高利の個人向け社債として、三井住友トラスト・ホールディングス株式会社第4回無担保社債(劣後特約及び実質破綻時債務免除特約付)が発売されます。
詳細を確認してみましょう。
三井住友トラスト・ホールディングス株式会社第4回無担保社債(劣後特約及び実質破綻時債務免除特約付)の詳細
- 発行総額:30,000百万円
- 申込単位:100万円
- 金利条件:0.62%(仮条件年0.35%~0.95%、12月2日決定予定)
- 払込金額:各社債の金額100円につき金100円
- 償還金額:各社債の金額100円につき金100円
- 年限:約10年
- 申込期間:平成28年12月5日から平成28年12月16日
- 払込期日:平成28年12月19日
- 償還日:平成38年12月18日
- 利払日:毎年6月18日及び12月18日
- 引受会社:野村證券、大和証券、SMBC日興証券、岡三証券、東海東京証券、SMBCフレンド証券
- 取得格付:A(R&I)
ソース:EDINET(E03611:三井住友トラスト・ホールディングス株式会社 S10095QT:訂正発行登録書)
三井住友トラスト・ホールディングス株式会社第4回無担保社債(劣後特約及び実質破綻時債務免除特約付)の引受額
各社の引受額(販売額)は現時点で不明です。詳細が判明次第追記します。
引受人の氏名又は名称 | 引受金額 |
---|---|
大和証券株式会社 | 未定 |
野村證券株式会社 | 未定 |
SMBC日興証券株式会社 | 未定 |
岡三証券株式会社 | 未定 |
東海東京証券株式会社 | 未定 |
SMBCフレンド証券株式会社 | 未定 |
合計 | 30,000百万円 |
三井住友トラスト・ホールディングス株式会社第4回無担保社債(劣後特約及び実質破綻時債務免除特約付)の購入方法
証券会社ごとに購入方法を紹介します。
大和証券での購入方法
「ダイワ・コンサルティング」コースの方は、取扱店に来店しての取引が可能です。「ダイワ・ダイレクト」コースの方は、取扱店に来店しての取引か、コンタクトセンターでの注文が可能です。
三井住友トラスト・ホールディングス株式会社 第4回無担保社債(劣後特約及び実質破綻時債務免除特約付)(PDF)
野村證券での購入方法
本店・支店での取引が可能です。
三井住友トラスト・ホールディングス株式会社 第4回無担保社債(劣後特約及び実質破綻時債務免除特約付)(PDF)
SMBC日興証券での購入方法
総合コースであれば、支店及びパソコンでの取引が可能です。
ダイレクトコースでの取扱いもパソコンでの購入は可能ですが、オンライントレードの申し込み期間は終了しております。
岡三証券での購入方法
特にインターネットなどでの告知はしておりません。優良顧客向けに販売しているものと思われますが、詳細は店頭でご確認ください。
東海東京証券株式会社での購入方法
特にインターネットなどでの告知はしておりませんので、直接店頭でご確認ください。
SMBCフレンド証券での購入方法
通常は店頭のみの受付。ヒントネット倶楽部またはヒントネット倶楽部であれば、電話での取引が可能です。
三井住友トラスト・ホールディングスとは?
2011年に三井住友信託銀行と中央三井トラスト・ホールディングス(傘下に中央三井信託銀行と中央三井アセット信託銀行を持つ)が経営統合により設立された銀行持株会社であり、現在は、三井住友信託銀行を傘下に置きます。
三井住友銀行を傘下に持つ三井住友フィナンシャルグループと名前が混同されがちですが、直接の資本関係はありません。経営的にも両社は独立しており、同じ三井グループや住友グループであっても案件によっては対立することもありますので、間違えないようにしましょう。
最近の三井住友トラスト・ホールディングスの話題は、ダイナースクラブカードを運営しているシティカードジャパンを買収したことでしょうか。現在もダイナースクラブカード所有者限定の定期預金キャンペーンを三井住友信託銀行が実施してます。
社債のリスクについて
信用リスク
発行元が破綻した場合は、預けたお金が戻ってこない可能性があります。最悪全額償還されないケースもありえます。
流動性リスク
償還日前までに、自身の都合によりお金が必要となり、市場等で売却する場合、流動性が低いことから、適正な価格よりも若干安い金額で売却しなければならない可能性があります。ようするに火急のお金が必要なので足元を見られるということです。
価格変動リスク
償還日まで保持していれば関係ないのですが、償還日前までになんらかの事情で売却する必要が生じた場合、市場で売却することになりますので、額面の金額よりも高い金額で売却、もしくは低い金額で売却するといった価格変動するリスクがあります。
社債における劣後特約とは?
詳しく解説すると、破産など法的に財産を整理する必要が生じた場合に、他の債権の返済が終わってから、返済を受ける債権に付けられる特約です。つまり、同順位の債権が40万円と60万円あり、破綻したときの債務者の財産が10万円しかない場合は、40万円の債権者には4万円の弁済、60万円の債権者には6万円の弁済と、同順位債権間は、等比率での弁済となります。
一方、40万円の債権と、60万円の劣後特約債権があり、破綻したときの債務者の財産が10万円しかない場合は、40万円の債権者は10万円の弁済、60万円の劣後特約債権者は弁済されないという悲惨な結果になります。
このように、他の返済が終わってから返済される=劣後ということで、劣後特約と呼ばれ、債権の弁済順位が低いかわりに高い利率を享受できるというメリットがあります。
実質破綻時免除特約とは?
預金保険法126条の2に規定される特定第2号措置(金融機関が自身の財産をもっても債務を完済できない事態が発生する恐れが生じたり、債務の支払停止や停止する恐れのある金融機関に対して、金融市場その他の金融システムの著しい混乱が生ずるおそれがあるとみとめられた場合のみ、内閣総理大臣が実施できる資金援助などの措置)に該当した場合に、その特約が付保された社債を発行した発行元は、元利金や利息の支払などの義務を全て免除される特約です。
破綻一歩前でも、預金保険法126条の2に規定される特定第2号措置が講じられた場合は、社債の元金はこの特約により償還されません。
検討すべきは信用リスク分の金利プレミアム
社債を購入を考える場合に、比較検討すべきは、1000万円まで元本とその利息が保証されている定期預金の利息に比べてどの程度高いのかということです。つまり、信用リスク分のプレミアム(金利に上乗せ)がついた金利が上乗せされているかどうかです。
三井住友トラスト・ホールディングス株式会社第4回無担保社債の個人的な評価
今回紹介した三井住友トラスト・ホールディングス株式会社第4回無担保社債(劣後特約及び実質破綻時債務免除特約付)の利率は0.62%で、10年もの定期預金がマイナス金利導入により軒並み下げていることから、相対的に高い金利といえます。
ちなみに、今回の社債に勝てる定期預金は大阪協栄信用組合のスーパー定期1000(金利 年0.7%)のみです。
通常の10年もの定期預金の店頭表示金利の平均金利は、日本銀行によると以下のとおりであり、利率は0.62%は、定期預金金利平均に比べて、約0.6%程度の信用リスクの金利プレミアムが付くこととなります。
預入金額 | 平均年利率 |
---|---|
300万円未満 | 年0.024% |
300万円以上 1,000万円未満 |
年0.028% |
1,000万円以上 | 年0.033% |
預金種類別店頭表示金利の平均年利率等について|日本銀行金融機構局(PDF)
三井住友トラスト・ホールディングス株式会社が10年間経営破たんしなければ、有利な運用先ともいえますが、10年後に破綻しているかどうかなど誰もわかりません。
三井住友トラスト・ホールディングスが破綻するようならば日本経済がおかしくなってるだろうとお考えするかもしれませんが、10年後に今の規模を三井住友トラスト・ホールディングスが維持しているかどうかは断言できません。もしかしたら9年後に日本興業銀行なみの規模となり、破綻させても問題ないだろうとお上が判断して、経営破たんしたりする可能性は極めて低い確率でしょうが、ゼロとは言い切れません。
よって、土地や家屋などを除いた総資産1億円以上ある方が分散投資として、総資産の2~4%程度を三井住友トラスト・ホールディングス株式会社第4回無担保社債へ投資するのは別に個人の好みなので良いかと思いますが、そんなにお金が無い方が、100万円以上の社債を購入し、10年間という長期にわたって、高利の利払い金をゲットする代りに信用リスクを負うのはちとつらいかなと思います。
【参考】最新の社債情報はこちらを
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