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今週の相場見通しについて(2023年8月28日~9月2日)
2023年8月28日~2023年9月2日の週のNYダウと日経平均株価は、神経質な展開になりそうだ。
先週の振り返り
2023年8月21日~2023年8月26日の週の日経平均株価は、24日(木)まで上昇が続いたが、25日(金)に大幅下落した。
21日(月)の日経平均株価は、前週末のNYダウの上昇を受けて前週末比プラス圏でスタートすると上げ幅を拡大するなど堅調に推移。
後場の日経平均株価は手掛かり難からもみ合いとなり、前週末比114円88銭高の31,565円64銭で取引を終えた。
22日(火)の日経平均株価は、前日のナスダック総合指数の反発を受け、半導体株を中心に買われる展開となると、340円超高まで上昇する場面もあった。
後場の日経平均株価は自動車や機械に買いが入ったものの、狭いレンジでの小動きが続き、前日比291円07銭高の31,856円71銭で取引を終えた。
23日(水)の日経平均株価は、前日のNYダウの続落を受けて前日比マイナス圏でスタートすると、プラス圏に浮上するともみ合い、再び強含んだ。
後場の日経平均株価は様子見ムードから上げ幅を縮小し、前日比153円55銭高の32,010円26銭で取引を終えた。
24日(木)の日経平均株価は、前日のNYダウとナスダック総合指数の上昇を受けて上値を伸ばす展開となったが、円高が重しとなると一進一退が続いた。
後場の日経平均株価はプラス圏での小動きが続き、前日比276円95銭高の32,287円21銭で取引を終えた。
25日(金)の日経平均株価は、前日のNYダウとナスダック総合指数の反落を受けて、前日比マイナス圏でスタートすると、下げ幅を拡大する展開に。
後場の日経平均株価は終盤700超円安となる場面もあるなど軟調に推移し、前日比662円93銭安の31,624円28銭で取引を終えた。
NYダウは引き続き神経質な展開か
2023年8月28日~9月2日の週のNYダウは、引き続き神経質な展開が予想される。
その理由として、FRB高官のタカ派発言やパウエルFRB議長によるジャクソンホール会議での発言、そして、米雇用統計が挙げられる。
25日(金)に米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁が、ブルームバーグテレビとのインタビューにおいて追加利上げの必要性はないとの見方を改めて示したものの、インフレ圧力が緩和し続けなければ追加利上げの可能性もあるとの見解を示した。
また、ボストン連銀のコリンズ総裁も、ヤフー・ファイナンスとのインタビューに対し、米国はピーク金利に近づいている可能性があるが、一段の利上げが必要かもしれないとの見解を示している。
これらの発言に先立ち23日(水)に発表された8月米総合PMIは、事前予想の51.5を下回る50.4と下回ったため、市場ではFRBの年内の追加利上げ観測が後退していた。
しかし、各連銀総裁の発言を受けて、市場では再び年内の追加利上げに対する警戒感が広がった。
加えて、25日(金)に行われたジャクソンホール会議での講演で、パウエルFRB議長は「追加利上げか据え置きか決定する場合には慎重に進める」と発言。
また、「最近のデータは好転しているが、インフレ抑制のプロセスはまだ長い道のり」「適切であればさらに金利を引き上げる用意がある」などと発言し、追加利上げを示唆した。
パウエルFRB議長の発言をややタカ派的であると市場は受け止めたため、一時NYダウは下落する場面もあった。
さらに、同日にクリーブランド連銀のメスター総裁がCNBCとのインタビューで、「自分の6月FOMCでの経済見通しは24年の利下げを想定していない」と発言したことも、NYダウの下押し材料になったと考えられる。
なお、この日のパウエルFRB議長の発言は前述したとおりタカ派的と受け止められたものの、同議長が「今後の金融政策はデータ次第」と発言したことが重視され、NYダウは下落した後に買い戻しの動きが広がり、上昇した。
とはいえ、追加利上げ観測が再浮上していることが、2023年8月28日~9月2日の週のNYダウの上値抑制要因になるだろう。
2023年8月28日~9月2日の週は29日(火)に8月米消費者信頼感指数、30日(水)に8月米ADP雇用統計、4-6月期米四半期GDP、31日(木)に7月米個人消費支出などの米経済指標の発表が予定されているが、これらの結果にNYダウは影響されやすい展開が続くと考えられる。
また、1日(金)には8月米雇用統計の発表が予定されている。
これらの経済指標が強い結果となった場合には、再び利上げ観測が強まり、米長期金利の上昇によってNYダウが下押しされると考えられるため、注意が必要だ。
日経平均株価もNYダウ同様に神経質な展開に
2023年8月28日~9月2日の週の日経平均株価は、NYダウ同様に神経質な展開になると考えられる。
週の前半にパウエルFRB議長のジャクソンホール会議における発言を消化し、週後半は米雇用統計を前に様子見ムードとなりそうだ。
上昇する場面があっても本格的な上昇トレンドを形成するものにはならず、上値が抑えられると考えられる。
NYダウなど米株価指数の動向に左右され、方向感が出にくいだろう。
今週の推奨セクター
2023年8月28日~2023年9月2日の週に推奨したいのはガラス・土石製品の中でもセメントである。
内需や輸出ともに回復は見込みにくいものの、生産能力の削減による需給改善の恩恵を受けるとみられるため、主に国内を中心に今後の業績改善に期待できるだろう。
今週の非推奨セクター
一方、避けたいのは、化学や石油の中でもエチレンを取り扱うところである。
石油化学工業協会(JPCA)が8月24日(木)に発表した日本国内のエチレンプラントの7月の稼働率は76.5%と前月よりも0.6%低下。
低下幅は6月の4.3%よりも縮小したものの、好不況の分かれ目となる90%を12か月連続で下回った。
4月の84.5%、5月の81.4%、6月の77.1%と下落傾向にあったが、6月に続いて3月の79.2%をさらに下回り、2009年3月の74.1%に迫る低下となっている。
主要4樹脂(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン)の7月の出荷量は、6月と同様に全て前年同月を下回った。
一方、在庫水準は高めではあるものの、在庫量自体は徐々に減少が進んでいる。
化学製品の基礎原料であるエチレンの生産・出荷低下の原因として、稼働日数の減少や定期改修の拡大、生産調整が挙げられる。
加えて、国内における消費者物価の上昇による消費行動面での下押し圧力と、極東の合成樹脂需要の軟調と市況の下落も原因となった。
回復までまだ時間がみられると考えられるため、避けたほうがいいだろう。
今週の経済指標
なお、2023年8月28日~9月2日の週は、29日(火)の8月米消費者信頼感指数、30日(水)の8月米ADP雇用統計、4-6月期米四半期GDP、31日(木)の7月米個人消費支出、1日(金)の8月米雇用統計の発表のほかに、29日(火)に7月米JOLTS求人件数、1日(金)に8月米ISM製造業景況指数の発表がある。
これらの結果にも注意が必要だ。
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