「1億円は貯められる」とのうたい文句で顧客を集めたアブラハムプライベートバンクの海外ファンドお取り寄せサービスである「いつかはゆかし」。
当ブログもそのコンセプトが紛らわしいと誤爆を受けたこともありました。
アブラハム・プライベートバンク「いつかはゆかし」と当ブログの関係について 1億円を貯めてみよう!/ウェブリブログ
さて昨日アブラハムプライベートバンクが行政処分を受ける方向になったとニュースになりました。
アブラハム処分勧告へ 監視委「投資助言を逸脱」:日本経済新聞
証券取引等監視委員会は投資助言大手アブラハム・プライベートバンク(東京・港)を行政処分するように金融庁に勧告する方針を固めた。金融商品販売業者の登録をせずに海外運用会社の商品を実質的に販売し、金融商品取引法に違反したと判断した。金融庁は、業務の一時停止を軸に業務改善を求める構え。一方、アブラハム側は「投資助言業は逸脱していない」と見解の相違を強調している。
投資助言・代理業とは?
アブラハムプライベートバンクは金融商品取引業者の登録していますが「投資助言・代理業」だけです。
「投資助言・代理業」は金融商品に対する投資判断に際して、専門的な立場から投資家に助言を行う対価として顧客から報酬をもらう業のことです。
要するに個人が金融資産を投資するときの投資判断をアドバイスし、その代わりにアドバイス料をもらう業務ですね。
投資助言・代理業の義務
当然ですが、投資助言・代理業は、以下の2つの義務があります。
- 顧客の利益になる投資助言を忠実に行う義務
- その業務を委任されたもの職業や専門家としての能力、社会的地位などから考えて通常期待される注意義務(いわゆる善管注意義務)
投資助言・代理業がやってはいけないこと
直接、顧客に対して有価証券などを売ってはいけませんし、顧客の利益以外の行為(いわゆる利益相反行為)になるような助言を禁止しています。
アブラハム・プライベートバンクが行政処分になりそうなのはなぜ?
英系資産運用会社ハンサード社などファンドを勧める代わりに、顧客から手数料をもらうのだけなら投資助言・代理業の範囲内です。
しかし、海外籍のアブラハム・プライベートバンクの関連会社がハンサード社などから販売手数料を受け取っていたようで、これが顧客の利益相反に当たるということになります。
また、運用会社から販売手数料を貰ったうえで、その運用会社の有価証券を顧客に繰り返し紹介するこういは、販売行為と同一行為となることから、金融商品取引業者の登録が必要になります。
結局のところ
投資助言サービスと言いながら、実際は特定のファンドを売りつけて、特定のファンドの運用会社から販売手数料を貰っていたということが問題です。
普通に第1種金融商品取引業者として登録したうえで、特定のファンドを販売するといのビジネスモデルに転換すればいい話ですが、「いつかはゆかし」のコンセプトが崩れますので、行政処分(一定期間の業務停止命令を検討中とのこと)後に、今までのような派手な宣伝は難しいでしょう。