知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通しについて(2024年6月3日~6月8日)
2024年6月3日~6月8日の週のNYダウは引き続き不安定な展開になると考えられる。
一方、日経平均株価は上値の重い展開になりそうだ。
先週の振り返り
2024年5月27日~6月1日の週は、週の始めと終わりに上昇したものの、全体としては軟調だった。
27日(月)の日経平均株価は、前週末のNYダウとナスダック総合指数が上昇したことから買い優勢となったが、積極的な売買は手控えられた。
後場の日経平均株価は小幅高でこう着状態となり、前週末日比253円91銭高の38,900円02銭で取引を終えた。
28日(火)の日経平均株価は、前日の米国市場が休場だったことから小動きとなったが、材料難もあり上値の重い展開となった。
後場の日経平均株価は、買い戻しが入りやや下げ幅を縮小し、前日比44円65銭安の38,855円37銭と小反落して取引を終えた。
29日(水)は、前日のNYダウが下落した一方でナスダック総合指数が上昇したことから、日経平均株価はやや買い優勢で取引を開始したが、失速するとマイナス圏に沈んだ。
後場の日経平均株価は、日米の金利上昇を嫌気して半導体関連株を中心に売られ、前日比298円50銭安の38,556円87銭で取引を終えた。
30日(木)の日経平均株価は、前日のNYダウとナスダック総合指数が下落したことから売り優勢となり、下げ幅を拡大した。
後場の日経平均株価は、下げ幅を縮小した後小動きとなり、前日比502円74銭安の38,054円13銭で取引を終えた。
31日(金)は、前日のNYダウとナスダック総合指数が続落したが、日経平均株価は前日の大幅下落からの反発で買い優勢となった。
また、政府が100兆円規模の公的マネーを積極運用に回すとの報道も下値を支えた。
後場の日経平均株価は上げ幅を拡大し、前日比433円77銭高の38,487円90銭と4日ぶりに反発して取引を終えた。
今週のNYダウは?
2024年6月3日~6月8日の週のNYダウは不安定な展開になりそうだ。
その理由として、6日(木)にECB理事会、7日(金)に5月米雇用統計の発表があることが挙げられる。
2024年5月27日~6月1日の週も、FRB関係者の発言が相次いで報道され、材料視された。
28日(火)に米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が、米CNBCのインタビューに対してFRBは利下げする前にインフレが著しく改善するのを待つべきとの考えを示し、インフレ率がさらに低下しなければFRBは利上げに踏み切る可能性もあると述べた。
29日(水)には米アトランタ連銀のボスティック総裁が、FOXビジネスのインタビューの中で利下げは7月には行われないとの見方を示し、30日(木)には米ダラス連銀のローガン総裁が、政策金利が想定より景気抑制的でない可能性があると述べたことが報道された。
また、同日にダドリー前NY連銀総裁が、FRBのインフレ対応は不十分で再考が必要であるとのコラムをブルームバーグに寄稿したことも判明するなど、複数のFRB関係者がタカ派的な見解を示したことが報じられると、市場には利下げ時期の後退や利上げに対する警戒感が広がり、NYダウには下押し圧力がかかった。
一方で、30日(木)に行われた講演で、ウィリアムズNY連銀総裁が、利上げは自分のシナリオではないと発言。
同時に、今年下期にインフレ率の低下が続くとの見解を示すと、この日のNYダウは下げ止まった。
一連のFRB関係者による発言の多くはタカ派的であり、インフレに歯止めがかかっているか懐疑的なものが多い。
そのため、2024年6月3日~6月8日の週も、NYダウは引き続き米経済指標の結果に左右される展開になると考えられる。
たとえば、28日(火)に発表された5月消費者信頼感指数(確報値)は、事前予想の95.9に対し結果は102.0と上振れたが、1年先の期待インフレ率は速報値の3.5%から3.3%に低下し、5年先の期待インフレ率も、速報値の3.1%から3.0%に低下したことが市場に好感された。
29日(水)に公表された米地区連銀経済報告(ベージュブック)では、消費の勢いが鈍化している可能性を示唆する一方、物価は緩やかなペースで上昇し、継続すると予想していることが判明。
30日(木)発表の1-3月期米四半期GDP(改定値)も予想どおり下方修正されたうえに、個人消費の伸びが鈍化していることがわかった。
31日(金)発表の4月個人消費支出(PCE)は、前月比+0.2%と事前予想を下振れたうえに前回の同0.7%からも低下し、4月米消費支出(PCEデフレーター)は前年比+2.7%と前月から横ばいとなっている。
以上のとおり、市場が注目する経済指標からは、個人消費や物価上昇がやや鈍化傾向にあることが窺えるが、FRB関係者によるタカ派発言に対する市場の警戒感は強い。
したがって、市場は2024年6月3日~6月8日の週に発表される経済指標の結果に、神経をとがらせることになりそうだ。
特に注目されるのが、7日(金)発表の5月米雇用統計だろう。
強い結果となれば、利下げ時期の後退や利上げの可能性を嫌気してNYダウは急落する恐れもあるが、弱い結果となれば、NYダウの上昇要因になる。
併せて5日(水)発表の5月米ADP雇用統計の結果にも注意したほうがいいだろう。
さらに、6日(木)開催のECB理事会で利下げが行われるかどうかに注目したい。
現状、米国では早期利下げは行われないとの見方がされている。
しかし、ECB理事会が利下げを決めた場合には、FRBに対する早期利下げ期待が高まると考えられ、NYダウの上昇要因になりそうだ。
今週の日経平均株価は?
2024年6月3日~6月8日の週の日経平均株価は上値の重い展開になるだろう。
週の後半にECB理事会と米雇用統計の発表を控え、様子見ムードが広がりそうだ。
そのため、上昇する場面があっても上値を追う展開にはなりにくそうだ。
今週の推奨セクター
2024年6月3日~6月8日の週に推奨したいのは、建設や建材である。
採算の改善や資材高騰の影響の軽減、工事損失引当金計上の反動により、今後も買われやすい地合いが続くと考えられる。
その中でも建築利益率の改善がみられたり、株主還元策の強化に取り組んだりしている企業は選ばれやすいだろう。
今週の非推奨セクター
一方、避けたいのは人材サービスである。
高成長が続いていたが、2024年3月期は成長鈍化がみられたことから、市場予想を下回る決算が多かった。
求人需要自体が鈍化しているわけではないものの、業績面での期待値がそれほど高くないことから、今は避けたほうがよさそうだ。
今週の経済指標
なお、2024年6月3日~6月8日の週は、5日(水)の5月米ADP雇用統計、6日(木)のECB理事会、7日(金)発表の5月米雇用統計のほかに、3日(月)に5月ISM製造業景況指数、5日(木)に5月米サービス業PMI、5月米総合PMI、5月米ISM非製造業景況指数の発表がある。
これらの結果や内容に注意が必要だ。