知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
皆さん投資検討する時の参考にしてください。
延長を希望される方がいたので当面の間延長します。感想などコメントや感想・問い合わせから教えてもらえると嬉しいです。
なお、当ブログに寄稿を希望されるブロガーさんがいらっしゃいましたら、こちらからご連絡くださいませ。
感想・問い合わせ - 1億円を貯めてみよう!chapter2
今週の相場見通し(2020年5月18日~5月22日)について
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
今週の日経平均株価は、海外市場の動向に左右されやすい展開
2020年5月18日~2020年5月23日の週の日経平均株価は、海外市場の動向に左右されやすい展開になると考えられる。
5月11日~5月16日までの間に3月期決算の発表が一通り終わったため、材料に乏しい状態が続くだろう。
そのため、NYダウの動向の影響を強く受けるものと考えられる。
先週は上値の重さを感じる展開
2020年5月11日~2020年5月16日の週の日経平均株価の終値は週の半ばまで2万円台を維持して推移したものの、上値の重さを感じる展開に。
じり安の展開となり、5月14日(木)の終値は2万円台を割り込んだ。
その原因となったのは、米国時間の13日に行われた、パウエルFRB議長の米シンクタンクのイベントでの講演である。
この講演でパウエルFRB議長は、米国の景気先行きについて、不確実性が非常に高く、大きな下振れリスクにさらされており、追加の財政・金融措置が必要であるとの見解を示した。
これにより、新型肺炎の感染拡大による経済への影響が長期化するのではないかとの見方が広がったため、この日のNYダウが下落。
その流れを引き継いだ14日の日経平均株価は朝から軟調なスタートとなり、売り優勢となった。
そのため、この日の日経平均株価の終値は19,914円64銭と2万円台を割り込んだのである。
翌15日も上値の重い展開が続き、前場の終値は19,852円52銭と下げ幅を拡大。
ただ、午後は緊急事態宣言の一部解除に伴う経済活動再開が材料視されたことから、日経平均株価は2万円台を回復。
しかし、この日の始値の20,149円79銭には届かず、20,037円47銭と、2万円を若干上回る水準で取引を終えていることから、やはり上値の重さを感じる内容となった。
感染拡大に関するニュースに株価が過敏に反応してしまう傾向は今後も続く
すでに書いたとおり、緊急事態宣言が5月14日に39の県で解除された。
しかし、先んじて経済活動を再開している中国、韓国などの国では、一部で再び感染が拡大している。
感染第2波、第3波が到来することは、ほぼ確定していると市場ではみなされているものの、感染拡大に関するニュースが出ると、株価が過敏に反応してしまう傾向は今後も続くだろう。
欧米各国も段階的に経済活動を再開させているが、感染の再拡大が懸念されている。
性急な行動制限の緩和が、感染の再拡大→再びの行動制限という流れにつながる恐れがあるため、新型肺炎による経済活動の影響は予想よりも長期化するとの見方が強まっている模様だ。
それと同時に、株式市場では、今後、前述の「感染の再拡大→再びの行動制限」が起きるたびに、揺り戻しが起こると考えられている。
感染第一波によるロックダウンとそれに伴う経済活動の停滞という最悪期は脱したものの、有効薬やワクチンなどが開発されていない現状では、揺り戻しをある程度織り込む必要がある。
2020年5月11日~2020年5月16日の週に再び日経平均株価が2万円台を割り込んだのも、経済活動再開への期待先行によって起きたこれまでの株価上昇が、パウエルFRB議長の講演での発言や、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長の警鐘(早急な経済活動再開に伴う感染の再拡大)により、揺り戻しを起こした結果だと考えられるのだ。
そのため、今後も日経平均株価は不安定な状態が続くだろう。
このような不安定な状態を脱するには、前述のとおり有効薬やワクチンが開発される必要があるが、開発は早くても今秋以降、大方の予想では来年以降になるとの見方がされている。
そのため、株式市場の不安定な状態は、日本のみならず、欧米でも今年いっぱいは続くものと考えられる。
このようなことから、2020年5月18日~2020年5月23日の週の日経平均株価は、上値が重い一方で、日銀のETF購入によって下値は堅い状態が続き、2万円を挟んだ動きになりやすいと考えられる。
気を付けたいのが、米国市場でのレポ取引の返済期限到来(5月18日)によるドル需要の増加と、それによる機関投資家の株売りである。
これにより、米国の株式市場が軟化すれば、日経平均株価はさらに下押しされるだろう。
米中関係の動向にも注意
それに加え、注意したいのが米中対立である。
元々貿易摩擦で米中は対立していたが、今回の新型肺炎を巡り、米中の対立がさらに激化しているのだ。
トランプ米大統領は14日に放送されたFOXビジネスとのインタビューで、中国との断交について示唆している。
さらに15日には、米商務省が華為技術に対する輸出禁止措置の強化を発表し、中国側もアップルへの制裁やボーイングの航空機の購入停止で対抗するとの報道がされた。
新型肺炎関連の動向に、市場はここしばらく注目していたが、米中関係の動向にも注意したい。
PERが正しく機能しない可能性があるので注意
なお、個別株についてであるが、新型肺炎の影響により、日本市場では今期決算の未公表や発表の延期が続いている。
すでに今期会社計画を発表している会社の傾向を見ると、例えば3月決算の会社の場合、1Qで底入れし、2Q以降は回復基調となる計画を立てている会社が多い。
このことから、株価はすでにこの先の業績回復を期待して上昇している可能性がある。
既述のとおり、新型肺炎の影響は想定より長期化する恐れが出ていて、第2波、第3波が訪れることで、経済活動の再停滞が懸念される。
そうなった場合、企業側は今期利益を下方修正する可能性があることに留意したい。
その上で言えるのは、現在の予想PERが通常よりも高い水準にある可能性だ。
つまり、特効薬やワクチンの開発が実現し、新型肺炎の感染拡大が完全に終息したといえる状態にならない限りは、PERが正しく機能しない可能性があるのだ。
PERを参考に銘柄選びをする場合は、上記のことを踏まえた上で行う必要がある。
Copyright secured by Digiprove © 2020