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今週の相場見通しについて(2023年5月15日~5月20日)
2023年5月15日~2023年5月20日の週のNYダウは、米債務上限問題が懸念材料となり、引き続き不安定な展開になると考えられる。
日経平均株価も米債務上限問題の影響を受けると考えられるものの、下値は堅いだろう。
先週の振り返り
2023年5月8日~2023年5月13日の週の日経平均株価は、堅調だった。
8日(月)は、前週末のNYダウとナスダック総合指数が大幅上昇したにもかかわらず、日経平均株価は軟調に推移した。
後場の日経平均株価は利益確定売りに押されて28,900円台の安値圏でもみ合いが続き、前週末比208円07銭安の28,949円88銭で取引を終えた。
9日(火)の日経平均株価は、前日のナスダック総合指数の小幅続伸を受けて上昇すると、為替の円高一服も追い風に29,000円を回復した。
後場の日経平均株価は高値圏でのもみ合いが続いた後、一時300円超上昇。
最終的に日経平均株価は、前日比292円94銭高の29,242円82銭と反発し、年初来高値を更新して取引を終えた。
10日(水)の日経平均株価は、前日のNYダウとナスダック総合指数が小幅下落したことから売り優勢となったが、底堅い展開となった。
後場の日経平均株価は、この日の夜に発表される米消費者物価指数の発表を前に弱もちあいとなり、前日比120円64銭安の29,122円18銭で取引を終えた。
11日(木)の日経平均株価は、前日のNYダウが小幅続落したことから売り優勢でスタートすると、円高が嫌気されて下げ幅を拡大する場面もあったが、心理的な節目近くで買い戻しが入ると下げ止まった。
後場の日経平均株価は、値嵩株の一角に買いが入ったものの方向感の乏しい展開が続き、前日比4円54銭高の29,126円72銭と小反発して取引を終えた。
12日(金)の日経平均株価は、前日のナスダック総合指数の上昇が好感されて買い優勢になると、円安を追い風に年初来高値を更新する場面もあった。
後場の日経平均株価は高値圏でのもみ合いが続き、前日比261円58銭高の29,388円30銭で取引を終えた。
NYダウは、不安定な展開が続く
2023年5月15日~2023年5月20日の週のNYダウは、米債務上限問題が懸念され、不安定な展開が続くと考えられる。
米国では、政府債務が31兆4,000億ドルの法定上限に達し、来月1日にも政府の運営資金が底をつくことから、上限の引き上げや適用停止に迫られている。
どちらも行われなければ、米政府は債務不履行に陥るため、このことが懸念されている状況だ。
仮に債務不履行に陥った場合には、米国の住宅ローン等、さまざまな金利の上昇や、個人・企業に対する融資の減少、消費減退、給付金の削減などの問題が発生することになる。
与野党間の債務上限の協議が難航していると報道されているため、市場の懸念材料となっているのだ。
5日(金)に発表された米雇用統計が想定外に強かったことから市場では経済のソフトランディング期待が広がった。
また、10日(水)に発表された4月米消費者物価指数が、前年同月比4.9%増と、事前予想の同5.0%増を下回る結果となり、10か月連続で伸びが鈍化したことから、利上げ停止観測が強まった。
上記は市場にとって好材料であったにも関わらず、2023年5月8日~2023年5月13日の週のNYダウが軟調に推移したのは、米債務上限問題が懸念材料になっているためである。
今のところ、2023年5月15日~2023年5月20日の週の早い段階で、バイデン大統領が議会指導者と本件について会談を行うとの報道がされているが、動向に注意が必要だ。
野党である共和党は厳しい歳出削減を要求しているが、現政権は歳出削減を伴わない無条件の債務上限引き上げを主張しているため、交渉は難航するとみられている。
とはいえ、これまで債務上限は最終的に引き上げられてきているため、今回も同様に引き上げられるだろうとの見方が強い。
ただ、期限となる来月1日まで協議が続くとみられることから、NYダウは不安定な状態が長引くうえ、上昇時には本件が上値抑制要因になるとみられている。
したがって、2023年5月15日~2023年5月20日の週のNYダウは、不安定かつ上値の重い展開になりそうだ。
もしも2023年5月15日~2023年5月20日の週の早い段階で、債務上限引き上げが合意された場合には、NYダウは米経済指標の結果に影響を受けやすい展開になると考えられる。
なお、16日(火)に4月米小売売上高の発表が予定されているが、債務上限問題が解決していない場合には、結果が良好なものとなっても、NYダウの上昇は限定的になるだろう。
日経平均株価は、米国の債務上限問題に影響されやすい
2023年5月15日~2023年5月20日の週の日経平均株価は、米国の債務上限問題に影響されやすいと考えられる。
本件によって円高傾向になりやすいため、日経平均株価には下押し圧力がかかるとみられるうえ、29,000円台を回復したことから、利益確定売りに押される場面もあるだろう。
ただ、3月決算企業の決算発表があり、好決算銘柄には買いが入りやすくなることから、下値は堅く、大崩れしにくいと考えられる。
今週の推奨セクター
2023年5月15日~2023年5月20日の週に推奨したいのは、電力・ガスである。
2023年3月の貿易統計速報値によれば、原油CIF価格は8月~12月の加重平均価格より下がった。
電気・ガス料金に反映される参照価格は高いが、実際の燃料費や原料費は安い状態にあることから、電力・ガスは今後回復基調になると考えられる。
今週の非推奨セクター
一方、避けたいのは鋼材関連である。
中国は経済回復が徐々に進むものの、建設市場が弱く、鋼材需要が回復していない。
同国では、建材市場が鋼材消費の6割以上を占めている。
インフラ、商業用不動産ともに減速傾向にあることに加え、住宅も着工面積が減少している。
そのため、避けた方がいいだろう。
今週の経済指標
なお、2023年5月15日~2023年5月20日は、16日(火)の4月米小売売上高のほかに、15日(月)に5月米ニューヨーク連銀製造業景気指数、18日(木)に5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数、4月米中古住宅販売件数の発表がある。
19日(金)にはパウエルFRB議長が討論会に参加する予定であるため、発言に注意したい。
また、19日(金)は、日本の4月全国消費者物価指数の発表もあるので、こちらの結果にも注意したほうがいいだろう。
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