知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通しについて(2023年8月14日~8月19日)
2023年8月21日~2023年8月26日の週のNYダウは、引き続き神経質な展開になると考えられる。
一方、日経平均株価は軟調に推移しそうだ。
先週の振り返り
2023年8月14日~8月19日の週の日経平均株価は大幅下落した。
14日(月)の日経平均株価は、米ハイテク株安を受けて下落してスタートすると軟調な展開に。
後場の日経平均も米ハイテク株安を受けた半導体株の下落を受けて400円超下落し、前営業日比413円74銭安の32,059円91銭と大幅反落して取引を終えた。
15日(火)の日経平均株価は、前日のNYダウとナスダック総合指数の上昇を受けて買い優勢となった。
後場の日経平均株価は方向感の欠ける中小動きとなり、前日比178円98銭高の32,238円89銭で取引を終えた。
16日(水)の日経平均株価は、前日のNYダウやナスダック総合指数の反落を受けて売り優勢となると、453円超下落する場面もあった。
後場の日経平均株価は動意の乏しい状態が続き、前日比472円07銭安の31,766円82銭で取引を終えた。
17日(木)の日経平均株価は、前日のNYダウとナスダック総合指数の下落を受けて軟調に推移すると、香港ハンセン指数の大幅安も嫌気され、一時前日比457円超下落したが、その後買い戻しが入ると下げ幅を縮めた。
後場の日経平均株価は売りが一服して押し目買いが入る場面もあったが、足踏み状態となり、前日比140円82銭安の31,626円00銭で取引を終えた。
18日(金)の日経平均株価は、前日のNYダウとナスダック総合指数の下落を受けて大幅安でスタートしたが、中国株や香港株が底堅く推移したことから下げ渋ると、プラス圏に浮上する場面もあった。
後場の日経平均株価はこう着状態が続き、前日比175円24銭安の3万1450円76銭と続落して取引を終えた。
NYダウは、神経質な展開に
2023年8月21日~8月26日の週のNYダウは、神経質な展開が予想される。
理由は、米長期金利の上昇と中国恒大集団の米連邦破産法15条の適用申請、ジャクソンホール会議である。
15日(火)に発表された7月の米小売売上高は前月比0.7%増となり、事前予想の同0.4%増を大幅に上回った。
自動車・同部品だけを除いた小売売上高は同1.0%増となり、こちらも事前予想の同0.4%増を大幅に上回っている。
夏のバーゲンセールや夏季休暇に伴う旅行が事前予想を上回った一因とみられているが、金利上昇、高インフレという状況の中でも米国経済の堅調さが窺える結果となったといえよう。
米国の個人消費の堅調さを示す結果となったことから米国の景気後退に対する懸念は後退し、債券が売られたため、米長期金利が上昇。
また、同日に格付け会社のフィッチが、米国の一部金融機関の格下げの可能性を警告したことも懸念材料となり、この日のNYダウやナスダック総合指数は下落している。
さらに、翌16日(水)に公表された7月のFOMC議事要旨では、「インフレに著しい上振れリスクがあり、金融政策の追加引き締めが必要になり得るとの認識を大半の参加者は引き続き示した」と記されたことが判明。
一部の当局者が過度な利上げに対する経済リスクを指摘した一方で、大半の当局者が、インフレが鈍化しない可能性を懸念したため、利上げ継続が必要になる可能性があるとの見解が示された。
このことから、市場では追加利上げの可能性が再び意識され、NYダウやナスダック総合指数など米株価指数の下押し要因となっている。
加えて、17日(木)には中国不動産大手の恒大集団の米連邦破産法15条の適用申請が報道された。
同社を巡っては、2021年の秋ごろから債務危機がたびたび報じられてきたため、市場はある程度織り込み済みと考えられる。
しかし、中国のほかの不動産会社も経営不振に陥っているところがあるうえ、中国の製造業も不振が続いていることが懸念材料になる可能性が考えられる。
同国経済の急成長を牽引してきた不動産業と製造業の失速が顕著になっていることから、今回の恒大集団の米連邦破産法15条の適用申請が2023年8月21日~8月26日の週の米市場に与える影響が懸念される。
なお、25日(金)にはパウエルFRB議長がジャクソンホール会議に出席し、経済見通しについて講演する予定だ。
ここで利上げについて言及するのかどうかに市場の注目が集まっている。
もしもパウエルFRB議長が利上げ継続方針を示唆すれば、25日(金)はもとより、翌週のNYダウにも下押し圧力がかかるだろう。
日経平均株価は軟調に推移か
2023年8月21日~8月26日の週の日経平均株価は軟調に推移しそうだ。
恒大集団の米連邦破産法15条の適用申請の影響が懸念されることに加え、25日(金)のジャクソンホール会議が意識され、買いを手控える投資家が増えそうだ。
ジャクソンホール会議の結果が市場に反映されるのは日本の場合は翌週となるものの、2023年8月21日~8月26日の週は材料難であることから、米株価指数が下落した場合にはその影響を大きく受ける可能性があることに留意したい。
今週の推奨セクター
2023年8月21日~2023年8月26日の週に推奨したいのは、金融の中でもキャッシュレス関連、その中でも特にクレジットカードやコード決済を手掛けるところである。
2023年4月に経済産業省が発表した2022年のキャッシュレス比率は36%であり、クレジットカード、コード決済、電子マネー、デビットカードの順に割合が高く、特にクレジットカードとコード決済の伸びが顕著だった。
キャッシュレス比率は順調に拡大傾向にあるうえ、インバウンド回復に伴い、外国人観光客によるキャッシュレス利用も考えられる。
今後もクレジットカードおよびコード決済を中心に需要の拡大に期待できるだろう。
今週の非推奨セクター
一方、避けたいのは非鉄金属の中でも亜鉛やパラジウム、ロジウムを取り扱うところである。
亜鉛は中国の亜鉛精錬事業者が増産傾向にあることに加え、中国国内での亜鉛需要の減退で市況の軟化が続いている。
また、素材代替や最終需要の低迷によりパラジウム、ロジウム市況も軟化している。
よってこれらの金属を取り扱う非鉄金属業者にとっては業績に重しになるだろう。
今週の経済指標
なお、2023年8月21日~8月26日の週は、25日(金)のパウエルFRB議長によるジャクソンホール会議での発言のほかに、22日(火)に7月米中古住宅販売件数、8月米リッチモンド連銀製造業指数、23日(水)に8月米製造業PMI、8月米サービス業PMI、8月米総合PMI、7月米新築住宅販売件数、24日(木)に7月米耐久財受注、25日(金)に8月米ミシガン大学消費者態度指数(確報値)の発表がある。
これらの結果にも注意が必要だ。
また、ジャクソンホール会議には植田日銀総裁も出席するため、発言に注目したい。