先日、ソニー銀行の普通預金の金利が0.001%になったことをお伝えしましたが、すずめの涙ほどの金利ならば、いっそのこと0%にしてしまえばよいのではないかとのごつぶやきが見受けられました。
また、大先輩ブロガーのNightWalker's Investment Blogの管理人、かつ仙人様でいらっしゃるNightWalkerさんも同じようなことをブログで言及されていらっしゃいます。
ここまできたら潔くゼロにすれば良いのに。
マイナス金利 MMF瞬殺剣と風雲預金金利の巻: NightWalker's Investment Blog
確かにそうなんですが、できない事情があるのではないかとちと考えてみました。ソニー銀行に裏を取ったわけではなく、管理人の勝手な妄想ですがお付き合いください。
普通預金を0%にできない理由は?
最初に考えたことは預金保険制度です。この制度により普通預金の金利を0%にできなかったのかなと最初に思いました。
預金保険制度とは?
国内の金融機関は、外国の金融機関の一部を除いてほとんどが、預金保険制度の対象です。預金保険制度の対象となる金融機関が破綻した場合に、預金保険の対象となる預金は、預金保険機構によって保護されます。
預金保険の対象となる預金は?
預金保険の対象となる預金は以下のとおりです。
- 決済用預金(無利息、要求払い、決済サービスという3要件を満たす預金)
→金融機関破綻時に全額保護となる - それ以外の預金等
→金融機関破綻時にその金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までとその利息等が保護となる
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普通預金の金利を0%にすると全額保護の対象に
普通預金の金利を0%にすると決済用預金の要件を満たしますので、全額保護対象となると思います。別に、問題無いかとお考えになるかと思いますが、預金保険制度の預金保険料というものが出てくるとそうは問屋がおろしません。
預金保険料とは?
この預金保険料は、預金保険機構の活動資金や資金援助、さらに保険金支払等の原資となるものであり、預金保険の対象金融機関が預金保険機構に支払います。
具体的には、一般預金等及び決済用預金の毎に、前事業年度の預金保険による保護の対象となる預金等の残高(営業日平残)に預金保険機構があらかじめ定めた預金保険料率を乗じて預金保険料を算出して支払います。
また、決済用預金と一般預金等は預金保険料率が異なり、具体的な料率以下のとおりです。
現時点の預金保険料率
- 決済用預金の保険料率:0.054%
- 一般預金等の保険料率:0.041%
ということで、普通預金の金利を0%にすると預金保険料が増える
よって、普通預金の金利を0%にすると、預入者に支払う利息が減りますが、預金保険料率が上がるため、預金保険料が増え、余計なコストを金融機関が負担しなければなりません。
例えば、普通預金金利を0%にした場合、支払利息の減少は、0.020%が0%と普通預金残高に0.020%乗じた額が減少しますが、普通預金預金保険料率が0.041%から0.054%へと普通預金残高に0.013%乗じた額が増えます。つまり、普通預金の金利を0%に下げても、預金保険料が増えるため、あまり効率が良くありませんし、評判も悪くなるという悲惨な結果になります。
普通預金の金利を0%にできなかったのはこのあたりが理由かなと思います。
そもそもハード面でも対応しているかどうか
また、マイナス金利など想定もしてなかったはずですので、各金融機関の基幹システムは、預金保険の納付準備資料作成時に決済用預金(当座預金)、それ以外の預金(定期預金や普通預金など)の区分けができていますが、ソニー銀行は当座預金が無く、決済用預金というものが確かないはずです。
この仮説が正しければ、システム的に対応していないため、基幹システム改修費用もばかになりません。(まあ、手作業でやれば良いのでしょうが、手作業での預金保険料の算出は、金融機関が定めた行内の規定に引っかかったりして、その規定の変更に余計なコストがかかる恐れがあるかもしれません。)
まとめ:0%にできなかった理由は、預金保険料の増加と基幹システムの変更回避のためか?
ということで、普通預金の金利を0%にできなかった理由は、預金保険料の増加と、基幹システムの変更などが大変だからという2点です。
何度もいいますが、ソニー銀行に直接確認したわけではありませんので、違う可能性があります。今回の記事は、居酒屋の話題程度とお考えくださいませ。
お友達にソニー銀行の方がいらっしゃったら、いろいろ聞いてみるのも良いかもしれません。ただし、「お前の銀行は、クソみたいな金利にしやがって、そもそも0.001%は酷すぎるだろ」とつかかって、険悪な雰囲気にならないようにお願いします。
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