知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
皆さん投資検討する時の参考にしてください。
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今週の相場見通し(2020年3月9日~3月13日)について
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
NYダウについて
2020年3月9日~2020年3月13日の週の株式相場は、引き続き新型肺炎の感染拡大が市場の注目材料になるだろう。
それと共に、注意したいのが、米大統領選挙の予備選だ。
この結果が、NYダウや米10年債利回りにも影響すると考えられるものの、2020年3月2日~2020年3月6日の週の株式相場の動向を考慮すると、日経平均株価への影響は限定的なものに留まると考えられる。
2020年3月2日~2020年3月6日の週の株式相場は、新型肺炎の感染拡大により世界的に株価は軟調だったが、NYダウは2度も大幅高となった。
買い材料となったのは、3月2日が
- その前週にパウエルFRB議長が」利下げを示唆したこと
- 各国中央銀行が景気刺激策を行う見通しだったこと
- G7財務省と中銀総裁による電話会議が3日に行われること
であった。また、3月4日に買い材料となったのは、
- ADP雇用統計の上振れ
- 民主党指名候補の予備選で、中道派のバイデン氏が勝利
であった。
これらの材料を受けてNYダウが急騰する一方、翌日の日経平均株価の反応は限定的なものに留まったと言える。
その原因となったのは、やはり新型肺炎の日本国内での感染拡大が止まらないことであろう。
感染を避けるため、在宅ワーク、一斉休校、外出控えなど、人の動きが停滞していることから、モノの動きも停滞している。
いつ感染が止まるのか分からないために不安視する向きが強く、NYダウが上昇しても、日経平均株価が伸び悩む一因になったとみられる。
日経平均株価について
2020年3月9日~2020年3月13日の日経平均株価は前週に引き続き、軟調に推移するだろう。
上昇があっても下降トレンドの中の一時的なものにすぎない可能性が高いと言える。
市場は新型肺炎を巡りネガティブな材料が多く、企業の業績見通しも暗い。
今期に関し、通期業績を下方修正する企業が今後増えることは元々予測されていたが、帝国データバンクによれば、新型肺炎の影響により業績予想を下方修正した上場企業は、3月3日時点で50社となっている。
今後も下方修正する企業は多いと考えられ、株価が上昇するためのカタリストに乏しい。
さらに、新型肺炎の感染拡大により冷え込む景気への刺激策として、政府や日銀の対策に注目が集まっていたが、日銀が検討するとした策は、低金利の資金供給活用など、市場としては期待外れのものとなった。
このことも、日経平均株価の上昇を抑える要因と考えられる。
それと同時に、2020年3月9日~2020年3月13日の週の日経平均株価の押下げ要因となりそうなのが、急速に進んだ円高だ。
ドル円は、2月20日には1ドル112円台まで浮上したものの、3月6日には、1ドル105円前半と、2週間ほどで7円も円高が進んでいる。
3月3日に行われた緊急のFOMCで、FRBは政策金利(FF金利)を1.00-1.25%の範囲に引き下げることを決めたことから、今後、ドルの買い戻しの動きがあっても、長くは続かないだろう。
実際、民主党指名候補の予備選でバイデン氏が勝利した際、3月4日のNYダウは大幅上昇した一方で、ドル円は1ドル107円20銭台から107円50銭台に浮上したものの、上昇は長続きせず、水準を下げてこの日の取引を終えている。
今回の緊急利下げによりドル円には上昇余地がないため、仮にポジティブな材料があっても、円安が急激に進むことはないと考えられる。
一方で、新型肺炎の感染がさらに広がり、各国が緊急事態宣言を発動するなど事態が深刻化すれば、円高はいっそう進行するだろう。
そのため、為替は日経平均株価の上昇を抑制することはあっても、後押しする要因にはなりにくいと考えられる。
ECBの金融緩和と大統領予備選挙
さらに、2020年3月9日~2020年3月13日の週で注目されるのは、ECBの金融緩和である。
ただ、日本と同様、金融緩和が欧州の景気に刺激を与える効果はもはやなく、仮にECBが金融緩和策を発表しても、市場の反応は限定的なものに留まると考えられることから、日経平均株価の上昇を後押しするとは考えにくい。
なお、3月10日に米国ではミシガン州やワシントン州を含む6州で予備選や党員集会が行われる予定だが、予備選でバイデン氏が勝利すれば、NYダウの上昇要因になるだろう。
これを受けて翌日の日経平均株価は上昇する可能性が高いが、新型肺炎の感染拡大への懸念が後退しない現状を踏まえると、限定的なものに留まるか、上昇が長続きしない可能性がある。
また、先週同様、日本国内での新型肺炎の感染者数の拡大ペースがどれくらいのものになるのか、ということにも、引き続き注意したい。
拡大ペースが加速すれば、さらに市場環境は厳しいものとなる。
その一方で、ゲーム関連株など、外出控えの恩恵を受けるとみられる、いわゆる「巣ごもり」銘柄には、これまで通り買いが入るだろう。
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