ご承知の方も多いと思いますが、先日三菱UFJ銀行とその行員を相手に、3億8千万の損害賠償請求を求めた地裁提訴事案が報道されました。
三菱UFJ銀行の行員から十分な説明もないままスポーツ賭博への投資を勧誘され損失を被ったとして、東京都の女性(79)が27日、行員と同行に3億8千万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴した。
訴状や関係者によると、夫の遺産を同行に預けていた女性は、担当だった行員に勧められた投資で8千万円を失った。2012年1月、この行員ら3人から「損失を取り戻しましょう」と大阪市の投資会社「スピーシー」への投資を持ち掛けられ、同年4月までに計3億8千万円を投資したが、配当や返金はほとんどなかった。
三菱UFJ行員を提訴 | 国内 | Reuters
最終的な損失は3億8千万円というその膨大な金額、8千万損した投資、更に真打登場といった感じもある「エスピーシー」、いろいろと興味深い案件ですのでちょっと調べてみました。
事案の顛末(てんまつ)はこんな感じ。
検索かけたところ、ビジネスジャーナルが詳しく記事にされていました。
三菱UFJ銀行員、顧客の高齢者女性をマルチ投資へ勧誘し、約4億円の被害与える(1/2) | ビジネスジャーナル
三菱UFJ銀行員、顧客の高齢者女性をマルチ投資へ勧誘し、約4億円の被害与える(2/2) | ビジネスジャーナル
三菱UFJ銀マルチ勧誘・巨額損失事件、被害女性が告訴へ〜銀行側は謝罪するも責任認めず(1/2) | ビジネスジャーナル
三菱UFJ銀マルチ勧誘・巨額損失事件、被害女性が告訴へ〜銀行側は謝罪するも責任認めず(2/2) | ビジネスジャーナル
簡単に説明するとこんな感じです。
夫の莫大な遺産により3億円以上のお金を手にした原告は、大手の三菱UFJ銀行浜松町支店に相談。
投資信託をすすめられ、大手だから安心ということで、2011年1月から投資信託を購入開始。
2012年1月までに3億円投資するも8千万円の損失が生じる。
原告は、当初の三菱UFJ銀行浜松支店の担当に安全な運用に切り替えを求めて移し替え。
そしたら、「やられたらやり返しましょう!」みたいな勢いで、当初担当は、後任担当と、コンサルタントを紹介。
コンサルタントは、「1カ月で3%の金利」がうたい文句のスピーシーを紹介。
投資信託3億円を解約してスピーシーに投資。
その後も後任担当とコンサルに2300万円も渡すなどするも投資額はどっかにいっちゃう。
という事案ですね。
スピーシー事案はその後大型詐欺として2012年8月に集団訴訟に移行しています。
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投資信託で8000万円損失
8千万円の損失が投資信託によるものだったことが分かりましたが、投資額が3億円だと、約27%の下落です。
どうせ販売手数料3%程度の投資信託を売りつけたことは容易に想像できますので、購入時に比べて24%の下落。
この原告2011年1月に購入したあとに、2011年3月に東日本大震災が発生し、株価も急落、為替も円高になり、ダブルパンチで損失が膨らんだことが想像されます。
例えば、三菱UFJ投信の三菱UFJ チャイナオープンあたりに投資したとすると、
2011年1月14日の基準価格10,598円から
2012年1月13日の基準価格は、7,423円へ。
30%の下落と、目を覆うようなチャートを示しています。
(ちなみに現時点は、11,000円を回復しています。)
投資信託のモーニングスター|スナップショット[三菱UFJ チャイナオープン]
震災という特殊要因といえば、特殊要因だったのですが、何も知識が無い人に対して、1年で26%~23%も下落するような商品を紹介するんです。セルサイドは。
損害賠償請求しても全額取り戻すのは難しい
三菱UFJ銀行は、行員がやったことで、組織として関与していないとして争うと思われます。
今回の判決が出るのは時間がかかると思いますが、組織としての監督責任等は認められる可能性が高いのですが、
損害賠償額全額の支払はちょっと難しいと思います。
行員は当然そんなお金があるわけないですから、たとえ判決で認められたとしても、弁済能力がないことから、実際に取り戻すことは難しいでしょう。
知識がなければ自分のお金は守れない
今回の事案は、悲惨の境地ですが、お金に対する知識が無いから被害にあうのす。
お金に対する知識はインターネットや書籍などで簡単に手にすることができます。
ただし、玉石混淆ですので、じっくりと勉強していく必要があります。
貨幣経済が続く限り、お金との付き合いは一生続きます。
お金に関する勉強を続けることは一生かけてやるべきでしょう。
それが自分のお金を守るためなのですから。