12月6日に東京国際フォーラムで開催した岡三オンラインの無料セミナーに行ってきましたので、その模様をお伝えします。
タイトルは、2018年の世界市場を展望する ~リスクを越えて明るさを増す世界経済~で、最初の1時間は、馬渕 治好氏の講演です。馬渕氏は、ブーケ・ド・ブルーレット代表で、日経CNBCやストックボイスなどに出演していますし、日本経済新聞夕刊の十字路の執筆陣でも有名ですね。
資料も配られたのですが、流石に転載の許可は得ていませんので、ブログにアップするのはご容赦ください。講演内容をほぼテキストおこししてお伝えします。
2018年の世界市場を展望する
こんばんは。お忙しいところ、中には暇な方もいらっしゃるとは思いますが(笑)
ブーケ・ド・ブルーレットという事務所をやっています。何人いるんですかと聞かれるんですが、私1人しかいません。代表といってるんですが、家族からは一体何を代表してると笑われます。冷たい家族です。
2018年の世界市場を展望するということですが、まだ2018年になっていません。今年は1ヶ月残っていますが、それを含めてお話(2018年は)リスクは超えると思いますが、リスクが来るのではないかと思っている。一回世界的にけっこうマーケットが荒れるのではないかと思っています。ただ、実体経済がひっくり返るわけではないと思うので、起きたあとは明るい方向にマーケットは向かうのだろうと思っています。
アメリカ出張したときに現地の声では、経済はほどほどだよね。企業の利益が減っちゃうという景気が悪いわけではない。インフレになって金利を上げるというほど強くもないのですが、ほどほどの景気ということです。
アメリカの株式だけではなくて国債や社債も高すぎます。私が高すぎると気が付くのですから、ベテランのファンドマネージャーも運用者も高すぎると気が付いています。といっても、彼らは株を売ってません。
株式は高いと分かっているけど止められない。どんどん上がっていって売るのも怖いから、株を買うのを止められないんだ。ますます危ないですね。
危ない状況が一度残念ながら爆発すると思っています。何がきっかけなのか分かりにくいのですが、正確にいつ落ちるのか(分かりません)、実は今日から落ちているのかもしれません。もしかすると本格的に下がるのは1ヶ月先かもしれません。
何時なのかは分からないのですが、高すぎる株に調整が起こると思っているのですが、なぜそのようなアメリカ株の調整が起こるのですか?と聞かれると、買われすぎたものが元に戻るだけです。
アメリカ経済が不況に入るわけではないのです。アメリカの企業収益が減るわけではないのです。アメリカで大変なことが起きるわけではないのですが、ただ買われすぎたものが普通に戻ればもう一回上がっていくだろうと考えているわけです。
おそらくそれ(近い将来起こるであろうアメリカ株価調整)にそって米ドルも一回下がって上がると思いますし、日本で何か悪いことが起こるわけではないのですが、アメリカ株や米ドルが上がったり下がったりすれば、残念ながら日本株も振り回されることになりますので、一回日本株も下がったうえで上がると思います。
リスクという点では、アメリカの税制改革、減税については私の見込み以上にとても良く進んでいます。私それは間違えちゃいました。もっと揉めると思ったのですが、それはすごく早く進んでいます。
一方で、ロシアゲート、トランプ大統領を巡る疑惑ですね。こっちも悪い方向に予想以上に進んでいます。もしかすると(株価調整が起こる)きっかけはロシアゲートの進展かもしれません。
他に気になる点としては、中国です。中国株は最近不安定ですけど、後で説明する中国はニ正面作戦という政策を取っていると思っていて、それがうまくいくかという点が(市場参加者は)たぶん不安なんだと思う。今のところは中国の経済はしっかりしているけど、それがホントかなという不安が残っている。
日本の経済については内需消費よりも引き続き輸出などの外需が強いです。企業収益の実態も輸出が強い。ところが株式市場は輸出が強いというのが分かっていて安川電機とかファナックとかキーエンスとかだいぶ変われちゃったでしょ?それの調整が今起こっている。
皆買い上げすぎたから、内需に行くよと言って、このところ内需系の花王とかイオンとかに物色が移り始めているが、実体経済はまだ(外需よりも)内需の方が弱いので、弱いといっても良くはなっていますが、輸出よりも弱いので、うまくそこらへんのローテーションが回るのかなと不安があるのが一つ。
もう一つは、このところNT倍率(日経平均株価指数【日経平均】を東証株価指数【TOPIX】で割った指数)がわっと上がったんですね。日経平均がやたら上がったんですね。これは実は私は、外国人の短期筋が(日経平均の)先物購入を買ったためだと思っています。
これも後で詳しく説明しますが、短期筋は、短期間に利喰いのため反対売買をするので、今短期筋の利喰い利喰いがはじまったのでないかと思っている。TOPIXよりも日経平均が下がるという状況が続くと思います。日経平均がTOPIXより先行して下がっていきます。先物の人が利喰いのために売った株式を誰かが買えば下がらないのですが、買い手があまりみつかりません。日銀がという人もいますが、支えきれません。
そんな事もあって、日本の株式の内部で日経平均ばかりが上がったとか、外需から内需へうまくローテーションが回るか分からないという弱さがある中で、外から悪材料が降ってきて、弱さが露呈すると思っています。
主要市場見通し
繰り返しになりますが、日本経済が悪くなるわけではなないです。来年も企業収益があがります。しかし、日経平均株価23,000円をつけましたが、それは実力であげてきたわけではありません。企業収益があがってきていますので、2万円を超えたのは実力がと思いますが、2万3千円に乗ってしまったのは短期筋が買ったためお化粧が乗っかている状態だと思います。
お化粧が剥げちゃたうえで、来年は実力で2万3千円にいくと思う。来年は2万3千円を超える時間帯が長いと思いますし、来年の日経平均の高値は今年の日経平均の高値よりも高いと思います。ですから2万4千円くらいは行くと思います。ただ、その前に一回下振れがくるのではないかというのが日本株の全体感です。
2万割れは自信はありませんが、2万1千円くらいの調整があるかもしれません。仮に12月の調整が長引くと来年に一時的に日経平均株価は2万円割れドル円は105円までいく可能性はあるかもしれませんが、その後日経平均2万4千円やドル円117円から118円まで取り返す力はあると思っています。ユーロや豪ドルも動きとしては似たような感じでしょうか。
日本の企業収益や日本経済は世界と一緒に改善してるよと思っているので、長期的には右肩上がりに進むと思っています。
しかし、2017年10月からの日経平均の株価上昇が急だったので、景気が良くて企業収益が良いので株価は上がってもいいとうのはあるんですが、ただ上がり方が海外投資家の先物買いが入っていると思いますので、それが剥げ落ちるとともに、アメリカ株価が調整するので、1回下振れをしたあとに、高値を取り返すのではないかという風に思っています。
世界経済は、新興国主導で、緩やかな回復続く
以上が全体感なんですが、個別の話に降りていきたいなと思います。
IMFの世界の実質経済成長率見通しですが、2008年のリーマンショックが発生後に2009年に不況になったのですが、その後世界全体はプラス成長を続けてきました。ただ、プラスなんですが、2016年には伸び悩みがありました。2016年はブレクジットの混乱があったり、年初から株式が下がったりといろいろありましたね。そこから持ち直すでしょということなんですが、持ち直しは新興国の新興国の方が(伸び率としては)リードするという形になっています。
こういった経済環境の中で、世界の株価がどうやって動いたかを資料で見ていただけると分かると思います。
先進国は新興国に比べて価格変動のブレ幅が少ない。買ってすぐ何倍になるわけではないが新興国に比べてリスクは少ないですし、新興国は国によってバラバラで価格変動のブレ幅が大きい。そんな新興国はリスクが高くてリターンが大きいことは皆さんわかってらっしゃるとは思います。
2016年からのグラフ資料を見ていただけると、先進国の中でユーロ圏の株価と為替が急に上がっているのは、その前がダメだったからです。このようにダメだったところが短期的に化ける可能性があります。リスクは高いんですけどね。
新興国をみると、2016年からの株価や為替を見ると、ブラジルとロシアの変化は大きいですね。大変大きな戻りです。ただし、短期的にかけるのはあるがリスクが高いです。
2014年から世界の株価と為替を長期的にみると経済が良いところが株価が好調です。先進国であれば、米国>日本>ユーロ圏ですね。
同様に、新興国も2014年という長い目でみると、アジアの高成長の国がよくて、ブラジルやロシアが悪いです。新興国であれば、インド>中国>ブラジル>ロシアですね。今のところはインドが中国が追いついてきて時より抜くときがあります。
新興国はITなどの活用で、離散型インフラへ
新興国は人口も増えてきてるし成長するんでしょというは正しいのですが、私は、新興国の離散型インフラというのを注目しています。
先進国は、着々とインフラを整備して技術を高めてきました。たとえば、大規模発電所など集中型・有線のインフラをまず普及させ、続いて離散型・分散型インフラへと進んみました。そいういった歴史を後から追いかける新興国は知っているので、いきなりジャンプして、離散型インフラに飛び込めます。
たとえば、先進国において電話は、まず有線網を整備したのちに、携帯電話の復旧基地局を設置しました。新興国は僻地とか電話線を引く必要がなく、いきなり携帯電話が普及します。非識字率が高いことも関係していますね。つまり、非識字率が多いので、音声認識の技術が携帯の普及を助けています。
ほかにも送電線をひっぱる必要はない。太陽光発電してその場で電気を得ることが出来ます。また、水道も、特にインドで発達しているのですが、工業用水として、海水の淡水化プラントの技術進歩により不要になりつつあります。
さらに、電子決済が進んでいる。ちなみに、電子決済は、インドは中国並みに進んでいます。
このように新興国は離散型インフラのメリットを受けていると思います。
中国の「ニ正面作戦」は成功するのか?
冒頭で中国はニ正面作戦をしているとお話しましたので、ここで説明します。
中国の景気全体がよくないと中国は困りますよね。そこで景気全体を支えようという政策を実施しています。例えば銀行からの融資の金額はまだ伸びています。全体的にお金を貸しましょうということしていますし、金融引き締めも全体的にはしていません。
景気全体に対してアクセルを踏む政策をし続けると、バブルが起こっちゃいますよね。中国では、不動産とか株式とかリスクが高い投資先である理財商品(中華人民共和国において取引される高利回りの資産運用(投資信託)商品)が発達していて、銀行が理財商品経由でお金を集めて、理財商品を利用して貸したりしていますが、その理財商品ががバブルと困るんです。
よって、政府は、銀行がお金をどんどん貸して欲しいんだけど、不動産向けは貸し出しを禁止しています。つまり個別にブレーキを踏んでいて、これを私は、勝手に二正面作戦と呼んでいます。
このニ正面作戦がマーケットの少し混乱を招いています。
なぜかというと、共産党大会以降は景気に対する力が抜けて、景気が悪くなるという印象を市場参加者全体がもっていますが、最近ブレーキの話が多いんです。理財商品を規制すると公表していますが、なにをどう規制するのか公表していません。また、理財商品は政府保証という神話を否定したり、投機筋が短期資金調達のために短期証券発行を規制するなど、バブルを抑える発表多いですね。
お金は繋がっているので、バブルっぽいところだけ潰そうとしているんですが、全体としてお金が少なくなってきちゃうんじゃないか?全体的には景気を支えようとしているけどそんなことがうまくいくんのか?という不安が出て、総量規制になるかもということで金利が上昇してますし、株式は調整しています。
問題は、中国の株式が下がったとしても中国株って、世界のお金の動きから原則として遮断されていますね。中国A株など、基本的には中国人しか投資できない人民元建ての株式ですから、中国株が下がっても世界の市場への連鎖はしにくいはずなんです。
ポイントは、株価や金利の動きとかが、中国の経済実態を悪くなるのかということです。中国の経済実態が悪くなれば、日本企業への影響も大きいのですが、今のところは中国の実体経済は悪くなっていません。
中国の経済の統計は信用できないので、オーストラリアの統計から検証してみます。豪州は鉄鉱石などを中国向けに輸出しています。中国の景気が良いならば、豪州からガンガン輸入するはずなんです。豪州から中国向けの輸出の傾向を見てみると、2016年の輸出水準にくらべて、2017年のほうが良いことがみえます。
これだけ続くということは、去年よりも今年のほうが良いと考えられます。今のところは良いとはいえますが、ずっと大丈夫なのかという心配はありますので、マーケットでは株価が振れる恐れはありますね。長い目では心配はしていませんが。
米国の景気拡張期間は長いが・・・
気になるアメリカの話に行きたいと思います。
米国の景気循環を見ると、最長記録は、ITバブル時(1991年3月~2007年12月)は120か月、次にゴールデンシックスティーズ(1961年2月~1969年12月)は106か月です。今は2009年6月からの101か月で、市場第三位の緩やかな景気拡大です。
これだけ長く続くのはまぐれではないです。何がアメリカの景気を支えてるかと言うと、やはり個人消費が支えています。個人消費がいい背景は、雇用が良いから給与を貰っているからです。
米国雇用者の週当たりの総賃金の前年比の推移ですが、リーマンショック以降は、4%程度の伸びで安定してます。 一気に伸びていないのは、リーマンショックで痛い目にあっているので、景気が多少よくなっても悪くなるかもと、企業経営者が慎重になってるからです。このように給与の伸びが安定していて、安定してお金が入ってきているので雇用されている個人が安心して消費しているのがアメリカの景気を支えているんです。
続いて、米国の主要経済指標の推移(季節調整済値)ですが、一番安定して上がっているのが小売売上げですね。足元の2017年12月のクリスマス商戦は予想以上に順調だと聞いています。中身を見るとアマゾンが強く、実売店舗が苦戦しているようです。
住宅は振れは大きいですが堅調です。ただし、鉱工業生産は、ご説明したとおり、2016年の世界経済が変調だったことから、昨年は伸び悩んでしまいました。
その間は、輸出製造業が悪いけど、個人に支えられて内需の非製造業頼みの片側エンジン飛行だったのですが、2017年は世界経済が好調になって輸出製造業もよくなって、アメリカはエンジンが二個になりました。私はアメリカの経済自体は心配していないのですが、リスクはあります。
1つはエネルギー価格の上昇だと考えます。
2016年に輸出が伸び悩んだことから、銅の価格と原油の価格が下がりました。その後、今年に入って景気が持ち直したので、銅の価格は上がりました。
銅以外にもアルミやニッケルなど工業用系の材料は順調に上がりましたが、今年の原油価格は横ばいでした。シェールガスの増産してしまうため、頭を抑えてしまうのですが、このところじわっと価格が上がってきています。
原油価格が上昇している理由は中東情勢の不安定化だと思っています。
中東情勢がさらに混迷していくとさらに原油価格が上がってしまう恐れがあると考えます。
原油価格が上がると何で問題なのかというと2つあります。
1つは経済を痛める可能性があります。原油価格が上がるとガソリン価格があがりますが、アメリカはガソリンを利用したセントラルヒーティングが多いので、原油価格の上昇は、ガソリンや暖房費が上がってしまい、家計につらく経済に負担をかける可能性があります。
もう1つは原油が上がってしまうと、インフレになるねという話です。
物価が上がると金利も上がってしまう。
今アメリカの株が買われている理由は、金利が低いため債券運用していても儲からないから、株を買おうというということになっているので、金利が上がってしまうと株を買わずに、国債を持っていれば良いというこで、株から債券への資金流入が懸念される。つまり株を売ろうということになるのでマーケットが崩れてしまい、その崩れが直接経済に影響を与えてしまういう懸念があります。
この2つ(原油価格の上昇及びインフレ)のリスクがあるので、動向は注目していますし、警戒もしています。
サウジアラビア・イラン関係は緊張か?
中東情勢についてお話しします。中東情勢は怪しくなってきて、今一番気にしているのは、サウジアラビアとイランの関係です。我々日本人は中東から遠いので同じ中東だと考えがちですが、イスラム諸国にとって、サウジアラビアはスンニ派、イランはシーア派の盟主の立場であり、サウジアラビアはアラブ人だが、イランはペルシャ人という民族的にも異なり、元々対立をしていたのです。
イエメンやレバノンでの内戦は、サウジアラビアとイランがそれぞれ対立する勢力を支援していることから両国の代理戦争だといわれています。
この内戦は今も続いてごたごたが起こっていますが、これに加えて、トランプ大統領がイスラエルの首都がエルサレムだと言い、大使館をエルサレムに移すと言っている。本当にするかどうか分かりませんし、取り下げるかもしれませんが、エルサレムはパレスチナ人も住んでいますし、キリスト教の聖地であり、ユダヤ教の聖地であり、イスラム教の聖地でもあります。
そういう複雑な問題があるから、エルサレムをイスラエルの首都であることを、みんな言及することを控えてきたのですけど、トランプ大統領は首都だと言ってしまった。この発言で、イスラエルとアメリカの結びつきは強まる恐れがありますが、他の国が警戒しますね。
実は最近、サウジアラビアはイスラエルは接近しているんです。イスラエルが自国を超えて鉄道敷設を表明していて、サウジアラビアとイスラエルが鉄道で結ばれるという計画もあるのですが、サウジアラビアとアメリカは元々近かったですし、イスラエルとアメリカもますます近くなります。
よって、今後アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの3国の連携がはっきりしていくと、他のイスラム諸国やイスラム過激派からすると、サウジアラビアは、裏切り行為をしているという風に捉えられ、テロとか戦争とかを誘発する恐れがあります。
本当にそうなるかどうかは見極められませんが、仮に本当に起こると原油価格が跳ね上がる恐れがあります。私は原油価格をじっと見ていますが、じっと見ていてもなんにもならないですけどね(笑)
米国各市場は買われすぎ-長期的には上昇基調も、短期下落リスク-
アメリカの証券価格は、国債もジャンク債(低格付債)も株式も高すぎるんです。高すぎるということは分かっているけど、市場参加者は誰も売っていないんですよね。
わかっているけど株式は持たざるを得ないという、全員参加相場はひっくり返ると買っていた連中が全員売りに回るんですよね。そういう怖さがあるんです。
買われすぎという根拠ですが、ISM指数(製造業の景況感を示す指数)と米国債利回りの推移を比較すると、普通はほぼ連動して動くんです。考えてみると当たり前で、景気が悪くなると企業の景気に対する見方が暗くなってISM指数が下がるけど金利も下がりますよね。景気が良くなるとISM指数が上昇して、金利も上昇するのですが、最近大きく乖離しています。2014年以降ギャップが顕著で、2017年はそのギャップが激しくなった。
金利が低すぎるということは国債が買われすぎている。FRBは利上げをしていますし、国債購入を減らすと言っているのに国債が売られないんです。現地に行ってどうしてなのか?と聞くと「物価が上がらないからだよ。」という答えが返ってきます。ということは物価が上がるとひっくり返るということです。
先ほどお伝えしたとおりエネルギー価格が上昇して物価が上昇すると結構危ないのかと思います。「FRBが利上げしても関係ないよ、国債購入減らしても関係ないよ」と舐め切っているので、その反動が出るのかなぁということを気にしています。
株が買われすぎという理由ですが、PER(株価収益率)の推移を見ると、過去は18倍を超えることはほとんどなかったのが、2016年以降は、平気で超えているんです。超える起点は大統領選挙からでした。トランプ大統領は景気を刺激してくれるんじゃないんだろうか、という期待先行なんですよね。
もちろん企業収益は増えているんですけど、企業収益が増えるスピードよりも、株価の上昇のスピードの方が早いんです。
確かに法人税を減税するだろという意見はあるかもしれませんね。減税すると利益が増えますので、それを加味して、大統領選挙以降に、今すぐ下院案の20%減税をしたと仮定して計算してみた場合のPERは18倍よりも下に入りますが、11月は18倍に近く、減税を考慮してもお世辞にも安いとは言えません。
今のところ上院の案に沿って2019年から法人税減税の可能性が高いので、今の株価の上昇は早すぎないかと思っています。
(管理人注:アメリカ法人税率は2018年から21%に引き下げる案が、年内成立の可能性が高くなっています)
何度も言いますが、アメリカ株式は高すぎるので、なにかしらのきっかけで調整が起こるだろうと思っています。実は高いのは株式だけじゃないんです。ジャンク債(低格付け債)と米国債の利回り平均の格差の推移を見ていただけるとお分かりになると思いますが、2017年から差が縮まってきています。
利回りの差が縮んでいるというのは、国債に比べてジャンク債の利回りが下がっているんです。ということはジャンク債の値段が結構上がってきている。国債を買っても儲からないから、格付けは低くリスクもあるけどジャンク債を買おいうという市場参加者が多い証ですので、ひっくり返ると恐れがあるかなと。
こういったことでアメリカのマーケットは動揺する可能性があるかもしれませんが、そのきっかけが何かというのは難しいんですが、政治リスクかなと。
税制改革は思っていた以上のスピードで進んでいるのですが、ロシアゲートがみんな気にしています。
今心配しているのは2つです。
1つめは、元大統領補佐官フリン氏の起訴です。トランプ大統領就任前に、民間人であるトランプ氏がロシアと交渉したということが問題になっています。アメリカでは民間人が勝手に他国と交渉することは禁止されている法律がありますので、それにひっかかっているんです。
フリン氏はトランプの娘婿で大統領上級顧問のクシュナー氏からロシアと交渉しろと指示を受けたと言っている。
ということで、クシュナー氏も起訴されるとなると、自分の娘婿が犯罪者になった場合に、トランプ氏はそういうことを全く知らなくても、トランプ大統領の責任を追及する声がでて辞任する可能性も出てきている。
2つめは、最初フリン氏がFBIに証言したことは嘘だったんですね。フリン氏がFBIに偽証後にそれが偽証だったと知っていたんじゃないかと思われるトランプ大統領は、FBIに対してフリン氏の捜査を止めるように圧力をかけたんです。犯罪を犯したと分かっている人を圧力をかけてかばったというと司法妨害にあたります。よってトランプ大統領自身も司法妨害に問われるリスクが出てきています。
ウォーターゲート事件で弾劾されたニクソン大統領も司法妨害が原因で辞任しました。司法妨害の場合は議会側が大統領を弾劾訴追して止めさせることができます。この2つによってトランプ大統領が辞めるというリスクがあります。
最近きな臭いのは、トランプ大統領の長男が下院で証言することになっている。証言自体は非公開ですが、呼ばれているということは何かあったんでしょうね。長男まで何かあるかもしれないということです。
トランプが大統領になる前にドイツ銀行からお金を借りているんですね。その融資がロシア政府が債務保証しているのではないかという疑惑が出てきて、特別警察官がドイツ銀行に対してトランプ氏及び家族の口座情報の開示命令例をしました。本当にロシア政府が債務保証したのかどうかわかりませんが、そういう疑惑も出てきました。
ちょっとロシアゲートの問題はアメリカ株の調整のきっかけになるかもしれません。アメリカ株が下がる理由は買われすぎているから売られるんですがね。ドルも株と同じ動きになると思います。
日本株は企業実績の拡大が期待され、割高さも薄い-米市場につれて短期下押しも、長期上昇を予想-
日本の話に行きたいと思います。国内の雇用情勢はよくなってきています。失業率は改善しているし、所定外労働時間(残業及び休日出勤等の時間)がプラスになってきているので忙しいということ。
雇用についても最近は、パートタイムよりもフルタイム労働者の改善が著しい。明るいように見えるのですが、消費者態度指数を見てみると、最近は改善しつつあるが、消費増税前の水準に届いていない。
つまり以前に比べて強気ではないので、高いものは買わない。依然としてデフレ心理が抜けない。
どうして雇用は改善しているのに、デフレ心理は抜けていないのでしょうか?
1人あたりの賃金の伸び率を見てみると、パートの時給は上がっていますが、一般労働者は17月7月にマイナス。どうしてというと企業が先行きに対して慎重だからです。なかなか正社員の給与の伸びがゆるやかなので気分が明るくならないということです。
現状、内需は改善はしている、雇用もよくなってきていて心理も改善していますが、やはり内需がいまひとつ弱い。今景気を牽引しているのは外需。理由は世界経済がいいからです。
世界の貿易量は回復傾向にあることから、日本からの輸出金額と数量指数も前年比でみるとプラスになっています。
また、世界の投資(設備投資、公共投資、住宅投資等)が2016年マイナスだったのが、2017年はプラスになりました。設備投資など投資は心理で動くので、2016年の反動が2017年きています。
景気はいいとして、マーケットなんですが、日本株は買われすぎとはいいがたい。TOPIXのPER(株価収益率)は13超えると売られすぎ、16超えると買われすぎですが、今は割安とはいえないが割高ともいえない水準です。
これは、企業収益の改善しているからです。アナリストのEPS予想値も上昇していますが、冒頭でお話したとおり、今の株価は、お化粧が乗っている可能性があります。
つまり、NT倍率と日経平均株価を比較すると日経平気株価のみ上昇していていて、乖離が激しい。つまり日経平均先物ばかり買っている人が多いというです。長期筋は先物は買いませんので、海外短期筋という可能性が高いと思います。
国内報道では、10月からの日本株価の上昇は、企業業績の改善といった実態を評価した長期投資家が、腰の入った現物株投資をおこなっていると言ってますが、先日アメリカに出張した際に、「米国機関投資家などはの米系長期投資家は日本株を買っている」という話を、現地関係者に聞いたところ、「聞いたことが無いので、嘘ではないか」とみなに言われた。
直近でも日本株専門のアクティブファンドマネージャー募集広告が話題となりました。みんなの反応は「日本株をそんなに買うのか?大丈夫なのか?」と言ったくらいです。
米国の長期投資家はまだ食指が動いていないし、ヨーロッパの機関投資家も買っていない。
最近の値動きをみると短期筋が売りに回っているので、短期的にはあぶないのかなと思っている。
蛇足ですが、(出張時に)日本株を買わないでどこに買うのかと聞いたところ、投資配分を増やすのであれば、ブレクジットなどで最近悪かったが、最近良くなってきたヨーロッパか下げを完全に戻していない新興国だねとみんなが言っていました。
どちらかというと日本ではないところを海外は注目していましたね。以上駆け足でご説明させていただきました。ご清聴ありがとうございます。
質疑応答
カルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)が米国株の比率を下げて国債を上げることについて
Q)カルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)が米国株の比率を下げて国債比率を上げるという方針を打ち出したと聞いたのですが?
A)カルパースと最近打ち合わせはしていませんが(よって真意は分かりかねるが)、推測すると、米国株が高すぎるという判断でしょうね。
年金の場合は短期的に比率を落とすことはなく、マーケットを見ながら少しづつ売り買いして比率を買えるので、(仮にその方針のとおり行動したとしても、)カルパースの売りでマーケットが一斉に売りということはないと思います。
大統領変更による経済影響について
Q)仮にロシアゲートで大統領が変更になっても経済に影響があるとは思えないのですが?
A)何かの不安材料が顕在化することによって株価調整のきっかけになるだけだと思っていますのでロシアゲートはそのきっかけではないかと思っているだけです。
おっしゃるとおり、トランプ大統領が辞めてもたいしたことはないです。
1つは、アメリカは大統領選挙のやり直しはなく副大統領が昇格するだけです。今のペンス副大統領は、共和党の主流派と仲がいいので、かえって議会と大統領の関係が安定するのではないかという期待と、ペンス副大統領はかつてインディアナ州知事を経験しています。トヨタなどの工場があったので、日本企業のことを良くわかっていますし、トランプ大統領よりもいいのではないかと思っています。
もう1つは、トランプ大統領は実際には経済的に何もできていません。減税政策がようやく実施するかどうかという感じですね。
もともと経済政策があってもなくてもアメリカ経済はいいので、トランプ大統領の辞任にともなう混乱により一時的にマーケットが混乱するかと思いますが、下がり続けるとは思いませんので、長期的にアメリカ経済に対して懸念はありません。
北朝鮮のリスクは?
Q)アメリカが北朝鮮に武力行使をした場合の影響は?
A)北朝鮮情勢は読み切れないのですが、軍事衝突の可能性は高いと思っている。マチス国防長官は将官だったこともあり武力行使による悲惨な結果をよく理解しているのでやりたがっていないのですが、それ以外の閣僚は大統領も含めてやる気になっているという話をちらほらと聞いたので危ないことは危ないです。
今、フェルトマン国連事務次長が北朝鮮を訪問しているが、それでも解決しないと、なんらかの事が起こる可能性は高いのかなと危惧していますが、私は軍事専門家ではないので、読みきれないのですけど、あるかなと思っています。
仮に武力行使したはどうなるかというと、先行きは難しいのですが、ありえないと思うのは、北朝鮮の抵抗が半年や1年続くということ。短期決着だと思いますが、一番マーケットが出にくいのは、アメリカが武力行使した時にはマーケットは影響が出ますが、例えば攻撃して24時間で北朝鮮が崩壊するとか反撃がまったくできない事だと思います。
逆に一番マーケットに良くないのは、反撃されてしまうことです。例えば日本にミサイルを打ち込まれるとか、首都に着弾するとかですね。以前に、東京に着弾した場合のマーケットの影響を教えてくださいと聞かれたことがあるのですが、日本が攻撃されたら短期的に大幅に下がるだろうが、中期的に下がり続けるとは思えず、これは不謹慎でテレビではいえないのですが、長期的には復興需要で上がる可能性があるお話しました。
レパトリ減税について
Q)レパトリ減税実施に伴う為替の影響は?
A)ブッシュ政権時代に1年間の次元措置としてレパトリ減税をした際は、お金が流れて大幅なドル高円安になったのですが、今回は恒久減税なので、急ぐ必要は無いよねという心理があるので、急に為替が動かないと思うのと、逆にレパトリ減税実施前は、減税されるまでお金を戻すのをやめておこうということで、ドル安に働くことはないと思います。
つまり、レパトリ減税が実施になっても為替に対する影響は極めて限定的だと考えてます。
無料で参加しましたが大変濃いセミナーでした
まとめると、日本経済やアメリカ経済を含めて世界経済は来年も成長を続けるが、アメリカ株価が買われすぎの調整がなんらかのきっかけで起こる可能性がある。そのきっかけになるのは、エネルギー価格の上昇、ロシアゲートなどの大統領の問題、北朝鮮などが考ええられるということでした。調整後は実体経済が損なわれるわけではないので、経済成長とともに株価も上がっていくだろうとのことです。
おおよその馬渕氏の見立ては管理人もほぼ同意しますし、原油価格については自分もウオッチしていかないといけないと思い直しました。
後半は、三井住友アセットマネジメント主催の世界経済と新興国経済の動向~アジアを中心に~ということで1時間程度のセミナーでしたが、ようするに同社が運用している高成長インド・中型株式ファンドを買ってねという感じでした。長くなってしまったので割愛します。インド自体は管理人は前から新興国の中では興味がありますが。
これに出席したあとに風邪引いてしまい、体調が悪かったので、公開するのが遅れてしまいました。
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