知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通しについて(2023年7月31日~8月5日)
2023年7月31日~2023年8月5日の週のNYダウは米国の経済指標と米企業決算に左右されやすい展開となるだろう。
日経平均株価は企業決算と為替動向に左右され、不安定な展開になるだろう。
先週の振り返り
2023年7月24日~7月29日の週の日経平均株価は、不安定な展開となったものの、週間では上昇した。
24日(月)は、前週末のNYダウが小幅高、ナスダック総合指数が小幅安となったが、日経平均株価は大幅反発でスタートすると堅調に推移した。
後場の日経平均株価は利益確定売りなどから上げ幅を縮小し、前営業日比396円69銭高の32,700円94銭で取引を終えた。
25日(火)は、前日のNYダウとナスダック総合指数の上昇とは反対に、日経平均株価は売られる展開となったが、下値は限定的だった。
後場の日経平均株価は、利食い売りに押されて上値の重い状態が続き、18円43銭安の32,682円51銭と小反落して取引を終えた。
26日(水)は、前日のNYダウとナスダック総合指数が上昇したのとは反対に、日経平均株価は一時200円近く下げたが、買い戻しが入ると持ち直した。
後場の日経平均株価は、この日に行われるFOMCを前に様子見ムードから小動きとなり、前日比14円17銭安の32,668円34銭と小幅に続落して取引を終えた。
27日(木)は、前日のナスダック総合指数が小反落したことから日経平均株価は前日比マイナスでスタートしたが、プラス圏に浮上すると一進一退の展開となった。
後場の日経平均株価は買われて一段高となり、前日比222円82銭高の32,891円16銭で取引を終えた。
28日(金)の日経平均株価は、前日のNYダウとナスダック総合指数の下落を受けて前日比大幅マイナスでスタートしたが、日銀金融政策決定会合の結果公表と、植田総裁の会見を前に様子見ムードが広がり一進一退の展開となった。
後場の日経平均株価は円高進行を受けて一時800円超安となったが、買い戻しも入ると下げ幅を縮小し、前日比131円93銭安の32,759円23銭で取引を終えた。
NYダウは、米経済指標と決算に左右されやすい展開に
2023年7月31日~8月5日の週のNYダウは、米国の経済指標と米企業決算に左右されやすい展開になると考えられる。
週の後半は米雇用統計も意識されるだろう。
2023年7月24日~7月29日の週は、7月米製造業PMIや7月米消費者信頼感指数の結果が市場予想を上回り、米国の景気に対する懸念が後退したことに加え、25日(火)と26日(水)に発表された米FOMCで市場予想どおり0.25ptの利上げが決定したことから、市場には安心感が広がり、NYダウは概ね堅調に推移した。
FOMC後の記者会見において、パウエルFRB議長は9月の利下げについてデータが正当化するならあり得るとの見解を示した。
また、年内の利下げについては改めて否定したが、インフレ率が2%に収まるまで金融引き締めを続ける必要はなく、目標達成に自信が持てる場合には、政策金利は中立方向に調整可能との認識を示し、「当分の間、政策金利は高いままで維持する」というこれまでの姿勢を転換。
加えて、6月のドットチャートで多くのFOMC参加者が来年に利下げが開始されると予想していることに触れた。
今年の利下げについては否定したものの、高金利に対する姿勢の変化が窺える会見内容であったことから、この日のNYダウは堅調に推移した。
6月のFOMCでは、参加者が年内に0.25ptの利上げを2回実施するとの見通しを立てたことから、残り3回のFOMCの中であと1回利上げが行われると考えられる。
一方で、年内にはこれ以上の利上げを行わず、今回の利上げで年内の利上げを休止するとの見方も浮上しているようで、CMEのFedWatchによれば、28日(木)時点で、9月以降のFOMCでは利上げが行われないとの見方が大勢を占めている。
そのため、今後も米国の経済指標の結果に左右されやすい状態が続くと考えられるが、特に雇用関係の経済指標に注目が集まるだろう。
米国ではコア・インフレが高い状態が続いており、コア・インフレを低下させるのに重要な賃金インフレに注目が集まると考えられる。
よって、2023年7月31日~8月5日の週は、4日(金)の米雇用統計はもとより、前哨戦とされる2日(水)の7月米ADP雇用統計の結果に注意が必要だ。
強い結果になった場合には、NYダウには下押し圧力がかかると考えられる。
また、2023年7月31日~8月5日は米企業の決算発表にも注意が必要だ。
3日(木)にはアップルの4月~6月決算発表があり、その結果が米国の株価指数のみならず日本のIT関連銘柄にも影響を及ぼすと考えられるため、特に注意したい。
日経平均も企業決算に左右されやすい展開に
2023年7月31日~8月5日の週の日経平均株価は、企業決算に左右されやすい展開になると考えられる。
3月期決算企業の第1四半期決算が多く発表されるため、その結果に日経平均株価は影響されるだろう。
ただし注意したいのが円高で、今回日銀が金融緩和策を修正し、これまで0.5%程度としてきた長期金利の変動幅の上限について、市場の動向に応じて上限を超えることを容認することを決めたため、円高に進みやすい地合いになると考えられる。
もしも円高が進行した場合には、日経平均株価の下押し要因になるだろう。
また、週の後半は米雇用統計を前に方向感の出にくい展開になると考えられる。
今週の推奨セクター
2023年7月31日~2023年8月5日の週に推奨したいのは、銀行である。
日本銀行が27、28日に行われた金融政策決定会合でイールドカーブコントロールの運用を柔軟化することを決定。
これまで0.5%程度としてきた長期金利の変動幅の上限を、市場の動向に応じて超えることを容認した。
植田日銀総裁は記者会見で、金利操作にあたり事実上1%を上限とする考えを示している。
金利関係収益の拡大につながると考えられ、銀行株にとって追い風となるだろう。
今週の非推奨セクター
一方、避けたいのはIT関連である。
日銀が長期金利の上昇を容認したことから、低金利下において選好されてきたIT関連銘柄にとってはマイナス材料となるだろう。
今週の経済指標
なお、2023年7月31日~8月5日の週は、2日(水)の7月米ADP雇用統計、4日(金)の米雇用統計のほかに、1日(火)に7月米製造業PMI(改定値)、7月米ISM製造業景況指数、6月米JOLTS求人件数、3日(木)に7月米サービス業PMI(改定値)、7月米総合PMI(改定値)、7月米ISM非製造業景況指数の発表がある。
これらの結果にも注意が必要だ。