知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
皆さん投資検討する時の参考にしてください。
なお、配信は3月までとしますが、延長を希望される方がいらっしゃいましたコメントなどでお願いします。
なお、当ブログに寄稿を希望されるブロガーさんがいらっしゃいましたら、こちらからご連絡くださいませ。
感想・問い合わせ - 1億円を貯めてみよう!chapter2
今週の相場見通し(2020年3月2日~3月6日)について
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
新型肺炎感染拡大のニュースに脅さられた相場
2020年3月2日~2020年3月6日の週の株式相場は、引き続き新型肺炎の感染拡大が材料視されると考えられる。
NYダウが7日続落となった上、パウエルFRB議長が利下げを示唆する緊急声明を発表したことが重しになると考えられる。
28日の為替市場でドル円は、約2か月ぶりとなる1ドル107円台まで軟化し、一時、1ドル107円51銭まで下落する場面もあった。
終値は前日比1円54銭のドル安の1ドル108円05銭と戻したものの、パウエルFRB議長の緊急声明を考慮すると、2020年3月2日~2020年3月6日の週のドル円相場は、基本的には円高地合いになるだろう。
円高が急速に進んだことに加え、新型肺炎の世界的な感染拡大が収束の兆しを見せないことを考慮すると、日経平均株価には下押し圧力がかかりやすい。
そのため、2020年3月2日~2020年3月6日の週の日経平均株価は軟調に推移するだろう。
株価上昇のカタリストは、日本や米国の景気下支え策であると考えられる。
新型肺炎の中国での新規感染者数は27日に減少したものの、それ以外の国での感染が拡大している。
中国から遠いイタリアでも感染者が急増し、さらにはイランでも多数の感染者が出ているなど、収束の兆しを見せる気配はない。
現在は約40か国、8万人超の感染が確認されている。
ウイルスの遺伝子が90%近く似ていることから、2002年~2003年に流行したSARSとよく比較される今回の新型肺炎は、SARSが春先には収束したことから、同様の動きを見せる…つまり、気温の上昇とともに感染拡大のペースが鈍化すると考えられている。
しかし、気温の高い東南アジアや、今が夏のオーストラリアでも感染が確認されていることから、予想どおり春先に収束するのか不安視する向きも強い。
新型肺炎の世界的な感染拡大を受け、2月24日~2月28日の週の株式市場は売り一色となった。
28日の日経平均株価は5日続落となり、前日比805円27銭安の21,142円96銭で取引を終えた。
週間では9.6%も下落し、2,243円78銭下落したことになる。
NYダウについても大幅下落し、28日の終値は、前日比357.28ドル安の25409.36ドルとなった。
アメリカ利下げ観測について
米国については、景気動向が概ね堅調だったため、新型肺炎の感染拡大による影響は限定的なものに留まるとの見方が根強かった。
しかし、2月21日に発表された米国の2月サービス部門PMIが、事前予想の53.0に対し49.4と予想よりも大幅に低下し、好不況の分かれ目となる50を下回ったことがネガティブサプライズとなったことから、新型肺炎の感染拡大の影響が想像以上に米国経済に打撃を与えていることが確認され、今後の米国企業の業績への影響が懸念されている。
これを受けて、再燃したのが、米国の利下げ観測だ。
CMEのFedWatchによれば、3月中旬に開催される、次回のFOMCでの利下げ観測は70.5%と急上昇。
さらに、パウエルFRB議長が28日、「我々は政策ツールを用いて経済を支えるために適切に行動する」と緊急声明を出した。
この声明にある「適切に行動する」という文言は、利下げ局面でたびたび使われてきていることから、米国の利下げ観測はますます強まるとみられる。
今後、米国内での感染者数が増加し、米企業への影響が深刻化すれば、3月の利下げの実現如何を問わず、市場では利下げの思惑が強まるため、ドル売り→円高という流れになる。
今回、パウエルFRB議長が発表した緊急声明は、この流れを後押しするだろう。
アメリカ雇用統計など重要指数に注意
そのため、2020年3月2日~2020年3月6日の週は、米国の2月製造業PMI、2月ISM製造業景況指数およびISM非製造郷景況指数、ADP雇用統計、そして、米雇用統計の結果に注意したい。
結果が事前予想を下回る、前回値を下回る等、冴えない結果になった場合は、リスクオフの姿勢が強まることから円高圧力がかかり、日経平均株価の下押し材料になるだろう。
反対に、市場予想を上回ることがあっても過度な期待はできない。
パウエルFRB議長の緊急声明に加え、28日にWHOが新型肺炎の世界的な危険性の評価を「高い」から「非常に高い」に引き上げるなど、感染拡大に歯止めがかかっていない。
それに加えてVIX指数が急上昇している現状を踏まえると、円安も日経平均株価の上昇も限定的なものに留まるだろう。
日本市場は在宅関連銘柄銘柄に注目
一方、日本では国内の新たな感染者について日々報道されているが、インバウンドの急減に加え、イベントの相次ぐ中止、さらには、オリンピックも延期されるのではないかとの見方が急浮上している。
感染防止のために外出・外食を控える動きが出ていることに加え、27日には安倍首相が、全国の小・中学校、高校、特別支援学校に、3月2日から春休みまでの期間の休校を要請した。
また、企業側も感染拡大を防ぐための対策として、大手企業を中心に、在宅勤務の動きが出てきている。
2月24日~2月28日の週では、この動きを受けた思惑買いが見られた。
日経平均株価が軟調に推移する一方で、現在、市場の大きなテーマとなっている新型肺炎と、政府の対応に関連する銘柄が物色されたのだ。
例えば、マスク・衛生関連、テレワーク、オンライン教育などがそれに該当する。
2020年3月2日~2020年3月6日の週も、この傾向は続くだろう。
この他に、オンラインゲームや漫画アプリなど、家に居ながらにしてできる娯楽を提供している銘柄にも注目が集まる可能性がある。
また、外食を控える代わりに、テイクアウトや宅配への需要が高まっていることから、これらを手掛ける企業への思惑買いが入るかもしれない。
一方、製造業をはじめ、外食産業、イベント関連企業等は、しばらく事業環境の厳しい状態が続きそうだ。
これらの銘柄に関しては、売り圧力が強くかかるとみられる。
ただし、これらの銘柄のうち、同業他社よりも業績の下振れが少ないと考えられるものには押し目買いが入る可能性があることに注意が必要だ。
さらに、アビガン、レムデシビル、カレトラ等、今回の新型肺炎で効果が期待されている薬に関連する銘柄に関しても、続報に注意したい。
何らかの続報が出た場合に、急騰・急落を引き起こす可能性がある。
それと同時に2020年3月2日~2020年3月6日の週で注意したいのが、日米の金融当局や政府の景気下支え策だ。
もし、何らかの景気下支え策が発表されれば、NYダウは下げ止まり、日経平均株価も下げ止まるだろう。
あるいは、日本のみで財政出動などの景気下支え策が発表されても、日経平均株価は下げ止まり、買い戻しの動きが出ると考えられる。
Copyright secured by Digiprove © 2020