個人向け社債として、株式会社三井住友フィナンシャルグループ第14回無担保社債が発売されます。
詳細を確認してみましょう。
株式会社三井住友フィナンシャルグループ第14回無担保社債(実質破綻時免除特約及び劣後特約付)の詳細
- 発行総額:未定
- 申込単位:100万円
- 仮条件利率:年0.40%~0.80%
- 正式利率:未定(3月2日決定)
- 払込金額:各社債の金額100円につき金100円
- 償還金額:各社債の金額100円につき金100円
- 年限:約10年
- 申込期間:2018年3月5日から2018年3月15日
- 払込期日:2018年3月16日
- 償還日:2028年3月16日
- 利払日:毎年3月16日及び9月16日(初回は2018年9月16日)
- 引受会社:SMBC日興証券、大和証券、野村證券
- 取得格付:A+(R&I)、A+(JCR)
株式会社三井住友フィナンシャルグループ第14回無担保社債(実質破綻時免除特約及び劣後特約付)の引受額(販売額)
各社の引受額(販売額)は現時点では未定です。利率決定後に公表されますので追記します。。
引受人の氏名又は名称 | 引受金額 |
---|---|
SMBC日興証券株式会社 | 未定 |
大和証券株式会社 | 未定 |
野村證券株式会社 | 未定 |
合計 | 未定 |
株式会社三井住友フィナンシャルグループ第14回無担保社債(実質破綻時免除特約及び劣後特約付)の購入方法
証券会社ごとに購入方法を紹介します。
SMBC日興証券での購入方法
総合コースであれば、支店及びパソコンでの取引が可能です。
ダイレクトコースでの取扱いもパソコンでの購入は可能で。
大和証券での購入方法
「ダイワ・コンサルティング」コースの方は、取扱店に来店しての取引が可能です
「ダイワ・ダイレクト」コースの方は、取扱店に来店しての取引か、コンタクトセンターでの注文が可能です。
野村證券での購入方法
本店・支店での取引が可能です。
株式会社三井住友フィナンシャルグループとは?
メガバンクである三井住友銀行を傘下に持つ三井住友フィナンシャルグループは、日本の3大金融グループの一角を担う持株会社です。
三井住友カード、SMBCファイナンスサービス、SMBC日興証券、SMBCフレンド証券、三井住友ファイナンス&リース、関西アーバン銀行、SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス、モビット)、SMBC信託銀行(三井住友銀行100%子会社)などを実質的に支配しています。
三井住友信託銀行やを傘下に置く三井住友トラスト・ホールディングスと名前が混同されがちですが、直接の資本関係はありません。
経営的にも両社は独立しており、同じ三井グループや住友グループであっても案件によっては対立することもありますので、間違えないようにしましょう。
社債のリスクについて
信用リスク
発行元が破綻した場合は、預けたお金が戻ってこない可能性があります。最悪全額償還されないケースもありえます。
流動性リスク
償還日前までに、自身の都合によりお金が必要となり、市場等で売却する場合、流動性が低いことから、適正な価格よりも若干安い金額で売却しなければならない可能性があります。ようするに火急のお金が必要なので足元を見られるということです。
価格変動リスク
償還日まで保持していれば関係ないのですが、償還日前までになんらかの事情で売却する必要が生じた場合、市場で売却することになりますので、額面の金額よりも高い金額で売却、もしくは低い金額で売却するといった価格変動するリスクがあります。
社債における劣後特約とは?
詳しく解説すると、破産など法的に財産を整理する必要が生じた場合に、他の債権の返済が終わってから、返済を受ける債権に付けられる特約です。つまり、同順位の債権が40万円と60万円あり、破綻したときの債務者の財産が10万円しかない場合は、40万円の債権者には4万円の弁済、60万円の債権者には6万円の弁済と、同順位債権間は、等比率での弁済となります。
一方、40万円の債権と、60万円の劣後特約債権があり、破綻したときの債務者の財産が10万円しかない場合は、40万円の債権者は10万円の弁済、60万円の劣後特約債権者は弁済されないという悲惨な結果になります。
このように、他の返済が終わってから返済される=劣後ということで、劣後特約と呼ばれ、債権の弁済順位が低いかわりに高い利率を享受できるというメリットがあります。
実質破綻時免除特約とは?
預金保険法126条の2に規定される特定第2号措置(金融機関が自身の財産をもっても債務を完済できない事態が発生する恐れが生じたり、債務の支払停止や停止する恐れのある金融機関に対して、金融市場その他の金融システムの著しい混乱が生ずるおそれがあるとみとめられた場合のみ、内閣総理大臣が実施できる資金援助などの措置)に該当した場合に、その特約が付保された社債を発行した発行元は、元利金や利息の支払などの義務を全て免除される特約です。
破綻一歩前でも、預金保険法126条の2に規定される特定第2号措置が講じられた場合は、社債の元金はこの特約により償還されません。
検討すべきは信用リスク分の金利プレミアム
社債を購入を考える場合に、比較検討すべきは、1000万円まで元本とその利息が保証されている定期預金の利息に比べてどの程度高いのかということです。つまり、信用リスク分のプレミアム(金利に上乗せ)がついた金利が上乗せされているかどうかです。
株式会社三井住友フィナンシャルグループ第14回無担保社債(実質破綻時免除特約及び劣後特約付)のリスクプレミアムの検討
今回紹介した株式会社三井住友フィナンシャルグループ第14回無担保社債(実質破綻時免除特約及び劣後特約付)の利率は仮条件中央値で0.6%で、メガバンクの定期預金の約60倍の金利となり相対的に高い金利といえます。
ちなみに、この社債と同じ10年もの定期預金は大阪協栄信用組合のスーパー定期1000(金利 年0.6%)のみです。
【最大金利0.60%】大阪協栄信用組合はなぜ最強の定期預金を発売し続けるのか徹底解説
通常の10年もの定期預金の店頭表示金利の平均金利は、日本銀行によると以下のとおりであり、定期預金金利平均に比べて、約0.58%程度の信用リスクの金利プレミアムが付くこととなります。
預入金額 | 平均年利率 |
---|---|
300万円未満 | 年0.018% |
300万円以上 1,000万円未満 |
年0.018% |
1,000万円以上 | 年0.018% |
預金種類別店頭表示金利の平均年利率等について|日本銀行金融機構局(PDF)
株式会社三井住友フィナンシャルグループが10年間経営破たんしなければ、有利な運用先ともいえます。
ネックはマイナス金利政策中に起債される長期債ということ
ネックは、マイナス金利政策が実施している最中に発行される長期社債であることです。
短期債ならばあまり考慮しなくても良いかもしれませんが、長期債であるならば、将来の金利動向次第では不利な運用になります。
たとえば、将来、マイナス金利政策が撤廃されて、金利が上昇した局面になった場合は、定期預金よりも金利が低い社債をホールドし続ける羽目になります。
この場合、ホールドをあきらめて中途換金しようとしても、金利上昇局面において、低い利率の社債を満足いく価格で売却することは、難しいでしょう。
もちろん、今後10年の間に、政策金利のマイナス金利幅がさらに拡大すれば、金利は今より下がり、時価評価額も上昇しますので、有利な運用先になります。
将来のことなど誰もわかりませんので、将来利率が上がるか下がるかなどは、投資される方にお考えいただければと思います。
個人的には、1億円以上の資産がある方が分散投資の一環として資産の数パーセントを投資するならばご自由にと思いますが、そうでない方は、自分の資産のうち一定割合を10年間も拘束される案件に投資するのはちょっとキツイかなとも思います。