知人の金融関係者に寄稿してもらい毎週1回、今週の相場見通しをお届けします。
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今週の相場見通しについて(2024年8月26日~8月31日)
8月19日~8月24日の週は、パウエルFRB議長の発言を前に、NYダウは方向感の出にくい展開になり、日経平均株価は一進一退の展開になりそうだ。
先週の振り返り
8月12日~8月17日の週の日経平均株価は急伸した。
12日(月)は山の日のため、東京株式市場は休場だった。
13日(火)は、前日のNYダウが下落した一方、ナスダック総合指数は上昇したことから、日経平均株価は買い優勢に。
円安に振れたことも買いを後押しして前営業日比1,000円を超えた。
後場の日経平均株価は幅広い銘柄が買われたことから1,200円超高となり、前週末比1,207円51銭高の36,232円51銭で取引を終えた。
14日(水)の日経平均株価は、前日のNYダウとナスダック総合指数の上昇を受けて買い優勢となると36,600円台まで上げ幅を拡大する場面も見られたが、岸田首相が9月総裁選不出馬との報道が伝わると、日経平均は前日比マイナス圏に突入した。
後場の日経平均株価は、この日発表の7月米消費者物価指数の発表を控えて様子見ムードとなり、前日比209円92銭高の36,442円43銭と3営業日続伸して取引を終えた。
15日(木)の日経平均株価は、前日のNYダウとナスダック総合指数の上昇を受けて買い優勢となった。
後場の日経平均株価は、幅広い業種に買いが入ったものの利益確定売りで上値の重い状態となり、前日比284円21銭高の36,726円64銭と4営業日続伸して取引を終えた。
16日(金)の日経平均株価は、前日のNYダウとナスダック総合指数の上昇を受けて買い優勢となると上げ幅を拡大し、プライム市場の9割近い銘柄が全面高となった。
後場の日経平均株価は、上げ幅を縮小した後、1,400円超高上昇する場面もあるなど大幅高となり、前営業日比1,336円03銭高の38,062円67銭で取引を終えた。
今週のNYダウは?
8月19日~8月24日の週のNYダウは、底堅くも方向感の出にくい状態が続きそうだ。
なぜなら、23日(木)に米ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるジャクソンホール会議にパウエルFRB議長が出席し、23日(木)に講演を行うからである。
8月12日~8月17日の週に注目されていた13日(火)の7月米卸売物価指数と14日(水)の7月米消費者物価指数は、いずれも伸びが鈍化し、インフレ圧力が和らいでいることが窺えるものとなった。
7月米卸売物価指数は事前予想が前月比+0.2%、前年同月比+2.3%としていたが、結果は前月比+0.1%、前年同月比2.2%といずれも下回る結果に。
前回からも低下し、モノの価格上昇がサービス価格の低下で相殺されたことが判明した。
また、7月米消費者物価指数は、事前予想が前月比+0.2%、前年同月比+3.0%としていたが、結果は前月比+0.2%、前年同月比+2.9%とこちらも下回る結果となり、4ヶ月連続で伸びが鈍化したうえに、2021年4月以降初めて3%を割り込んだ。
7月はECを中心に開催されたセールや、中古車価格の低下、サービスの伸びの鈍化などが判明し、こちらもインフレ圧力が緩和されていることが窺える結果となっている。
7月米卸売物価指数、7月米消費者物価指数の結果は、インフレの鈍化傾向継続を示唆するものといえよう。
一方で、15日(木)に発表された7月米小売売上高は事前予想を大幅に上回る内容になっている(事前予想:前月比+0.3%、結果:同+1.0%)。
しかし、市場では、米小売売上高の結果について、米国のGDPのおよそ7割を占める個人消費の堅調さを示すものであり、米国の景気減速懸念を後退させるものと捉えられているようだ。
以上のことから、8月12日~8月17日の週のNYダウは堅調に推移した。
なお、CMEのFedwatchによれば、市場参加者のほぼ全員が利下げを予想し、15日(木)時点で、0.25%ptの利下げ予想が75.0%、0.50%ptの利下げ予想が25.0%となっている。
8月19日~8月24日の週は、冴えない雇用統計の結果や一段のインフレ緩和を示した7月米卸売物価指数や7月米消費者物価指数の結果を踏まえて、パウエルFRB議長がどのような発言をするかを見極めたいという思惑から、方向感は出にくいだろう。
それでも、9月利下げ開始の確度が高いことから、下落時も底堅く推移すると考えられる。
ただし、FRB関係者の発言には注意したい。
8月12日~8月17日の週も各連銀総裁は利下げについて発言しており、15日(木)には米セントルイス連銀のムサレム総裁がケンタッキー州でのイベントで、「利下げを検討する時期が近づいている」と述べた。
一方で、13日(火)には、アフリカ系米国人の金融専門家会議に出席した米アトランタ連銀のボスティック総裁が、「データをもう少し確認してから利下げを支持したい」と述べたことが報道されている。
各連銀総裁をはじめとするFRB関係者の発言によって、NYダウが不安定な動きを見せる可能性があることに留意したほうがよいだろう。
さらに、イランがイスラエルに報復攻撃をするのではないかとの見方が強まっていることから、中東情勢にも注意したい。
加えて、21日(水)にはFOMC議事要旨が公表されるため、その内容にも注目を払う必要がある。
今週の日経平均株価は?
8月19日~8月24日の週の日経平均株価は、パウエルFRB議長の発言をにらみ、一進一退の展開になりそうだ。
8月12日~8月17日の週の日経平均株価はその前の週の大幅下落から急ピッチで回復が進み、株安や円高に対する過度な警戒感はいったん後退したとみられている。
しかし、前述したとおり、パウエルFRB議長の講演での発言を前に、8月19日~8月24日の週は様子見ムードから上値が重くなると考えられる。
もしも23日(木)のパウエルFRB議長の発言が利下げ確度を強めるものであれば、日経平均株価は再び上昇基調になりそうだ。
今週の推奨セクター
8月19日~8月24日の週に推奨したいのは、小売りの中でも家電量販店である。
猛暑に備えたエアコンの購入増や免税店の好調により、堅調に推移していたが、今年は猛暑が長く続いたことから、エアコンなど家電の好調が続いていると考えられる。
また、免税店も好調が続くとみられるため、ポジティブである。
今週の非推奨セクター
一方、避けたいのは、医薬品の中でも2024年4-6月期決算が減益や赤字のところである。
このような銘柄は、すでに今期の減益や赤字は織り込まれているものの、次の四半期決算のピークまで時間があり、これといったイベントもないため、材料難になりやすい。
それに伴い株価の低迷が続くと予想されるため、今は避けたほうがよさそうだ。
今週の経済指標
なお、8月19日~8月24日の週は、21日(水)のFOMC議事要旨公表のほかに、22日(木)に8月米製造業PMI、8月米サービス業PMI、8月米総合PMI、23日(金)に7月米新築住宅販売件数の発表がある。
これらの結果や内容に注意が必要だ。