預金保険制度というものがあります。銀行などの金融機関が万が一破綻した場合に、一定額の預金などを保護する制度で、金融業界の信用秩序を維持することを目的として、預金保険法に基づいて設立された保険制度です。
その預金保険制度を徹底解説します。
預金保険制度は預金保険法に基づく制度
預金保険制度は預金保険法に基づく制度です。預金保険法は、昭和46年4月に施行された古い法律です。
ただし、2011年に、住専処理などの終了をうけた改正が、2013年にはサブプライムローン危機をうけて、金融システムの安定を図るための金融機関等の資産及び負債の秩序ある処理に関する措置が追加されました。この追加により、これらの金融機関に対して公的資金や、債権者の債権の放棄や株式化による負担(ベイルイン)等による破綻処理の枠組が定められたのです。
実際の預金保険制度を運営しているのは預金保険機構
実際に預金保険制度を運営しているのは預金保険機構です
預金保険の対象金融機関は?
預金保険の対象金融機関は以下のとおりです。これ以外は対象外です。
- 日本国内に本店がある銀行
- 信用金庫
- 信用組合
- 労働金庫
- 信用金庫中央金庫
- 全国信用共同組合連合会
- 労働金庫連合会
- 商工組合中央金庫
なお、農業共同組合や農林中央金庫、さらに漁業共同組合などは農水産業共同組合貯金保険制度により保護されています。運営は農水産業協同組合貯金保険機構が行っており、内容は預金保険制度と変わりがありません。
預金保険によって保護される預金の金額は種類によって変わります
銀行などの金融機関が破綻した場合、保護される預金の金額は種類によって変わります。
預金保険制度によって利息がつかない預金は全額保護される
銀行などが破綻した場合、利息がつかない預金などは決済預金として、全額が預金保険法によって保護されます。これは恒久的な処置です。
決済預金には、当座預金や決済用普通預金などが該当します。
ちなみに、2005年3月までは普通預金も決済用預金として全額保護の対象となっていましたが、2005年4月から普通預金も全額保護の対象外となり、次に解説する元本1,000万円とその利息までしか保護されません。
外貨預金は預金保険の対象外です
なお、外貨預金は預金保険の対象外です。預金保険はあくまでも円貨の預金の保護制度ですのでご注意ください。
-
外貨預金は預金保険の対象外ですので銀行が破綻した場合はペイオフ無しとなり保護されません
外貨預金のデメリットとして預金保険の対象外という点があります。詳しく解説します。 預金保険とは? 預金保険制度は国内に本店を置く銀行や信用金庫など金融機関が破綻 ...
利息がつく預金は預金者1人あたり元本1,000万円とその利息が保護される
利息がつく預金である普通預金、定期預金、定期積金、仕組預金は預金保険によって、その金融機関が破綻した場合、1人あたり元本1,000万円とその利息が保護されます。これらの預金元金の合算した金額が1,000万円を超える場合は、超えた分が保護されません。
金融機関が合併したときの保護金額上限はどうなるの?
金融機関が合併したときの保護金額上限は変わります。詳しくは以下のページをご覧ください。
-
銀行や信用金庫などが合併した時に預金保険制度によって保護される預金金額はどうなるの?
銀行や信用金庫さらに信用組合の合併が最近よく見られます。 合併した時に預金保険制度によって保護される預金金額はどうなるのでしょうか? 預金保険制度とは? 預金保 ...
ペイオフ時の利息の計算はどうなるの?
ペイオフになった場合の利息の計算はどうなるのでしょうか?実際は預入日から預金保険が適用になった日までの日割りで計算されます。詳しくは以下のページをご覧ください。
-
銀行や信用金庫が破綻した時に預けている定期預金や利息はどうなるの?
銀行や信用金庫が破綻した場合に預けている定期預金や利息はどうなるのでしょうか? 預けている定期預金の元金や利息は預金保険によって保護されます 預けている定期預金 ...
保護されない預金は破綻した場合にどうなるの?
破綻した金融機関の破綻処理によってかわりますが、基本は、預金保険の対象外の預金は、金融機関の債務として取り扱われますので、債権の回収の具合で、何パーセント戻ってくるかが決まります。
預金保険の上限の変遷は?
預金保険の上限は年によって変わってきました。
- 1971年以降:100万円
- 1979年以降:300万円
- 1986年以降:1,000万円
- 1996年以降:全額保護措置(ペイオフ凍結)
- 2001年以降:1,000万円とその利息
- 2002年以降:決済用預金は全額保護、それ以外は1,000万円とその利息
預金保険の原資は預金保険に加入している金融機関が毎年支払う保険料です
預金保険は、各金融機関が毎年預金保険機構に支払う保険料を原資として運営しています。保険料は変わりますが、預金量に一定の率をかけた金額を支払っています。
-
政策金利残高にマイナス金利が適用となったんだから、いっそのこと普通預金などの金利を0%にしないのはなぜか?
先日、ソニー銀行の普通預金の金利が0.001%になったことをお伝えしましたが、すずめの涙ほどの金利ならば、いっそのこと0%にしてしまえばよいのではないかとのご ...
ペイオフとは?
ペイオフは預金保険制度の1つで、金融機関が破綻した場合に、保険金を預金保険機構が直接預金者に支払う方法のことを指します。広い意味では、金融機関が破綻した場合に、預金などを一定額しか預金保険に基づく保護の対象とならないことを指します。ペイオフ解禁という言葉は広い意味で利用しています。
金融機関が破綻した場合、ペイオフ以外にも、他の金融機関との合併や他の金融機関への営業や事業譲渡をしやすくなるように、預金保険機構が公的資金を援助する方法があります。いわゆる資金援助方式と呼ばれるものです。
つまり、預金保険制度は、ペイオフ方式と公的資金援助方式の2つがあります。