知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通しについて(2022年5月16日~5月21日)
金融関係の仕事にしているtakashiです。
今週の相場見通しをお届けします。
不安定な展開が続くが下値を探る動きも
2022年5月16日~2022年5月21日の週のNYダウは、不安定な展開が続くと考えられるが、下値を探る動きもみられるだろう。
日経平均株価はNYダウに引きずられやすいが、底堅く推移すると考えられる。
先週の振り返り
2022年5月9日~2022年5月14日の週の日経平均株価は軟調だったが、週末にやや盛り返した。
9日(月)の日経平均株価は、前週末の米雇用統計の結果を受けたNYダウの下落の流れを引き継ぎ、下落。
後場も軟調に推移し、日経平均株価は前営業日比684円22銭安の26,319円34銭で取引を終えた。
10日(火)の日経平均株価は、前日のNYダウとナスダック総合指数の続落を受けて幅広く売られる展開に。
後場に入ると、ドル円がやや円高方向に進行したことを受け、日経平均株価は下げ幅を拡大する場面もあったが、下げ渋ると前日比152円24銭安の26,167円10銭で取引を終えた。
11日(水)の日経平均株価は、前日比マイナス圏でスタートしたが、前日のナスダック総合指数の反発を受けて値がさハイテク株が変われると下げ渋り、プラスに浮上。
後場は堅調に推移したが、トヨタ(7203)の決算発表後、他の自動車株にも売りが波及すると伸び悩む展開となり、日経平均株価は前日比46円54銭高の26,213円64銭と小幅ながらも反発して取引を終えた。
12日(木)の日経平均株価は、前日のNYダウが5日続落したことやナスダック総合指数が大幅反落したことから軟調に。
26,000円を回復する場面もあったが、その後は同水準を挟んで一進一退の展開となった。
後場に入ると、日経平均株価はアジア株の下落を受けて下げ幅を拡大し、前営業日比464円92銭安の25,748円72銭で取引を終えた。
13日(金)は、前日のNYダウが下落したものの、5月限のオプション取引に係るSQ買い戻しや、米長期金利低下による値がさハイテク株の大幅高を受けて、日経平均株価は上昇した。
後場の寄り付き直後に利食い売りが出たものの、日経平均株価は高値で堅調に推移し、前日比678円93銭高の26,427円65銭で取引を終えた。
金融引き締めへの懸念から引き続き不安定な動きが続く
2022年5月16日~2022年5月21日の週のNYダウは、金融引き締めへの懸念から、引き続き不安定な動きが続くと考えられる。
11日(水)発表の4月米消費者物価指数は、前年同月比+8.3%と、事前予想の同8.1%を上回る結果となった。
また、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは、前年同月比+6.2%と、事前予想の同+6.0%を上回る結果となり、米国のインフレが高止まりしていることが伺える内容である。
さらに、12日(木)発表の4月米卸売物価指数は、前年同月比11.0%となり、事前予想の同10.7%を上回った。
一方で、食品とエネルギーを除くコアPPIは前年同月比8.8%と、事前予想の同8.9%を下回っている。
ただ、3月分は前月比1.6%と速報値の1.4%から上方修正され、コアPPIは前月比1.2%と速報値の1.0%から上方修正された。
この結果から、生産者サイドのコスト上昇と、それに伴う消費者への価格転嫁が進む可能性が伺え、インフレの高止まりが長期化するのではないかとみられている。
この2つの米経済指標の結果はFRBの利上げ姿勢が続く可能性を示唆するものとなったが、10日(火)にはクリーブランド連銀のメスター総裁が、米メディアのインタビューで、「0.75ptの利上げを排除しない」との発言をした。
この発言を受けて、0.75ptの利上げの可能性への警戒感が市場に広がり、この日のNYダウは上げ幅を縮小。
今後も0.75ptの利上げに対する市場の警戒感はくすぶると考えられ、市場の注目度の高い指標が強い結果になった場合には、NYダウは不安定な動きになるだろう。
そのため、17日(火)の4月米小売売上高や、この日に予定されているパウエルFRB議長の発言には特に注意が必要だ。
なお、メスター総裁は、13日(金)にFRBなどが共同主催したイベントでの講演で、「6月と7月の各0.5ptの利上げは妥当だが、その後、加速させる必要があるかどうかを見極める必要性が出てくる」「バランスシートの縮小において、いずれかの段階で住宅ローン担保証券(MBS)の売却を支持する」との考えを示している。
このように、急速な金融引き締めに対する懸念材料はあるものの、NYダウが4月下旬から5月上旬にかけて大幅下落したことを勘案すると、そろそろ下値を探る動きが出てくる可能性も考えられる。
一方、日経平均株価は引き続きNYダウの動きに翻弄されやすくなるだろう。
ただ、下落時も円安が下支えし、業績が好調な輸出関連企業を中心に底堅い動きになると考えられる。
今週の推奨セクター
22022年5月16日~2022年5月21日の週に推奨したいのは、自動車部品の中でもタイヤである。
米国タイヤ工業会(USTMA)発表の4月の米国タイヤ出荷本数は、PC/LT(乗用車用/小型トラック用)が、市販用が前年同月の反動で8.6%減となったものの、コロナ禍前の2019年4月と比較して大幅に上回っている。
ブリヂストンなどタイヤ大手3社は今年3度目となる値上げを行うが、需要が好調であることから値上げが浸透しやすいと考えられ、反動があっても一過性のものにとどまるだろう。
そのため、堅調な需要を背景に、売上は今後も好調に推移すると考えられる。
今週の非推奨セクター
一方避けたいのは、鉄鋼である。
4月の中国の新規鋼材受注PMIは3月の39.3から大幅悪化し33.6となった。
新型コロナウイルスの中国国内での感染拡大に伴う上海等でのロックダウンの影響が出たと考えられるが、一時的な数値であるとみられる。
ただ、ロシア・ウクライナ戦争で、欧州向けの鋼材輸出を停止されたロシアの鉄鋼各社が価格を下げて鋼材半製品を輸出していることや、インドや東南アジアでは鋼材価格の高騰に伴い鋼材需要が鈍化するなど複数の悪材料があるため、避けた方が良いだろう。
今週の経済指標
2022年5月16日~2022年5月21日の週は、17日(火)の4月米小売売上高やパウエルFRB議長の発言の他に、16日(月)に5月米ニューヨーク連銀製造業景気指数、19日(木)に5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数の発表が予定されている。
また、20日(金)には日本の4月全国消費者物価指数の発表も予定されている。
これらの結果や内容には注意が必要だ。
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