着いたため、1日(月)は割安感が強まった銘柄を中心に買い戻しが入り、日経平均株価は一時700円超上昇した。
2日(火)は、前日のNYダウが堅調に推移したことを受け、日経平均株価は朝方こそ上昇したが、時間外のNYダウ先物が下落したため、一転して軟調に。
3日(水)の日経平均株価は方向感に欠け、もみ合いとなった。
4日(木)は、再び米長期金利の上昇への懸念が強まり、前日のNYダウやナスダック総合指数の下落を受け、日経平均株価は一時800円超下落するなど終始軟調に推移し、28,930円11銭と、再び2万9000円を割り込んだ。
5日(金)は前日のNYダウが大幅下落し、日経平均株価は一時600円超下落する場面もあった。
しかし、午後に入ると円安を好感して買い戻しが入ったため、日経平均株価は下げ幅を縮小し、前日比65円79銭安の28,864円32銭で取引を終えた。
前週末比では、101円69銭安と小幅下落したことになる。
米長期金利の動向は今後もしばらくは不安
このように、日経平均株価は、米長期金利に振り回される展開となったが、その原因の一つとして、パウエルFRB議長が米長期金利の上昇に対し、静観する構えを見せていることが挙げられる。
2月23日(火)の議会公聴会で、パウエルFRB議長が足元での米長期金利の上昇について、景気回復に対する期待の表れであるとし、実質的に容認する考えを示した。
このことが米長期金利のさらなる急上昇を後押しし、市場は警戒していたが、その一方で、2020年10月-12月期の企業決算が概ね堅調だったことや、新型コロナウイルスワクチンの普及が相場を下支えしたため、日経平均株価は3万円台に乗せた。
ただ、その後は積極的に上値を追うような展開にはならず、決算発表が一巡した後は、材料難から方向感に欠ける展開になると予想されていたのだ。
しかし、NYダウの大幅下落で市場のムードは一変し、米長期金利の上昇を警戒する向きが強まった。
4日(木)に行われた、米ウォールストリートジャーナルとのインタビューで、パウエルFRB議長から、米長期金利の上昇をけん制する発言や抑制措置への言及があるのでは、と市場は期待していたが、同議長から強い警戒感は示されず、米長期金利はさらに上昇することとなった。
今後もしばらくは、米長期金利の動向は、不安定なものになるだろう。
しばらくは好悪材料が入り混じる展開か
金利上昇による企業収益の圧迫が懸念され、米国では、主にコロナ禍の恩恵を受けて急成長したハイテク関連の銘柄が売られている。
そのため、日本でもIT関連銘柄が連れ安になりやすく、日経平均株価の下押し材料になるだろう。
ただ、米長期金利の上昇は、パウエルFRB議長が言及したように、景気回復の過程において起こることであり、悪材料というわけではない。
仮に、米長期金利の上昇が急加速する場合は、FRBが何らかの抑制措置をとる可能性があり、また、米長期金利の上昇が、低金利からの反動によるものであれば、いずれは落ち着きを取り戻すだろう。
そのため、2021年3月8日~2021年3月13日の日経平均株価は、引き続き米長期金利の動向に左右されやすい展開になるが、強い材料が出ない限り、基本的には軟調に推移すると考えられる。
ただ、今回の米長期金利の上昇を受けて、ドル円は急速に円安が進んでいるため、輸出関連株には好影響となる。
もしも円安が進行した場合は、このことが日経平均株価の下支え材料となるため、日経平均株価は大幅に下落する場面があっても、買い戻しが入りやすくなるだろう。
なお、5日(金)に発表された米雇用統計は、事前予想を大きく上回る結果となった。
これにより、NYダウやナスダック総合指数は反発して取引を終えている。
しばらくは好悪材料が入り混じり、米長期金利の動向を受けて、日経平均株価がもみ合う場面も出てくるだろう。
今週の推奨セクター
2020年3月8日~2021年3月13日の週で推奨したいセクターは、引き続きエネルギー資源や銀行である。
それに加え、急速に円高が進行していることから、円安がメリットとなる銘柄も推奨したい。
今週の非推奨セクター
反対に避けたいのは、IT関連と医薬品、そして、電子部品である。
コロナ禍の恩恵を受けた米国のIT関連株は、今回の米長期金利の上昇により、PERが割高だとして大幅に売られている。
そのため、国内のIT関連の銘柄も、下押し圧力がかかりやすい状態が続くだろう。
医薬品は、コロナ禍の収束後の景気回復の恩恵を受けにくいことから、引き続き小動きになる可能性が高い。
また、電子部品は、スマホ向けを中心に、旧正月明け以降の在庫調整や受注の反動減を懸念する向きがあり、しばらくは様子見ムードが続きそうだ。
今週の経済指標は2月消費者物価指数
なお、2021年3月8日~2021年3月13日の週は、10日(水)の2月消費者物価指数に注目したい。
