クラウドファンディングサービスは、大まかに分けると寄付型、購入型、ファンド型、融資型、株式投資型の5種類あります。
今回は、株式投資型クラウドファンディングのメリットやデメリットを解説します。
株式投資型クラウドファンディングとは?
通常のクラウドファンディングは、目的を持った企業が個人に対して、インターネットを通じて不特定多数の出資者からの資金提供を募るものですが、株式投資型クラウドファンディングは、不特定多数の投資家から少額の資金を集めることで、投資家が未上場の新規・成長企業の株式を購入できるサービスです。
未上場企業の株式は、上場等で価値が急騰する可能性もあるため、注目の金融商品です。
さらに、未上場の企業に投資できる機会はほとんどないため、株式投資型クラウドファンディングは、投資家にとってとても魅力的な投資商品だと言えます。
もちろん、未上場の株式への投資であるため、取引の参考となる気配や相場は存在しません。
そのため、換金性が乏しく、売却したいときに売却できない可能性や、売却価格が希望する価格よりも大幅に低下する可能性もあります。
しかし、その分リターンは大きくなるのが、株式投資型クラウドファンディングの魅力です。
未上場企業が上場やM&Aを行うまでには、数年間はかかることが予想されるため、余剰資金で楽しみながら投資を行うというスタンスの方にはとてもおススメです。
また、未上場企業の役員の方は、資金調達の手段として、株式投資型クラウドファンディングの利用を検討しても良いかもしれません。
クラウドファンディングの利用により、企業の事業をよりグロースさせることや、ファンの増加に繋がる可能性もありますから。
株式投資型クラウドファンディングのメリット
株式投資型クラウドファンディングのメリットは以下のとおりです。
- スタートアップ企業の株主になれる
- 有望なビジョンを持つ新興企業を応援できる
- IPO、M&A、イグジットなどによるリターンが狙える
スタートアップ企業の株主になれる
一般的に、証券会社を通じて株式を購入する場合、購入できる株式は上場企業に限られます。
一方で、株式投資型クラウドファンディングでは、未上場のスタートアップ企業へ投資できます。
もちろん、上場企業の中にも、今後の成長が期待される企業は多くありますが、より大きな幅の成長が期待できる企業への投資に成功すれば、投資家は大きなメリットを享受できます。
有望なビジョンを持つ新興企業を応援できる
株式投資型クラウドファンディングでは、社会の問題を解決する可能性がある企業や、最先端技術で社会を豊かにする企業が多く取り扱われています。
そのような有望なビジョンを持つ新興企業に投資し、応援できるというのも、株式投資型クラウドファンディングの大きなメリットです。
単にリターンを求めるだけの投資に比べて、意義のある投資にできるでしょう。
IPO、M&A、イグジットなどによるリターンが狙える
株式投資型クラウドファンディングのゴールは、IPOやM&Aによる株式の売却です。
特に投資先企業がIPOを行った場合、初値が募集価格の何倍にもなることがあるため、うまくいけば大きな利益が手に入ります。
また、投資先企業がM&Aを行った場合、新株予約権を買収先の企業に譲渡する対価としても金銭を受け取れますし、単純に株式売却による投資資金の回収(イグジット)によるリターンも狙えます。
株式投資型クラウドファンディングのデメリット
株式投資型クラウドファンディングのデメリットは以下のとおりです。
- 現金化しにくい
- 信用リスクや倒産リスクがある
- 案件によっては外部監査法人の監査を受けていない場合がある
- 上場企業比べて情報開示が限定
- 1社当たりの年間投資額は50万円まで
現金化したいときに現金化できない
株式投資型クラウドファンディングで取り扱うのは、あくまで非上場株式であり、その株式を売ろうとしても、東京証券取引所のように売るマーケットがあるわけではありませんので、現金化したいときに現金化できません。
また、株式投資型クラウドファンディングでの投資は、スタートアップ企業やベンチャー企業への長期投資が前提となっているため、一度投資すると簡単に資金を引き上げるのは難しくなります。
投資先が倒産などした場合投資資金の回収が難しい
株式投資型クラウドファンディングにおける未上場企業への投資は、将来の大きなリターンの潜在性が高いですが、未上場企業は規模がそれほど多くありませんし、上場企業のように社会的信用性もそれほど高くはありません。
また、ビジネスに失敗し、企業が倒産するリスクもあります。
こうなってしまうと、最悪の場合、投資資金の元本割れもあり得るということは、十分想定しておきましょう。
もちろん、このリスクは上場企業株式への投資した場合も負う事になりますが、スタートアップ企業への投資は、創業間もないことや規模などを考えるとそれに比べるとリスクは高くなります。
外部監査法人などの監査を必ず受けているとは限らない
株式投資型クラウドファンディングで取り扱われている未上場企業は、ポテンシャルが高く、これから成長が見込める分野での活躍が期待されています。
ただ、外部監査法人などの監査を必ず受けているとは限らないため、注意が必要です。
外部監査を受けていない企業の場合、財務状況に不安がある可能性もゼロではありません。
企業の情報開示が未上場のため限定されることがある
株式投資型クラウドファンディングでは、未上場の企業を取り扱っているため、情報開示が限定されることがあります。
そのため、投資対象企業を徹底的に調べ上げ、十分な情報を得るのは難しいかもしれません。
また、技術革新が非常に早い場合、他の革新的な技術が登場することで、発行者(取り扱い未上場企業)の優位性が損なわれ、損失が発生するおそれがあります。
1社当たりの年間投資額は50万円まで
株式投資型クラウドファンディングは、投資者1人あたり、1社につき年間50万円までしか投資できません。
そのため、有望なスタートアップ企業に対し、まとまった額の出資を行って、ハイリターンを狙う手法には向いていないと言えます。
年間投資額があまり多くない理由としては、個人による株式の大量保有が企業の経営を不安定にするリスク要因となること、クラウドファンディングによってより多くのファンを獲得できる環境づくりを阻害することなどが挙げられます。
国内の株式投資型クラウドファンディングサービスについて
株式投資型クラウドファンディングサービスはイギリスで盛んにおこなわれていますが、日本国内では、FUNDINNOが国内初の株式投資型クラウドファンディングサービスとして2017年4月からサービス開始しました。
以降数社が参入していますが、まだまだ少ないのが現状です。
夢を追える人にはオススメの投資手段
以上が株式投資型クラウドファンディングのメリットデメリットです。
リスクはかなりありますが、高いリターンを狙える可能性があり、優れた技術などを持つスタートアップ聞きに投資することにより社会の発展に寄与する可能性ある投資方法です。
株式投資型クラウドファンディングは、夢を追い求めたい人や社会貢献をしたい人にはオススメです。
一方、お金を堅実に増やしたい人には不向きです。