投資というものは、未経験者には、「儲かるもしれないけど、損しそうで怖いし、なんかいろいろ調べないといけないので、大変でめんどくさそう」という意識が強いのか中々手を出せない分野です。
私の親戚も「昔、銀行に勧められて投資信託を買ったら大損したから、元本割れしない定期預金!」という考えを強く持っていて、リスクが少なくめんどうじゃない投資もあるんだよと言っても聞いてくれません。
「え?リスク少なく、めんどうじゃない投資ってあるわけない」と思われた方は、今日紹介する本を読んでくださいませ。
それは、ほったからしでもOKの投資方法を初心者向けに丁寧に解説した良書『全面改訂 ほったらかし投資術 (朝日新書)』です。
これは、経済評論家の山崎元氏と超人気ブログの梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)の管理人の水瀬ケンイチ氏のお二人がタッグを組んで執筆した『ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド』(2010年末出版)を内容を見直し、大幅に加筆したものです。
ほったらかしでもOKな投資法はインデックス投資法です
投資という言葉を耳にするとすぐに、「株」という言葉を連想しがちですが、投資法は「株」だけではありません。「投資信託」や「FX]なども投資の分野になります。
これらの投資対象のなかで、投資信託、それもインデックスファンドを投資対象として運用する手法がインデックス投資です。
まずは、著者水瀬氏の体験談を読みましょう
本当にほったらかしでもOKなのかと思う方が多いと思います。まずは、本書の序章「人はどのようにインデックス投資家になるのか 水瀬ケンイチの投資遍歴」で水瀬氏の投資体験談を一読してみてください。個別株から投資の世界に入った方は、共感できる内容が多いと思います(実際に自分もそうでした。)
たとえば、仕事中、Yahoo!ファイナンスを常にチェックしている上司っていませんか?「ああ、この人株やってんだな。」と思うのは当然ですが、当の本人は株価の推移が気になってしょうがないから、チェックばかりしているのです。
これでは仕事に手が付きませんね。水瀬氏も以下のように個別株のデメリットを書いています。
1つめは、個別株投資は生活に支障をきたすということです。これは個別株投資自体が悪いのではなく、おそらく自分の性格に原因があると思うのですが、四六時中、株のことが気になってしまうのです。
このように、個別株の投資では値動きやニュースに振り回される生活に陥って、人間らしく生きられないのではないのではないかという疑問から、水瀬氏はインデックス投資に出会いました。実践されていることは以下のようにまさにほったらかしです。
私がやっているインデックス投資は、ある程度のリスクさえ覚悟してしまえば、基本的には「毎月インデックスファンドを積み立て投資してあとはほったらかし」ということになります。
もちろん、投資ですから、ある程度の損失の可能性は常に受け入れる覚悟は必要です。それさえ覚悟しておけば、まさに生活に支障をきたさないで済む投資法、そして努力しないで済む投資法でした。
納得したら第1章へ、納得できなかったら第2章のインデックス運用のメリットを読もう!
序章の水瀬氏の体験談でインデックス投資に興味をもたれた方は、続いて、第1章「さっそく、始めてみよう! インデックス投資の正しい手順ガイド」を読んで実践方法を勉強しましょう。
でも本当に有効なの?と思うかたもいらっしゃるでしょう。
その時は、第1章をすっとばして、第2章「一歩先行くあなたへ インデックス投資説明編」を先に読むことをオススメします。インデックス運用のメリットを解説しています。(もちろん、第1章を読まなくても良いという意味ではありません。第2章読んだら第1章に戻ってください。)
インデックス運用のメリットその1 手数料が安い
そもそも個人が投資する場合は、短期売買よりも長期保有が有効であるとの説が主流です。インデックス投資は、手数料コストが安いというメリットを持っています。
インデックス運用のメリットその2 分かりやすい
インデックス運用は、日経平均株価やTOPIX、アメリカダウなど市場指数に連動した投資信託やETFに投資しますので、経済ニュースで取り上げられる日経平均株価などの値動きを見るだけで、自分の投資成績がだいたいわかるというメリットがあります。個別株に投資していると、日経平均株価は上がっているのに、自分の持っている株だけ値下がりするということはよくあり、いちいち個別にしらべないといけませんから面倒ですよね。そこが個別株のいいところじゃないという方がいらっしゃることも、当然否定はしませんが、私は面倒です。
インデックス運用のメリットその3 負けにくい
インデックス運用のメリットは他にもあります。個人的にはこれが一番のメリットだと思いますが、市場参加者の平均値であるインデックス指数に連動した商品に投資すれば、常に平均点です。よって、投資しても0点をとることはありません。市場参加者全体の中で、自分ひとりだけがぼろ負けすることはありません。
インデックス運用のデメリットも当然解説
メリットばかりですと片手落ちですので、同じく第2章において、インデックス運用のデメリットを解説しています。端的に言うと、ぼろもうけする可能性が極めて低く、それがゆえに、面白みがまったくない投資方法であることです。これが不人気の最大の要因であることは分かっていますが、個人的には別にいいんじゃないのかなと思っています。
インデックス投資は儲からない?
インデックス投資は儲からないという批判に対して、山崎氏・水瀬氏は以下のように反論しています。
本書の前回版『ほったらかし投資術インデックス運用実践ガイド』は2010年末に出版されましたが、この本で推奨した「国内株式」50%、「先進国株式」40%、「新興国株式」10%の組み合わせに、10年末をスタートに15年3月末まで投資していた場合の運用資産の増加を現実の投信(住友三井トラストアセットマネジメント社のSMTシリーズの分配金込み基準価額を使いました)に投資していたとして計算すると、95・1%となりました(複利年率では17・0%です)。
その間、私はずっとバカのひとつ覚えのように同じことをやってきました。一定の比率で、インデックスファンドを毎月積み立て続けてきました。その結果、コツコツ積み立てた投資元本に対して、現在、利益だけで高級車が何台も買える程度には増えています。
将来の成果を約束しているわけではありませんが、過去の実績としては大変すばらしい成果です。
インデックス投資をやる意義は、水瀬氏が語ったこの言葉が全て
今回紹介したのはインデックス投資法の実践ガイドです。違う投資方法は沢山ありますし、株やFX取引を短期間することで億万長者になった方々には、こんな遅々とした投資方法などやってられないに思われるのも当然かと思います。
しかし、投資によって短期間で億万長者になるためには、勉強や努力だけではなく、ある種の才能が絶対に必要です。私はその才能がない事を、過去にいろいろな投資行い、かつ多額のお金を費やしたことで学びました。
現在、私はインデックス投資を行うことによって、資産運用を行いながら、毎日、こんなくだらないブログを更新できますし、子供とも遊べます。さらに大好きな歴史小説なども読むことができます。個別株や値動きの激しすぎるFXでお金儲けを目指したら、常に値動きに右往左往してそれどころではありません。
そんな私の言葉なんかよりも、最後に水瀬氏が本書で語った言葉が全てですので、引用紹介します。
インデックス投資家になって、何が変わったか
生活がいっぺんしました。仕事に集中できるようになりました。(中略)投資を知らなかった頃の自分らしい生活に戻ることができたのです。改めて、あの頃は四六時中、投資に追い立てられていたなあと感じます。2年近く暗闇の中でもがいていたところに、目の前がぱっと明るく開けた感覚です。かつてと違うのは、自分らしく生活しながらも、一方でしっかり資産運用も継続できているということです。
本書は初心者向けでもあり、第4章ではマニアックな層向けの内容をインタビュー形式で学べるなど、読者の投資知識レベルに関わらず楽しめる良書です。すこしでも興味を持っていただいたら、ぜひ一読をオススメします。そしてインデックス運用を実践してみてはいかがでしょうか?