9月11日に国土交通省より「首都圏の新たな高速道路料金に関する具体方針(案)について」が公表されました。これに基づき、高速道路会社が具体的な料金案を公表し、パブリックコメントを経たあとに、事業認可される予定です。
どのように変わっていくのか、国土交通省の「首都圏の新たな高速道路料金に関する具体方針(案)について」を元に解説します。
首都圏の新たな高速道路料金に関する具体方針(案)についての主なポイント
- 利用重視の料金へ移行する
- 起終点間の最短距離を基本に料金を決定
利用重視の料金へ移行する
現状では、首都高、外環、圏央道など高速道路の整備の経緯により料金水準や車種区分が高速道路によってマチマチです。そこで、高速道路利用水準に応じ、さらに車種の区分を統一した料金体系に整理します。
首都圏内の料金水準の整理・統一について 首都圏内の高速道路はkmあたりの料金が異なることから、高速自動車国道(大都市近郊区間)の料金水準(36.6円/km)に統一します。ただし、今まで割安であった、第三京浜、京葉道路、千葉東金道路などはその水準までの引き上げした場合の負担が大きいことから、段階的にあげる予定です(いわゆる激変緩和措置)。
現行と方針の料金水準の対比
自動車道路名 | 現行料金水準 | 方針料金水準 |
---|---|---|
第三京浜 | 15.7円/km | 24.6円/km |
京葉道路 | 20.4円/km | 24.6円/km |
千葉東金道路 | 24.8円/km | 24.6円/km |
首都高速道路 | 36.6円/km | 36.6円/km |
中央道均一区間 | 36.6円/km | 36.6円/km |
埼玉外環 | 36.6円/km | 36.6円/km |
圏央道 | 43.2円/km | 36.6円/km |
横浜横須賀道路 | 44.0円/km | 36.6円/km |
首都圏内の車種区分ごとの料金体系を段階的に整理し最終的に5車種に統一
首都高速は2車種、京葉自動車道路、千葉東金道路、新湘南バイパスは3車種、そのほかは5車種の料金体系になっている首都圏内の高速道路を最終的に5車種の料金体系に変更します。具体的には以下のとおりとなります。
現行の料金体系(普通車1とした場合の料金)
区分 | 2車種 | 3車種 | 5車種 |
---|---|---|---|
軽自動車 | 1.0 | 1.0 | 0.8 |
普通車 | 1.0 | 1.0 | 1.0 |
中型車 | 1.0 | 1.0 | 1.2 |
大型車 | 2.0 | 1.5 | 1.65 |
特大車 | 2.0 | 3.5 | 2.75 |
変更後の料金体系(普通車1とした場合の料金)
区分 | 5車種 (首都高以外) |
5車種 (首都高H32まで) |
---|---|---|
軽自動車 | 0.8 | 0.8 |
普通車 | 1.0 | 1.0 |
中型車 | 1.2 | 1.07 |
大型車 | 1.2 | 1.2 |
特大車 | 2.75 | 2.14 |
※首都高速については平成32年までの激変緩和措置
起終点間の最短距離を基本に料金を決定
都心経由に比べて圏央道経由で行くと割高になっていること(特に神奈川、東京、埼玉の圏央道)から、経路ではなく、乗った場所と降りた場所の起終点間の最短距離を基本とする料金に改めます。
圏央道西側の割高区間の料金水準を引き下げ
圏央道の西側(海老名ICから桶川北本ICまで)は、割高な料金体系となっていることから、料金水準を引き下げます。
たとえば、高尾山から青梅までは、現行980円のところを870円と110円減額、寒川南から相模原愛川は、現行990円から780円と210円減額を想定しています
区間 | 現行 | 変更案 | 差額 |
---|---|---|---|
入間 ↓ 境古河 |
2,310円 | 2,140円 | ▲170円 |
高尾山 ↓ 青梅 |
980円 | 870円 | ▲110円 |
寒川 ↓ 相模原愛川 |
990円 | 780円 | ▲210円 |
つくば中央 ↓ 神埼河 |
1,290円 | 1,260円 | ▲30円 |
ETC2.0搭載車は圏央道利用時に約2割引などの特典追加
ETC2.0搭載車は、圏央道利用時に約2割引になるほか、ETC2.0の大口・多頻度割引の対象道路とします。
ETC2.0割引
ETCを利用した高速道路料金の割引まとめ(休日割引・平日朝夕割引・深夜割引・アクアライン割引・ETC2.0割引など)
ETC2.0の大口・多頻度割引
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2016年3月10日より、先着50,000台限定でETC2.0の購入金額を1万円助成するキャンペーンがスタートします。これは、首都高速などの料金体系が4月1日か ...
都心に向かう場合に、外環を使って迂回した場合は外環利用分を全額割引
交通分散を図るために、外環利用して迂回した場合でも外環利用分の料金を全額割引ます。また、外環内側から都心環状線内の出口までの最短距離を基本に料金を設定します。
ただし、これらの方針によって算出した料金は、当面は現行の首都高速道路の上限金額(普通車ならば930円)以内を維持します。
区間 | 現行 | 変更案 | 差額 |
---|---|---|---|
湾岸線(浮島J) ↓ 都心環状線内 |
720円 | 720円 | ±0円 |
羽田線(羽田出入口) ↓ 都心環状線内 |
720円 | 600円 | ▲120円 |
東名 ↓ 都心環状線内 |
720円 | 600円 | ▲120円 |
中央道 ↓ 都心環状線内 |
720円 | 620円 | ▲100円 |
東北道(川口J) ↓ 都心環状線内 |
930円 | 930円 | ±0円 |
常磐道(三郷J) ↓ 都心環状線内 |
820円 | 860円 | +40円 |
東関東道 ↓ 都心環状線内 |
820円 | 850円 | +30円 |
外環内側から都心環状線内に流入する交通に対しては、最短距離の出口までの距離を基本に料金を設定
都心を通過する場合に、首都高中央環状など都心の渋滞が激しいのがネックですので、外側の環状道路に分散させたほうが渋滞解消に効果的です。よって、他県から他県へ都心を通過する場合は、現行の首都高速道路の上限金額(普通車ならば930円)を撤廃し、最短経路による走行距離に応じた金額に変更します。
まともに計算すると、例えば東名自動車道から常磐自動車道路に行く時は、普通自動車で現行930円のところが、走行距離に基づく料金設定では1,450円とあまりにも高くなることから、激変緩和措置として、普通車1,300円という上限料金が当面設定されます。(この当面というのが言葉とは裏腹に、複雑怪奇かつやっかいなのですが、話題が逸れるのでやめておきます)
区間 | 現行 | 変更案 | 差額 |
---|---|---|---|
東名 ↓ 京葉道路 |
930円 | 1,170円 | +240円 |
東名 ↓ 常磐道 |
930円 | 1300円 | +370円 |
中央道 ↓ 東関道 |
930円 | 1300円 | +370円 |
関越道・埼玉外環 ↓ 東関道 |
930円 | 1300円 | +370円 |
埼玉外環の料金体系の変更は圏央道(境古河~つくば中央)の開通時に
埼玉外環については、境古河~つくば中央の開通時(開通時期検討中)に合わせて、新たな料金を導入します。ただし、工事中に軟弱地盤があったことから2015年度の開通は難しく、翌年度移行にずれむと思われます。
現行案を見ると割安だった首都高速の長距離利用や第三京浜、京葉道路を利用している方は負担増に。
首都圏内の高速道路などは料金体系が、区間内均一であったり、距離別であったりしていて複雑怪奇な状態でしたが、今回の料金変更によって、ある程度は解消となります。また、首都高速中央環状線の渋滞回避のため、圏央道や外環を使った場合、今まで割高な金額を支払うケースもありましたが、それが解消されます。
ただし、割安であった第三京浜、京葉道路を利用されている方や首都高速の長距離利用(上限金額)を利用している方は、たとえ激変緩和措置があったとしても、必ず負担が増えます。特に首都高速の上限金額930円から1,300円と約40%の値上げとなるほか、第三京浜の保土ヶ谷から玉川までは現行260円から390円と50%の値上げとなります。
区間 | 現行 | 変更案 | 差額 |
---|---|---|---|
大泉J ↓ 美女木J |
510円 | 430円 | ▲80円 |
大泉J ↓ 川口J |
510円 | 510円 | ±0円 |
大泉J ↓ 三郷J |
510円 | 750円 | +240円 |
八王子 ↓ 高井戸 |
620円 | 620円 | ±0円 |
戸塚 ↓ 保土ヶ谷 |
210円 | 320円 | +110円 |
保土ヶ谷 ↓ 玉川 |
260円 | 390円 | +130円 |
京浜川崎 ↓ 港北 |
160円 | 440円 | +280円 |
狩場 ↓ 馬堀海岸 |
1440円 | 950円 | ▲490円 |
冒頭でも書きましたが、この方針を元に高速道路会社が具体的な料金案を公表します。公表後は、パブリックコメント募集後に決定となる手はずです。
【追記】首都高速株式会社の平成28年4月(予定)からの新料金(案)に関する事前広報が始まっています
この方針どおりの料金体系の具体案として、首都高速道路株式会社から新料金の事前広報がホームページ上で始まっています。
詳細内容は以下のページをご覧ください。
事前広報開始のお知らせ
新料金の概要
割引サービス
都心流入割引
都心流入・湾岸線誘導割引
環境ロードプライシング割引
大口・多頻度割引(ETC車)
料金の具体例(都心部利用)
料金の具体例(中央道・東名方面)
料金の具体例(横浜方面)
料金の具体例(埼玉方面)
料金の具体例(千葉方面)
【参考】ETCを利用した高速道路乗り放題プランもあります
ETCを利用した高速道路が載り放題になるプランが各NEXCOなどから発売されています。詳細は以下のページをご覧ください。
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ETC利用した高速道路割引・乗り放題プランまとめ【2017年・春休み・夏休み・冬休み】
2017年のETCを利用した高速道路乗り放題プランをまとめました。 観光地などにドライブする方で高速道路を利用する場合は、必ず、今から紹介する高速道路乗り放題プ ...
【参考】ETC車載器助成制度の記事はこちらです。
ETC車載器は助成制度を利用して購入した方が、断然お得です。現在実施中の助成制度は当ブログで紹介していますので、以下のページをご覧ください。
首都圏ETCキャンペーン
首都圏限定ですが、ETC2.0車載器導入した方先着50,000名に1万円を助成する制度は2016年3月10日からスタートしています。
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購入代金1万円助成される首都圏ETCキャンペーン ETC2.0車載器導入助成制度が2016年3月10日からスタート【先着50,000台】
2016年3月10日より、先着50,000台限定でETC2.0の購入金額を1万円助成するキャンペーンがスタートします。これは、首都高速などの料金体系が4月1日か ...
NEXCO ETC2.0車載器購入助成キャンペーン
NEXCO東日本・NEXCO中日本・NEXCO西日本が実施する主に法人向けのETC2.0車載器購入助成キャンペーンです。
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ETC2.0車載器購入費用を1台1万円支援するNEXCO ETC2.0車載器購入助成キャンペーン【NEXCO東日本・NEXCO中日本・NEXCO西日本・高速道路機構】
紹介した助成キャンペーンは終了しましたが、近畿圏で新たに自動車や二輪車(バイク)も対象の近畿圏ETCキャンペーン(1万円のETC2.0車載器購入助成)がスタート ...
二輪車ETC車載器購入助成キャンペーン(2016年4月下旬スタート)
NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本(NEXCO3社)が実施する二輪車ETC車載器購入助成キャンペーン(1万5千円助成)は2016年4月下旬からスタートします。
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バイク用ETCに15,000円が助成される二輪車ETC車載器購入助成キャンペーンが2016年4月下旬からスタート!【NEXCO東日本・中日本・西日本】
紹介した助成キャンペーンは終了しましたが、近畿圏で新たに自動車や二輪車(バイク)も対象の近畿圏ETCキャンペーン(1万円のETC2.0車載器購入助成)がスタート ...
【参考】自動車によく乗る方にオススメのクレジットカードはこちらもチェック
ガソリン代や高速料金が還元になるなど車を乗る方にオススメのクレジットカード車を乗る方にオススメのクレジットカードの情報は以下のページでまとめて解説しましたので、あわせてチェックしてみてください。
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自動車を運転する方にオススメのクレジットカードまとめ
当ブログでカーライフに最適なクレジットカードを紹介した記事をまとめました。 自動車を乗るならば高速道路のETC割引やガソリンスタンドの割引を考えるとクレジットカ ...