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今週の相場見通しについて(2022年8月29日~9月3日)
2022年8月29日~2022年9月3日の週のNYダウと日経平均株価は、上値が重く下落しやすい展開になるだろう。
先週の振り返り
2022年8月22日~2022年8月27日の週の日経平均株価は週半ばまで下落が続いたが、後半にやや戻す展開となった。
22日(月)は、前週末のNYダウやナスダック総合指数が大幅下落した流れを引き継ぎ、日経平均株価は下落。
その後、下げ幅を縮小する展開となったものの、後場に入ると円安進行の一服で日経平均株価の下げ幅縮小が止まり、マイナス圏で小動きとなった。
最終的に日経平均株価は、前週末比135円83銭安の28,794円50銭で取引を終えた。
23日(火)の日経平均株価は、前日のNYダウやナスダック総合指数が大幅続落したことから、売り優勢に。
後場も軟調な展開が続き、日経平均株価は前日比341円75銭安の28,452円75銭と4営業日続落して取引を終えた。
24日(水)の日経平均株価は、前日のNYダウが下落した一方でナスダック総合指数が横ばいとなったことから、買い戻し優勢に。
ただ、買いが続かず失速すると、売り優勢となった。
後場の日経平均株価はマイナス圏で小動きとなり、前日比139円28銭安の28,313円47銭と5営業日続落して取引を終えた。
25日(木)の日経平均株価は、前日のNYダウやナスダック総合指数の上昇を受けて買い優勢に。
後場も日経平均株価は堅調に推移し、前日比165円54銭高の28,479円01銭で取引を終えた。
26日(金)の日経平均株価は、前日のNYダウやナスダック総合指数の上昇を受けて一時300円超上昇し、騰勢一服となった後も堅調に推移した。
後場の日経平均株価はジャクソンホール会議前に様子見姿勢が強まったことから伸び悩み、前日比162円37銭高の28,641円38銭で取引を終えた。
NYダウは軟調になりやすい
2022年8月29日~2022年9月3日の週のNYダウは、パウエルFRB議長のタカ派発言が重しとなり軟調になりやすいと考えられる。
26日(金)に、ジャクソンホール会議でパウエルFRB議長が講演し、「インフレを抑え込むためには、家計や企業に何らかの痛みをもたらすが、やり遂げるまでやり続けなければならない」と、高インフレ抑制に対する決意を表明した。
また、「歴史は時期尚早な金融緩和を強く戒めている」と発言し、市場の早期利下げ観測をけん制した。
セントルイス連銀のブラード総裁など各連銀総裁が相次いでタカ派的発言を行ったことから、CMEの FedWatchの9月FOMCでの0.75ptの利上げ確率が63.0%に上昇するなど、市場はFRBのタカ派スタンスをある程度織り込んでいた。
それでも、今回のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の発言は、市場の予想以上にタカ派的だったと考えられる。
高金利がしばらく維持される可能性が高いことを示す今回の発言を受けて、NYダウは1,000ドル超の大幅下落をした。
同日に発表した8月ミシガン大学消費者態度指数(確報値)は58.2と事前予想の55.2と事前予想を上回ったものの、FRBがインフレ指標として注視する1年期待インフレ率確報値は速報値の5.0%から4.8%に低下し年初来最低となった一方、5-10年期待インフレ率確報値も速報値の3.0%から2.9%と7月から横ばいになっている。
FRBが物価高に対する警戒感を緩めるには材料不足と考えられるところに、パウエルFRB議長のジャクソンホール会議での発言が加わり、金融引き締め継続に対する市場の懸念と失望感が強まった形だ。
なお、パウエルFRB議長は、9月のFOMCで異例となる大幅利上げがもう一度行われることが適切となる可能性もあると改めて述べたものの、「9月会合での決定は、入手するデータと変化する見通しの全体像に左右される」とし、確実に実施するとは述べなかった。
それでも、今回のパウエルFRB議長の発言は早期の金融緩和を期待する市場に衝撃を与えている。
このことが、2022年8月29日~2022年9月3日の週も尾を引くと考えられるため、NYダウは上値が重くなりそうだ。
2日(金)には8月の米雇用統計の発表があり、その結果を見極めたいとの思惑から、週の後半は上値の重い展開になるだろう。
また、米雇用統計の前哨戦として注目される8月ADP雇用統計が31日(水)に発表されるため、こちらの結果にも注意が必要だ。
さらに、30日(火)の8月消費者信頼感指数の結果も注意したい。
事前予想の97.5を下回り、さらに前月をも下回った場合には、景気減速懸念が広がり、NYダウの下押し要因になるだろう。
また、消費者信頼感指数のうち期待指数がどの程度になるかにも注目したい。
日経平均株価は下落しやすいが底堅い
2022年8月29日~2022年9月3日の週の日経平均株価は、NYダウやナスダック総合指数の動向を受けて下落しやすい展開になると考えられる。
ただ、円安傾向の継続とイベント通過による安心感から、下値を拾う動きも出るとみられ、底堅いだろう。
週の後半は米雇用統計を前に様子見ムードになり、方向感の出にくい展開になると考えられる。
今週の推奨セクター
2022年8月29日~2022年9月3日の週に推奨したいのは、鉄道や空輸である。
今回、3年ぶりとなる行動制限のないお盆休みとなったうえ、祝日とも重なったため、帰省や旅行に出かける人が増加したと考えられる。
新型コロナウイルスの感染者数が増加している時期と重なったことがネガティブ材料となったが、一部キャンセルの動きがあったものの、限定的なものにとどまった模様である。
コロナ禍前の水準に戻るのはまだ時間がかかるとみられるが、本格的な回復基調に入ると考えられるため、鉄道や空輸は、客足の回復に期待できるだろう。
今週の非推奨セクター
一方、避けたいのはIT関連である。
今回のパウエルFRB議長の発言を受けて、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は大幅下落している。
上昇が一服したとみられていた米長期金利の再上昇や高止まりの可能性があり、米ハイテク株は敬遠されやすいだろう。
その影響を日本のIT関連株も受けると考えられるため、避けた方が良いだろう。
今週の経済指標
2022年8月29日~2022年9月3日の週は、30日(火)の8月消費者信頼感指数、31日(水)の8月米ADP雇用統計、2日(金)の8月の米雇用統計の他に、1日(木)に8月ISM製造業景況指数の発表がある。
これらの結果にも注意したい。
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