知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通しについて(2024年6月10日~6月15日)
2024年6月10日~6月15日の週のNYダウは、米FOMCの結果に左右されやすいだろう。
日経平均株価は不安定な展開になりそうだ。
先週の振り返り
2024年6月3日~6月8日の週の日経平均株価は、下落する日もあったが、全体としては堅調だった。
3日(月)は、前週末のNYダウが上昇したことを受けて、日経平均株価は買い優勢となると、上げ幅を拡大して一時39,000円台に乗せたが、その後は上げ幅を縮小した。
後場の日経平均株価は、39,000円近くまで上昇した後もみ合いとなり、前営業日比435円13銭高の38,923円03銭と続伸して取引を終えた。
4日(火)の日経平均株価は、前日のNYダウが下落した事に加えて、ドル円が1円ほど円高に振れたことが嫌気され、売り優勢となると軟調に推移した。
後場の日経平均株価は、手がかり難から上値の重い展開が続き、前日比85円57銭安の38,837円46銭で取引を終えた。
5日(水)は、前日のNYダウとナスダック総合指数が上昇した一方、日経平均株価は円高が重しとなり、売り優勢となった。
後場の日経平均株価は、米国の景気に対する懸念からマイナス圏を推移し、前日比347円29銭安の38,490円17銭で取引を終えた。
6日(木)の日経平均株価は、前日のNYダウとナスダック総合指数が堅調に推移したことから、ハイテク株を中心に買われると上げ幅を拡大し、39,000円台を回復する場面もあった。
後場の日経平均株価は利益確定売りに押されて伸び悩み、前日比213円34銭高の38,703円51銭で取引を終えた。
7日(金)は、前日のNYダウが上昇した一方、ナスダック総合指数が軟調に推移したことやSOX指数が弱かったことが嫌気され、日経平均株価は売り優勢に。
後場の日経平均株価は、この日発表の米雇用統計の発表を前に様子見ムードが広がり、前日比19円58銭安の38,683円93銭で取引を終えた。
今週のNYダウは?
2024年6月10日~6月15日の週のNYダウは、11日(火)、12日(水)開催の米FOMCの結果やパウエルFRB議長の発言に影響されやすいだろう。
週の半ばまで米FOMCを前に様子見ムードが強まり、方向感が出にくいと考えられる。
週の後半は、米FOMC声明文とパウエルFRB議長の発言の内容によって、その後に発表される米経済指標の結果に対する市場の反応は変わりそうだ。
なお、今回の米FOMCでは、利下げは行われないとの見方が大勢を占め、市場は利下げに対して過度な期待はしていない。
ただ、パウエルFRB議長の記者会見には注目が集まると考えられる。
ECBやカナダ銀行が利下げを行ったことが理由の一つである。
5日(水)にカナダの中央銀行であるカナダ銀行が政策金利を0.25pt引き下げ、4.75%とした。
翌6日(木)に開催されたECB理事会では、4年9か月ぶりとなる利下げが発表され、中銀預金金利を過去最高の4.0%から3.75%に引き下げた。
ECBとカナダ銀行の利下げを受けて、パウエルFRB議長が会見で利下げに対してどのようなスタンスを示すのかに注目が集まるだろう。
また、パウエルFRB議長は「インフレ率が物価目標の2%に向かい持続的に低下していると確信するにはまだ時間がかかりそうだ」との見方を示しているため、今回の記者会見では、確信の進展度合いにも注目したい。
加えて注意したいのが、ドットチャートである。
足元の経済指標が強めの結果となっていることから、市場では2024年について、現在の年3回から2回に修正されるのではないかとの見方もされている。
2回に修正された場合には、NYダウは下落すると考えられる。
ただし、ある程度織り込み済みであることから、下落しても限定的なものにとどまるだろう。
注意したいのは、それ以上に回数が引き下げられた場合である。
市場に動揺が広がり、NYダウには強い下押し圧力がかかると考えられる。
この場合、2024年6月10日~6月15日の週の後半は、NYダウは軟調に推移するだろう。
その後に発表される米経済指標の結果が強いものになった場合には、NYダウは強い下押し圧力がかかりそうだ。
なお、2024年6月10日~6月15日の週は、12日(水)に5月米消費者物価指数が発表される。
米FOMCの開催中に発表されるが、FRBが金融政策を決定するうえで重視していることから、結果に注意したい。
今週の日経平均株価は?
2024年6月10日~6月15日の週の日経平均株価は方向感が定まらず、不安定な展開になりそうだ。
米FOMCに加えて、14日(金)には日銀金融政策決定会合も開催される。
今回の日銀金融政策決定会合は、現状維持であれば大きな反応は出にくいと考えられる。
また、金融政策決定会合前の観測報道に日経平均株価が反応することもあるため、報道があればその内容に注意したい。
今週の推奨セクター
2024年6月10日~6月15日の週に推奨したいのは、銅や亜鉛を取り扱う企業である。
銅も亜鉛も供給過剰が薄れてきた。
銅は今後、銅山の稼働や拡張が予定されているが、EVや電力網投資により需要拡大が予測され、亜鉛は新規鉱山の開発が停滞しつつあることから、供給不足に陥り、需給がひっ迫する可能性が考えられる。
そのため、銅や亜鉛を取り扱う企業にとっては追い風の事業環境となるだろう。
今週の非推奨セクター
一方、避けたいのは化学・繊維の中でもエチレンに関する商品を多く手掛けているところである。
石油化学工業協会が発表した4月のエチレンプラントの稼働率は、82.4%と前月よりも3.8pt増加した。
低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリスチレンはいずれも前年同月比で減少するなど、全体的に需要の低調が続いている。
需要の回復がまだみられないうえ、誘導品の在庫が高水準であり、中国経済も回復したとはいえない状態にあることから、今はまだ避けたほうがよさそうだ。
今週の経済指標
なお、2024年6月10日~6月15日の週は、11日(火)と12日(水)開催の米FOMC、12日(水)発表の5月米消費者物価指数のほかに、13日(木)に5月米卸売物価指数、14日(金)6月米ミシガン大学消費者態度指数(速報値)の発表がある。
これらの結果に注意が必要だ。
12日(水)のパウエルFRB議長の会見の内容にも注意したい。
また、14日(金)に日銀金融政策決定会合、植田日銀総裁の定例記者会見が予定されているほか、10日(月)に日本の1-3月期四半期GDPの発表があるため、結果に注意が必要だ。